彩風咲奈が金熊香水で作る「私の原点はここ」を体現する香り (2/2)

何の香りが残るかはお楽しみ、それが狙いでこれがいい

──調香中はどのようなことを考えていましたか?

いろいろな方につけていただきたくて、皆さんにとってどのような香水がつけやすいかなと考えながら、調香していました。香りには人それぞれの好みがありますから、自分がすごく好きな香りでも、周りに香水がお好きじゃない方がいたらつけづらいと思います。ですので、強くて印象的な香りを目指すのではなく、肌なじみが良く、誰が匂っても「いい香りだな」と感じてもらえるような香りにしたいと思っていました。

──調香体験で彩風さんが選んだ3つの香りのうち、2つがラストノートに映える香料でした。そのため、落ち着きがあり、リラックスした場面に似合う香水になりそうですね。

香水は、季節や体調、気温や湿度によって香りが変化しますし、合う、合わないも変わります。私はフローラル系も、獣っぽいムスク系も大好きなのですが、調香で最初にピンときたのが“ホワイトムスク”でした。香水って、好きな香りだと思ってつけていても、ずっとつけているとしんどくなってしまうことがよくあるんです。なので、その香りを長い時間つけていられるかどうかが大事なポイント。今回はファンの皆さんにとって、いつでも気軽につけられる1本にしてもらいたかったので、心地よい香りを重ねることを意識しました。実際に調香してみると、何をどのくらい入れたら自分が思い描く香水に近づけるのかがわからなかったので、今回、配合のアドバイスをいただきながら作ることができて心強かったです。特にこのコラボ香水は、人によって香り方が異なる、複雑な香りにしたかったので、香りが主張しすぎないようにバランスを取るのが難しかったのですが、その思いもくんでくださったように思います。

彩風咲奈

彩風咲奈

──香りのプロである店舗スタッフさんが「絹のように滑らかな香り」だと表現されていましたが、まさにその言葉通りの豊かな香りになりました。

そうですね、私の肌に乗せるといい感じにせっけんのような香りで……あっ今、ものすごいせっけんです!(と言いながら自分の手首を顔に近づけて確かめる彩風) 人によって残る香りがきっと違うと思いますので、私がつけるとせっけんの香りがしますが、ほかの香りが強く残ったり、時間が経って変化したりする方もいらっしゃるはず。それが狙いだったので、狙い通りです!(笑)

──ラボショップということで、珍しい香料もあったかと思いますが、初めて出会う香りはありましたか?

いや、ないですね。私は香水を買うときは、何の香りが入っているかを見てから決めるんです。トップノート、ミドルノート、ラストノートにどんな香りが出てくるのか知りたいじゃないですか。香水のお店で迷ったら、右手と左手にそれぞれ別の香水を吹きかけて、店員さんに「2時間くらいどこかに行ってきます」と伝えて、時間が経ってから香りを確認する。そのときにその香りが気に入れば、お店に戻って買うようにしています。

──本格的ですね!

本当に香水が好きなんです……。

身振り手振りで香水への愛を表す彩風。

身振り手振りで香水への愛を表す彩風。

以前は“主張するため”の香水が、今は“ファッション”に

──彩風さんにとって香水とはどのような存在ですか?

宝塚歌劇団に在籍していた頃は、香水は自分や演じる役を代弁したり、主張したりするためのものでした。卒業間近になって原点回帰のようなコンサートをさせていただいたときは、ずっと持って使っていた自分の芸名に近い名前の香りをつけたり。普段はこの香り、役のときはこの香り、休日は香水をつけない、というように使い分けていたのですが、卒業後はファッションとしてつけるようになりました。服装がカジュアルになったので、バニラ系が入った甘みがある香りも選ぶようになりましたし、雨の日には雨に似合う香り、冬にあえてのシトラスの香りというように楽しんでいます。でも、たとえば昨年のディナーショーではセットリストに宝塚歌劇の曲が多かったので、現役時代につけていた香水を使いましたね。

“イチから作る喜び”を再確認したベルばら、フェルゼンはどう感じていたのか

──思い描いた香りを作るという過程は、俳優として役を理想の人物像に近づける作業と似ているのではないかと想像します。これまで“イチから作る喜び”を改めて実感したような役、作品はありましたか?

