舞台「男水!」ライブ・ビューイング特集 キャストインタビュー|競泳にかける10人の思い、“青春の集大成”を映画館で見届けよう

チケット入手困難の人気公演が増える中、劇場の熱気を映画館で堪能できるライブ・ビューイングが注目を集めている。このたびステージナタリーでは、5月28日の大千秋楽公演が全国映画館で生中継される、舞台「男水!」のキャスト10人にインタビューを敢行。ドラマ版・舞台版両方に出演した松田凌、宮崎秋人、安西慎太郎、赤澤燈、佐藤永典、小澤廉、黒羽麻璃央、池岡亮介、神永圭佑、廣瀬智紀という2.5次元ミュージカルで活躍する俳優陣に、舞台「男水!」の魅力、そしてライブ・ビューイングならではの見どころを余すところなく語ってもらった。

インタビュー取材・文 / 平松梨沙 稽古場取材・文 / 興野汐里

全国54カ所で舞台「男水!」の青春に立ち会える

──本日は、舞台「男水!」キャスト10人に集まっていただきました。圧巻ですね……。

左から池岡亮介、小澤廉、赤澤燈、宮崎秋人、松田凌、廣瀬智紀、安西慎太郎、佐藤永典、黒羽麻璃央、神永圭佑。
松田凌

松田凌 こんにちは、主人公の榊秀平を演じる松田凌です。ドラマが終わってからの間、ほかのお芝居などもあり、稽古が始まるまで秀平という役に触れていなかったんです。稽古に入ったときは不安もありましたが、この仲間で会うようになったらすんなりと秀平に戻れました。

──「男水!」は、木内たつやさんのマンガを原作に、ドラマと舞台の双方を同じキャストで演じるプロジェクトになっています。舞台の大千秋楽は、全国54カ所の映画館でのライブ・ビューイングも行われます。

松田 54って、都道府県よりも多いですよね! ドラマが放送されていなかった地域の映画館でも開催されるということで、より多くの方に舞台「男水!」の世界を楽しんでもらえるのがうれしいです。

宮崎秋人 舞台はドラマの続編というわけではなく、同じ物語をまた違った視点で描いてるからね。ドラマを観ている方にも新鮮に、ドラマを観ていない方でも安心して楽しんでもらえる作品になっていると思います。

ドラマとはまた違った“物語”を届けたい

──改めて、それぞれが演じるキャラクターに対しての意気込みを伺っていいでしょうか。まずは主人公の榊秀平が所属する東ヶ丘高校の皆さんから。

松田 秀平は、本人にものすごく個性があるというタイプではないんですけど、ほかのキャラクターが色濃く光っているのを眺めながら、自分自身がどんどん“主人公”になっていく人。さまざまなキャラの代弁者でもあるので、各登場人物に対しての共感や想像力をかき立てられるように演じていければなと思っています。舞台を作り上げるうえで、それぞれが担っている部分がいろいろあるんだけど、話の主軸の部分は、自分が演じる榊秀平が担いたい。

宮崎秋人

宮崎 大樹は、口数は少ないながらも、そんな秀平を支える友達思いのいいやつですね。さっきも言いましたけど、ドラマと舞台はストーリーは同じところがあっても描き方が違うので、キャラクターの演じ方も変わるなと思っていて。ゼロから作るつもりで今回挑んでます。ちょっと大変なのは、舞台だと寡黙なキャラであっても声を張らないといけないことですね。試行錯誤しつつ、篠塚大樹という男を板の上に上げられればと思います。

赤澤燈 ドラマだと8話分あったストーリーを舞台では2時間半でやらないといけないので、凝縮して描かれているところ、逆に増えたところ、いろいろあるのも見どころだよね。しかも、ドラマと違って“水”がないですから。お客さんに水が見えるよう、楽しくやれればいいと思います。まあ、僕はマネージャーなので泳がないんですけど(笑)。“オネエでマネージャー”という際立ったキャラを大切にしつつ、東ヶ丘のみんなを見守ってます。

