左からラブレターズ塚本、板川侑右プロデューサー、ラブレターズ溜口。

2020年、いつもと違う年 その1 [バックナンバー]

「勇者ああああ」板川侑右氏×ラブレターズ

パンツ交換も氷口移しもNG?コロナ後の罰ゲームのゆくえ

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テレ東社員は出たがりが多い?

──無観客フェスでは、事前にオンラインでの取材会を開いて担当プロデューサー自らが集まった記者にイベントの内容を説明するという試みもありました。また、最近は「テレビ東京ファンWEEK」などテレビ東京の社員と視聴者との交流の機会が増えています。これはコロナ禍とは特に関係のない流れなのでしょうか。

板川 どうなんでしょうね。まあ、うちの社員には出たがりが多いってことだと思います。

塚本溜口 あはははは!(笑)

板川 僕も表に出ることに対して特に緊張はないですね。なにしろ先輩(=佐久間P)がラジオやってる会社ですから。

塚本 あんなに出る人いないですよ(笑)。

板川 出たがりだからどうこうってイジられる社風ではないです。まあさすがに立候補はしないですけど、「出てください」って言われたら二つ返事でやります。

溜口 一旦持ち帰るとかなく?(笑)

板川 持ち帰らないです、即答です。

左からラブレターズ塚本、板川侑右プロデューサー、ラブレターズ溜口。

左からラブレターズ塚本、板川侑右プロデューサー、ラブレターズ溜口。

──外出自粛期間中は各局リモート収録のほか、再放送や総集編といった形をとっていました。その中でも印象に残っているテレビ番組があれば教えてください。

板川 家にいたので昼間はずっと「ヒルナンデス!」(日本テレビ)を観ていたんですけど、南原(清隆)さん以外の出演者はほかの場所からリモート出演していて、スタジオにいるのは南原さん1人だけという期間がけっこう続いていて。そんな中、AとBの2つの画面が映し出されて「どっちが生で動いているナンチャンでしょう?」というのを当てるクイズがあって、それはびっくりしましたね。つまり、どっちかは今のナンチャンで、どっちかは事前収録のナンチャンなんですよ。クイズの中身がどうでもいいことすぎてさすがに笑いました。朗らかな情報番組というイメージを持っていたんですが、ずいぶん尖ったクイズをやっているなと思いましたね。

──バイきんぐ小峠さんが1人ぼっちでロビーに立っている様子もシュールだったり、オードリーのお二人が固定カメラの構図をいろいろと変える“リモート芸”で笑わせたり、「ヒルナンデス!」はこの期間、さまざまな工夫で視聴者を楽しませていましたよね。

板川 あと「相席食堂」(ABC)の島田珠代さんの回ご覧になりました?

塚本 観ました!

板川 あれは今年ナンバー1でしたね。

塚本 もう秒読みでしょう、「パンティーテックス」が流行るのも。

板川 あれ観た日、幸せな気分で1日過ごしましたもん。こういうものがある時代に生まれてよかったなと。

溜口 僕は「モヤさま」を毎週観ているんですが、ああいうロケ番組こそ大変そうだった。13年分の過去回を毎週蔵出し、蔵出しで。

板川 僕はコロナが流行しだしたと同時くらいに異動になって、「モヤさま」から離れたんですよ。ちょうど「ロケができなくなります」となる直前で。その後の惨状は残ったスタッフに聞きましたけど、単純に外に出ちゃいけなかったからスタジオものじゃない番組は大打撃。特にうちの会社はふれあい系のロケが多いから相当きつかったと思います。「家、ついて行ってイイですか?」とか、「人んち入るなよ」っていう話ですからね。

塚本 ステイホームだって言ってるのに(笑)。人んち上がっちゃだめですもんね。

プライムタイムにふさわしくない自覚あり

──さてそんな中、この秋に「勇者ああああ」はプライムタイムに移動しました。発表時、板川さんのコメントに「おなじみのメンバーで深夜時代と変わらずゴリゴリのお笑いゲーム企画を大量生産していく」とあった通り、マイルドになる気配もなく視聴者は安心しているんじゃないでしょうか。

板川 そうですね。なんなら前よりも悪意の強いことをやってはいるので(笑)。浅草芸人さんの企画(編集部注※3)も、「老人をいじめてる」と言われたらそれまでですから。

溜口 板川さんは自分で編集して、プライムタイムにオンエアで観るわけじゃないですか。どう思うんですか?