難しいですが、卒業公演の「『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-」かな。2013年の新人公演でもフェルゼン役を演じたのですが、当時は本役の壮一帆さんを見て学んだものを体現することだけで精一杯でした。ただ、自分が宝塚歌劇団に入りたいと思うきっかけになった憧れの作品だったので、卒業公演で改めて向き合ったときは思い入れが強過ぎて、この作品で卒業できることの幸せや、いろいろな思いで空回ってしまう自分がいたんです。伝統的な作品ですから、様式美や、守るべき型がある。でも一方で、あるときから、「フェルゼンだって1人の人間だ」と思えるようになって。王妃様(マリー・アントワネット)の処刑シーンで、これまで王妃様のすべてを受け入れてきたフェルゼンが、「嫌です」と自分の本心を告げるのですが、「最愛の人ともう会えない」ことを実感したときに湧き上がる“否定”の気持ちを、どうしたら伝えられるか。そう考えたときに、「その姿は憧れの“カッコいいフェルゼン”じゃなくていいのではないか」と思ったんです。美化した姿を取り払って、フェルゼンが本当はどう感じていたのか、と考えることができたときに、役がより人間らしくなったと感じられた経験は、私にとって大きかったと思います。

彩風咲奈

彩風咲奈

──現役時代の話が続いて恐縮ですが、彩風さんは退団の際に、親交のある花組の侑輝大弥さんに香水をプレゼントされたとか。

形見分けなんです(編集注:宝塚歌劇団では卒業が決まった生徒が、後輩に私物をプレゼントする伝統があり、それを“形見分け”と呼ぶ)。形見分けであることはもちろんゆめちゃん(侑輝)も知っていましたが、持っていた香水の中でもゆめちゃんっぽいものを選んだので、喜んでくれて良かったです(笑)。私自身は先輩から香水をいただいたことはなくて、私もよっぽどのことじゃないと香水はプレゼントしないタイプです。香りは奥が深くて、人それぞれに好みがありますし、私はプレゼントはその人に一番喜ばれて、使っていただけるものを贈りたいので。

──そんな彩風さんがファンの皆さんのことを考えて作られた香水を、ファンの皆さんが実際に手に入れられるのは貴重な機会ですね。

そうですね、ぜひ!(笑) いろいろな方の好みに合いそうな香りになっていると思います。

彩風咲奈

彩風咲奈

日々の相棒、特別な日の香りに…異なる香りの立ち方を楽しんで

──退団から1年が経ち、ファンの皆さんへの思いに変化はありましたか?

最初は不安でした。これから自分が俳優として仕事をしていくときに、皆さんが受け入れてくださるのかと。でも、私はファンの皆さんが何を喜んでくださるかということを考えるのが好きなので、これからの自己プロデュースも含めて、サプライズをお届けできたらと思っています。今は、現役時代にはなかったSNSで私の変化をすぐに発信できるので、ファンの皆さんとつながっている感覚があるのもうれしいですし、退団後の初コンサートのタイトル「no man's land」が意味した“未開の地”のように、この1年は男役から次のステップへと変わっていく過程を一緒に楽しんでいただきたいという思いで過ごしてきました。これまでのように舞台上から“完成形”を客席にお見せする交流の仕方ではなく、つながれるツールを駆使して、春夏秋冬、たくさんのことをシェアしながら一緒に歩んでいきたいと思っています。

──そんな彩風さんの思いを肌で感じられる今回のコラボ香水をどのように楽しんでいただきたいですか?

いろいろなシチュエーションでつけられる香りになりましたので、日々の相棒にしていただいてもいいですし、宝塚歌劇を観に行くときや、特別な日の香りにしていただいてもいいのかなと思います。ジェンダーを問わない香りを目指したので、身近な方とシェアして、自分やその方の異なる香りの立ち方をぜひ楽しんでみてください。

彩風咲奈コラボ香水「wear」

彩風咲奈コラボ香水「wear」

予約限定販売
受注期間
2026年2月2日(月)~28日(土)

販売価格
1万1550円(税込)

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プロフィール

彩風咲奈(アヤカゼサキナ)

1990年、愛媛県生まれ。2007年、宝塚歌劇団に首席で入団。星組公演「さくら」「シークレット・ハンター」で初舞台後、雪組に配属。2010年に「ソルフェリーノの夜明け」で新人公演初主演、計5度の新人公演主演を務める。2021年、雪組トップスターに就任。雪組では11年ぶりとなる生え抜きトップスターとなった。「CITY HUNTER」「蒼穹の昴」などへの出演を経て、2024年に「『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-」で退団。退団後は、「彩風咲奈1st Concert『no man's land』」「彩風咲奈 ディナーショー2025『MISSION』」「彩風咲奈 クリスマスディナーショー『cocoru』」を開催。2026年3月から5月にかけて、「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」で退団後初のミュージカルに出演する。さらに、7・8月には「HiGH&LOW THE 戦国 外伝」への出演が決定した。