──そして、秀平・大樹・晴美の所属する東ヶ丘水泳部に新入生として入ってくるのが、滝結太と原田ダニエルですね。

佐藤永典 とにかく個性的なキャラクターがたくさん出てくる作品なんですけど、みんな熱くてピュア。僕が演じる滝結太くんは特にピュアです。初心者で一生懸命なんですけど……全然努力が報われない(笑)。

一同 (笑)。

佐藤 改めて考えても、結構いろいろなことが報われないんですが、優しい子なので、温かい目で応援してほしいですね(笑)。

神永圭佑 もう1人の新入生、原田ダニエル役の神永圭佑です。ダニエルは陽の風を吹き込んでくれるキャラクターですね。場の空気をいい意味でしっちゃかめっちゃかにするシーンを楽しみにしてもらえたらなと。またドラマ以上に、滝くんとの絆を感じるシーンが描かれていると思います。そういう部分を大事にしながら「こいつ、いつか大物になるんじゃないかな」というところを出していこうかと。

──ダニエルの大物ぶりは見ていて清々しいです(笑)。さて、そんな東ヶ丘高校水泳部の面々を厳しく指導するのがコーチの川崎。

廣瀬智紀 川崎というキャラは正直かなりズケズケと物を言うので、演じていても「嫌われるんじゃないかな?」と心配になるときがあります。でも、非常に信念のある人なので、最終的に「あの人の言ってたことってそういうことだったんだ」と東ヶ丘のみんなにもお客さんにも思ってもらえるところまで持っていけたらいいなと思いますね。

舞台でも東ヶ丘の前に立ちはだかる龍峰高校

安西慎太郎

安西慎太郎 僕、川崎のセリフ、すごく刺さってます。

──安西さんは、東ヶ丘のライバル・龍峰高校のエースであり、秀平と大樹の幼馴染でもある藤川礼央を演じていますね。川崎のどういったセリフが刺さりますか?

安西 川崎って「お前ら、何のために泳いでるんだよ!」とよく言うじゃないですか。「男水!」って、1人ひとりがそれを考える話なんですよね。自分も「何のために役者やってるんだろう」「何のために人前に立っているんだろう」ということを日々自問自答しながらやってるので、自分自身にも刺さります。

──役者としても響くセリフがあると。

安西 僕が演じている藤川礼央くんは、「何のために泳いでいるか」という根本がものすごくしっかりしていて、それはドラマでも舞台でも変わらないんですよね。そこの魅力をしっかり出していきたいと思ってます。

──ストイックな礼央を演じる安西さんらしい回答をありがとうございます。ほかの龍峰高校の皆さんにも、意気込みをお願いしていいでしょうか。

小澤廉 僕が演じる平光希くんは、徐々に秀平くんのライバルになっていく役回りです。ドラマに比べると尺が短いぶん、光希のキャラクターの細かいところをお客さんに伝えるのにどうしたらいいかな、というのをすごく考えてます。彼は洞察力に長けていて、人をコントロールするのがうまい子。ちょっと小悪魔なので、その小悪魔感をセリフのニュアンスなどでうまく出していけたらいいかなと。

黒羽麻璃央 龍峰高校キャプテン・仁科譽役の黒羽麻璃央です。龍峰高校は主役校ではないので、東ヶ丘の方々より気負う部分は少ないかなと思っていたんですけど、舞台だとドラマとはまた違った形でスポットを当ててもらっていて。僕の役は主将ということもあるので、龍峰の強さや威厳、存在感が伝わるといいなと思ってます。

池岡亮介 神宮一虎役の池岡亮介です。確かにドラマよりも舞台のほうが時間は短いですが、キャラクターの多面性をお客さんに感じてもらいやすいんじゃないかと思うんです。映像だと切り取られていますが、ほかのキャラクターがしゃべっているときでも自分のキャラは動いているわけなので。一虎に関しては、ドラマでは先輩っぽさというか、強い男というのが前に出ていたんですけど、舞台ではもっと弾けてもいいかもしれないなと思ってます。全身を使って、彼が泳ぐときの躍動感などを表現していきたいです。

ライブ・ビューイングは“オペラグラスのようなもの”

──皆さん、それぞれの意気込みをありがとうございます。ちなみにご自身の舞台でライブ・ビューイングを経験されたことってありますか?