板川 ふさわしくないなって思います。

溜口 あはははは!(笑) そう思ってるんだ。

塚本 自覚あるんですね(笑)。

板川 会議の段階では盛り上がっているんですよ。実際観ると、ふさわしくはない。

溜口 僕らファンとしては時間帯にマッチしない企画をやっていてほしいですけどね。

テレビ東京本社で行った鼎談の様子。

テレビ東京本社で行った鼎談の様子。

──視聴者層が変わることでラブレターズのお二人が出演者として意識することはありますか? 昨今はコンプライアンスに厳しい風潮もありますけど。

溜口 さっきも言ったように我々は受け身というか、殴られれば殴られるほど面白がってくれる人がいると思っているので、ちょっと時代にはそぐわないというか……。

板川 あはははは!(笑)

溜口 「押すな押すな」で育ってきているので、やっぱり押されたい。無理に優しくしてもらわなくていいんです。例えば賞レースで最下位になったら変に気を使わずコケにしてくれていいし。僕らとしては面白ければなんでもいいんですよ。

板川 「誰も傷つけない」って言葉だけが先行している感じはしますよね。

塚本 このままいけば「チビ」とかがダメになる可能性もある。

板川 でも「歯がない」は笑っていいわけじゃないですか。「歯、磨けよ」ってあんなに親に言われてきたじゃんっていう。

──(笑)。生まれつきの性質ではなくて、本人の怠惰が招いたことだから。

板川 これはダメだろうっていう線引きが甘くて怒られたり迷惑かけたりする人も稀にいますけど、基本的にはお笑いは誰かしらを傷つけるものですから。

溜口 そうですよね。

板川 僕らは「まだここ誰もイジってないぞ」というところを探していく作業をしている感じですね。

※3:ナイツ推薦のビックボーイズ、ふるさとコンビが「東京2020オリンピック The Official Video Game」に挑戦した「浅草陸上2020」。苦戦する様子をアルコ&ピースとナイツが解説しながら見届けた。

エンタメは人あってのもの

──コロナの終息はいまだ見えないところがありますが、今後の「勇者ああああ」はどうなっていくでしょうか。昨年やっていた合宿ロケなんかはまだ難しいですよね。

板川 そうですね。あ、あの温泉宿、潰れちゃったんですよ。

塚本溜口 えー!

塚本 じゃあもうあの風呂には入れないんですね。

溜口 すげえ嫌だった、あの風呂。

塚本 めちゃくちゃいい思い出じゃん。

溜口 いいことあるかよ!

板川 溜口さんの局部のインサート撮ってますからね(笑)。

塚本 どう使うんだよ(笑)。

板川 最終的に酒井さんが手でしごき始めて、さすがに見てられないなって。

溜口 そりゃそうでしょ! もっと前で止めてくれよ!

2019年2月に行われたロケの様子。(写真提供:テレビ東京)

2019年2月に行われたロケの様子。(写真提供:テレビ東京)

──そういう、相手に触れるだとか、距離を取らなければいけないことで物理的にできなくなってくることも増えそうです。

板川 そうですね。アクリル板も違和感ありますし。あと、出演者同士が距離を取っていると1つのフレームに収まらないので、ちょっとだけツッコミの瞬発力が遅くなることがあって。かと言って2面にすると編集感が出て観ているほうが冷めちゃったりもする。ですよ。さんとハリウッドザコシショウさんが「あーいとぅいまてーん」ってやり合っているのはあの近い距離で1、2分ノーカットで見るから面白くなってくるわけで、編集せざるを得ない画角だともったいないなって思いますね。

──仮に問題なかったとしても、視聴者の私たちが勝手に先回りして心配してしまうということもあります。

板川 観ている人のほうが怖がっちゃうんでしょうね。氷の口移しとか、もうできないですよ。

溜口 あんなのコロナ関係なく二度とやりませんよ!

