2人は深海に生息するヤドカリ?
──西田大輔さんはこれまで、激しい殺陣やアクションを用いた戦記ものの作品を多数演出されてきましたが、今回の舞台「日本三國」はアクションの要素もありつつ、登場人物たちの会話劇をメインにした構成になるそうですね。
平野 西田船長の演出、楽しみですね!
──西田さんが演出・脚本・作詞を手がけた「ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇」(参照:祝!薄ミュ10周年、同級生の橋本祥平&北村健人コンビが決意語る)のインタビューでも、橋本さんは西田さんを「ずばり海賊の船長みたいな方」「人を引っ張っていく力がすごい方」とおっしゃっていました。
橋本 西田さんの頭の中に、「こういう作品を作りたい」という明確なイメージがあるので、稽古もすごくスムーズに進んでいますし、僕たち俳優もとても走りやすいです。
──お二人とも西田さんの演出作に多数出演されていますが、西田さんが演出を手がける作品の稽古場はどのような雰囲気なのでしょうか? 西田さんと交わした会話の中で、印象に残っていることがあれば教えてください。
橋本 西田さんの現場は基本的に明るいですよ! 今回の舞台「日本三國」は重たいテーマの作品ではありますが、それに引っ張られず、皆さん和気あいあいと稽古に励んでいます。それも、船長が中心になって盛り上げてくださっているからだと思います(笑)。
平野 大輔さんはとにかく、俳優が生み出したものを尊重してくれる人だよね。自分や祥平もそうだけど、大輔さんも稽古の外であまり芝居の話をしないというか、稽古の中で全部やりきるぞ!というタイプな気がする。
橋本 確かにそうですね。
──お二人は演劇に対して熱い思いを持っていらっしゃるので、普段から皆さんと芝居のお話をよくされているのかと思っていました。
平野 そう言われることが多いんですが、真逆ですね。飲み会にもあまり行かないし、深海に生息しているヤドカリみたいな感じだと思います。滅多なことがないと殻から出ない(笑)。
橋本 ははは! 自分も深海付近で静かに過ごしているタイプなので、良くんの気持ちがよくわかります(笑)。でも、良くんに芝居の話を聞きたい後輩はたくさんいると思いますよ。この前、ミュージカル「インサイド・ウィリアム」という作品で良くんと共演したとき、意見交換させていただいてすごくためになりましたもん。
平野 えー(笑)。ありがたいけど、俺が芝居の話をまったくしないタイプだから珍しく感じただけだよ、きっと。
バチバチの“演劇バトル”をご覧あれ!
──今回の舞台「日本三國」には、橋本さんや平野をはじめ、阿佐馬役の赤澤さん、龍門役の松田さん、平殿器役の宮下さんなど、実力派のメンバーがそろいました。この布陣で話題作を立ち上げるのも、本作の注目ポイントの1つではないでしょうか。
平野 自分としても、本当に「よくこのメンバーが集まったな!」と感激しました。舞台「日本三國」には歌やアクションの要素もありますが、キャストが芝居の力で勝負する、バチバチの“演劇バトル”が繰り広げられるんじゃないかと思います。自分たちが今まで積み重ねたものをかけて挑む作品になるはずなので、そんな俳優たちの生き様を見ていただきたいですね。また、舞台を観終わったあとにお客様の心に残るものは何か、そういったことも考えながら丁寧に作っていくので、原作ファンの方も、これから「日本三國」という作品を知る方もぜひ注目していただけたらと思います。
橋本 良くんが言った通り、この座組の皆さんと演劇を作ることができるのは役者冥利に尽きることだと思っていて。だからこそ、稽古が楽しみでもあり、怖くもあります(笑)。今の自分が皆さんと渡り合っていけるのかを想像すると足が震えてしまうんですけど、こんなに恵まれた機会をいただけることはそうそうないので、皆様の期待に応えられるように精一杯がんばります。
プロフィール
橋本祥平(ハシモトショウヘイ)
1993年、神奈川県生まれ。2013年「陽炎ペイン」で舞台デビューし、2016年の歌劇「明治東亰恋伽~朧月の黒き猫~」で初主演を務めた。近年の出演舞台に、ミュージカル「インサイド・ウィリアム」、「舞台『鬼滅の刃』其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里」「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Desperate Checkmate-」などがある。8月に上演されるRoom NO.925「ジャニス」に出演予定。
平野良(ヒラノリョウ)
1984年、神奈川県生まれ。テレビドラマ「3年B組金八先生」(第5シリーズ)で映像デビューし、2008年に「ミュージカル『テニスの王子様』1stシーズン」に出演した。近年の出演舞台に、CCCreation Presents 舞台「黒蜥蜴」、ミュージカル「インサイド・ウィリアム」、「ミュージカル『憂国のモリアーティ』大英帝国の醜聞 Reprise」などがある。8月に開催される怪談をテーマにしたリアルイベント「Tokyo Kaidan Collection」に出演予定。