松田 僕、初めてです。

──おお、初ライブ・ビューイング!

松田 実際の舞台をリアルタイムで、映画館でも配信するんですよね? すっごいですよね。自分は演劇が好きでこの世界に入ったので、生で作り上げている世界を多くの方に観てもらえるのは本当にうれしいです。僕、ライブ・ビューイングって“オペラグラスみたいなもの”じゃないかなと思っていて。

──オペラグラスですか?

松田 劇場に来ているお客さんでも、離れた席の方はオペラグラスを使ってますよね。ライブ・ビューイングを通して舞台を観ていただくのも、オペラグラスを使うのとあまり変わらなくて、生の芝居の楽しさや雰囲気は伝わるものだと考えてます。なので、「舞台のチケットが取れなくて……」という方も、気にせず楽しんでいただければ。

廣瀬 自分が観客として行ったことはないけれど、演じる側からすると、「ライブ・ビューイングで観てみるのも面白そうかもな」と思います。僕たちも、友人が出ている公演のチケットが取れないことがありますからね。それに「男水!」の場合、みんなそれぞれ脱いでいるわけですよ。

赤澤燈

赤澤 そうそう、みんなの肉体が舞台より近く見えちゃう!

廣瀬 舞台に観に来ているお客さんよりも近くで、肌質・質感を……。

池岡 汗も涙も……。

赤澤 ドラマよりもクローズアップされた裸が!?

廣瀬 そこがやはり、舞台「男水!」特有の魅力でしょうね。

──稽古の段階でももう脱がれてるんですか?

松田 まだですね。

宮崎 出し惜しみしてます。

廣瀬 でも秋人は1回パンツ一丁で稽古に参加してたことあったよね?

安西 あった。

──ええっ!? それはなぜ?

宮崎 着替えが間に合うかなっていう段取り確認のためだったんですけど(笑)。

──その潔さがちょっと大樹っぽいですね(笑)。

宮崎 僕と大樹、いい意味でまったく似てないんですけどね。共通してるのって、友達が好きってところくらいかな。台本読んでても、「こいつよく黙っていられるな」と思うことが多い(笑)。

松田 常に周りを見守ってるよね。

宮崎 一番距離が近い秀平に対しても何も言わないしね。どこに溜めて、どこで吐き出してるんだろうな、ということをいつも考えてます。

舞台「男水!」
大千秋楽ライブ・ビューイング
2017年5月28日(日)17:00~
舞台「男水!」大千秋楽ライブ・ビューイング
ライブ・ビューイング限定オリジナルブロマイド付チケット
一般発売(先着順):2017年5月18日(木)19:00~26日(金)12:00
舞台「男水!」

2017年5月11日(木)~21日(日)
東京都 シアター1010

2017年5月24日(水)~28日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

原作:男水!(木内たつや / 白泉社『花とゆめ』)
脚本・演出:吉谷光太郎

キャスト

榊秀平:松田凌
篠塚大樹:宮崎秋人
藤川礼央:安西慎太郎

小金井晴美:赤澤燈
滝結太:佐藤永典
平光希:小澤廉
仁科譽:黒羽麻璃央
神宮一虎:池岡亮介
原田ダニエル:神永圭佑

市村真幸:齊藤教兵
村上英輔:奈須田雄大
高浦一郎:津嘉山寿穂
高浦二郎:櫻井圭佑
森親太郎:上村海成

磯村邦夫:河野洋一郎

川崎亮也:廣瀬智紀

毛利光汰、佐藤葵、兼尾洋泰、加来亮凪、吉田邑樹、山田諒、町田尚規、神田聖司、村上貴亮、深澤悠斗

©男水!製作委員会

「男水!」上巻
2017年3月1日発売 / バップ

[DVD] 4320円 / VPBX-14577

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[Blu-ray Disc] 5400円 / VPXX-71504

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「男水!」下巻
2017年4月12日発売 / バップ

[DVD] 7560円 / VPBX-14578

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[Blu-ray Disc] 8640円 / VPXX-71505