塚本 むしろよくやってたよ……。

板川 そう思うとできない罰ゲームばっかりですね。パンツ交換とかも。

──ラブレターズの輝く場所が。

溜口 やばいな、いよいよ出番が……。

塚本 奪わないでほしいです。

左からラブレターズ塚本、板川侑右プロデューサー、ラブレターズ溜口。

左からラブレターズ塚本、板川侑右プロデューサー、ラブレターズ溜口。

──いろんなお話を聞かせていただきありがとうございました。最後は「2020年、どんな年でしたか?」という質問でおしまいにさせてください。

板川 仕事のやり方が変わって、考える時間が増えた年でした。「集まらなくても別に家でできるじゃん」ということに気づけて効率は上がったと思います。その一方で「打ち上げって楽しいんだな」ってことがわかりましたね。仕事に関しては集まらなくていいことも多いですけど、エンタメに関しては人が集まっていないと8割くらいしか楽しめない。エンタメは人あってのものなんだなと思いました。

溜口 生かすも殺すも自分次第というか、自分ががんばればどうにかなるし、怠ければ死ぬだけだなというのがハッキリした年になった気がします。あとは、やっぱりお客さんの大事さを改めて感じましたね。

塚本 僕は家にいる期間を利用してアサラトっていう楽器を始めたんですよ(参考動画:ラブレターズOfficial Youtube Channel 【アサラト練習動画】Official髭男dismさんの『Pretender』に合わせて演奏してみた。)。今度はMPCというリズムマシンを買ってみようかなと思っていて。だから趣味が増えた、“多趣味な年”ですね。

溜口 所ジョージさんみたいなこと言うな!

板川侑右(イタガワユウスケ)

勇者ああああ」演出、プロデュースを担当。1985年生まれ、千葉県出身。明治大学在学時は落語研究会に所属。2008年、テレビ東京に入社し「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」といった番組のADを経て「ピラメキーノ」でディレクターデビュー。過去に「ゴッドタン」「トーキョーライブ22時」「モヤモヤさまぁ~ず2」などのディレクターを務めた。ゲームと謎解きイベントとお笑いが大好き。QJWebで「芸人キャスティング会議」連載中。

テレ東“ほぼほぼ”無観客フェス「裏勇者ああああ~ゲームあんまり関係ない悪ふざけだけで90分弱やってみます~」

日時:2020年11月28日(土)19:30開場 20:00開演
料金:配信チケット2000円
<出演者>
アルコ&ピース / ななまがり / ハリウッドザコシショウ / ガリットチュウ福島 / 赤もみじ / 怪奇!YesどんぐりRPG / オジンオズボーン篠宮 ほか

ラブレターズ

塚本直毅(ツカモトナオキ)
1984年12月28日生まれ、静岡県出身。

溜口佑太朗(タメグチユウタロウ)
1985年1月19日生まれ、埼玉県出身。

日本大学芸術学部在学中に出会い、「キングオブコント2008」に出場するため即席コンビを結成。2009年4月より正式にラブレターズとして活動を開始した。2011年、2014年、2016年「キングオブコント」ファイナリスト。12月24日(木)から27日(日)まで所属事務所のASH&Dコーポレーションが東京・浅草九劇で行う「ASH&D PRESENTS LIVE『ASH&D NEW DIAMOND』」では塚本が合同コントの脚本を担当。溜口は2021年7月9日(金)に東京・さくらホールで「溜口スーパードリームショー~新・世界で一番熱い夏~」を開催する。YouTubeチャンネルでコント動画を多数公開中。

ASH&D PRESENTS LIVE「ASH&D NEW DIAMOND」

日程:2020年12月24日(木)~12月27日(日)全6公演
会場:東京・浅草九劇
料金:4000円
チケット:11月28日(土)にイープラスで一般発売。
<出演者>
ザ・ギース / ラブレターズ / 阿佐ヶ谷姉妹 / 夙川アトム / 田本清嵐 / 古関昇悟

※この公演は新型コロナウイルスの再拡大を受けて中止となりました。

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ルイ @tundratiger

#勇者ああああ の罰ゲームは基本“3密”なので平子祐希がどうなるのかと思ったら(笑)
https://t.co/FASK8IHBka

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