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「We are swimmers ~男水!キャラクター・ソング&オリジナル・サウンドトラック~」
2017年2月22日発売 / バップ

[CD] 3240円 / VPCD-81894

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松田凌(マツダリョウ)
1991年9月13日生まれ。兵庫県出身。2012年、「ミュージカル『薄桜鬼』斎藤一篇」で舞台初主演。以降、「舞台『K』」「舞台『K』第二章-AROUSAL OF KING-」「メサイア-翡翠ノ章-」などで主演を務めた。6・7月に「舞台『東京喰種トーキョーグール』」、9・10月には、河原雅彦演出「人間風車」に出演予定。
宮崎秋人(ミヤザキシュウト)
1990年9月3日生まれ。東京都出身。主な出演に、 「ライブ・ファンタジー『FAIRY TAIL』」ナツ・ドラニクル役、「舞台『青の祓魔師』」奥村雪男役、「舞台『弱虫ペダル』」、ドラマ「弱虫ペダル」新開隼人役ほか。今年2017年には、ドラマ「弱虫ペダル」の続編を控え、冬には映画「写真甲子園 0.5秒の夏」が公開予定。
安西慎太郎(アンザイシンタロウ)
1993年12月16日生まれ。神奈川県出身。2013年、「ミュージカル『テニスの王子様』」2ndシーズンの白石蔵ノ介役で人気を博し、2015年に「舞台『戦国無双』関ヶ原の章」、2016年には「舞台『K-Lost Small World-』」で主演を務めた。7月に西田シャトナー作・演出「遠い夏のゴッホ」、8・9月には舞台「四月は君の嘘」に出演予定。
赤澤燈(アカザワトモル)
1990年3月14日生まれ。東京都出身。2011年、「ミュージカル『テニスの王子様』」2ndシーズンの芥川慈郎役で注目を浴び、以降「メサイア」シリーズなどで活躍。8月に映画「くらわんか!」が公開されるほか、9月の「超!脱獄歌劇『ナンバカ』」ではジューゴ役を演じる。
佐藤永典(サトウヒサノリ)
1990年2月14日生まれ。埼玉県出身。2008年、「ミュージカル『テニスの王子様』」財前光役で俳優デビュー。8月に「戦国御伽絵巻『ヒデヨシ』」、10・11月には、シアターコクーン・オンレパートリー2017 DISCOVER WORLD THEATRE vol.2「危険な関係」に出演予定。
小澤廉(オザワレン)
1991年8月12日生まれ。神奈川県出身。2015年に「ダイヤのA The LIVE」で主人公・沢村栄純役に抜擢され、以降「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」などに出演。6・7月に、劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪「天下無敵の忍び道」、同じく7月には、舞台「夢王国と眠れる100人の王子様 ~Prince Theater~」が控える。
黒羽麻璃央(クロバマリオ)
1993年7月6日生まれ。宮城県出身。2012年から14年まで「ミュージカル『テニスの王子様』」2ndシーズンで菊丸英二役を務め、「ミュージカル『刀剣乱舞』」に三日月宗近役として出演。6・7月に「舞台『黒子のバスケ』OVER-DRIVE」が控えるほか、10月には主演映画「アヤメくんののんびり肉食日誌」が公開される。
池岡亮介(イケオカリョウスケ)
1993年9月3日生まれ。愛知県出身。近年の主な出演作には、「残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』」「Dステ20th『柔道少年』」、ドラマ「メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」「本日は、お日柄もよく」など。10月には、前川知大作「関数ドミノ」に出演予定。
神永圭佑(カミナガケイスケ)
1994年8月12日生まれ。茨城県出身。2012年から14年までミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンにて幸村精市役を担当し、ミュージカル「Dance with Devils」では主演を務めた。出演作・映画「マスタード・チョコレート」が4月より全国で順次公開。
廣瀬智紀(ヒロセトモキ)
1987年2月14日生まれ。埼玉県出身。ドラマ「私のホストちゃん~しちにんのホスト~」で注目を浴び、2013年より「舞台『弱虫ペダル』」にて巻島裕介役を演じる。6月に映画「めがみさま」、8月に映画「HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY」、11月に映画「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」が公開予定。