過去のメンバーのうち誰かが欠けていたら
──今年7月にぜんぶ君のせいだ。はデビュー10周年を迎えました。10年活動し続けた愛海さんは、この節目をどう捉えていますか?
愛海 10年経った実感があまりないんですよね。とはいえ、10年やってきたから今できていることはたくさんあって。10年の中でいろんなメンバーがいて、その中のうち誰かが欠けていたら今現場で待ってるファンの人たちはいないと思うし、もし武道館(2023年開催の「ぜんぶ君のせいだ。日本武道館単独公演『この指とまれ』」)で辞めていたら、こんなに海外の人に会いに行く機会もなかったわけで。
──この10年で音楽業界も大きく変わりました。サブスクが主流になり、アイドルシーンのトレンドも大きく変わり、コロナ禍ではライブの在り方すら見直されることもありました。その中でもぜん君。はブレずに存在し続けている強みがあるというか。
愛海 結成当初からシーンのはみ出し者だったし、どの界隈にも属していなかったという自覚があって。それが逆によかったのかもな、と最近は思っています。ライバルみたいなグループがいないからといって成長できないわけではなくて、常にコドモメンタルの人たちから刺激をもらい続けてきたし、遊びに来てくれた人に対して真摯に向き合って成長してきた。私、10年やってようやく歌を褒められるようになったんですよ(笑)。もともと得意ではなかったけど、一歩ずつでも成長し続けてきたんだなって。
こもち 武道館のときと比べても成長してるかも。
愛海 カラオケに行くと全然音が取れないくらい才能はない。でも、ぜん君。の歌だけはちゃんと歌える。そこにようやく自信が持てるようになってきました。あと、最近になってこれまであったすべてのことに感謝できるようになったかな。
──愛海さんはあまり恨み言を言うタイプではないので、もともとそういうタイプだと思っていましたが「最近になって」なんですね。
愛海 はい。その理由は、やっぱり武道館公演を成し遂げられたからだと思います。そこに向かうまでつらいこともあったし、すごく気を張っていたし、強迫観念のように自分に課しているものがずっとあった。1つの目標だった武道館でのライブを終えて、語弊があるかもしれないけど重荷を降ろせたような感覚で。今は純粋にライブができる喜びを噛みしめています。最近加入したむくと光も同じ感覚が共有できているかはわからないけど、これだけライブをしているからか2人の“人間味”が出てくるのが早かった。
こもち うん。本来だったらメンバーそれぞれの得意不得意とか、何を考えているのかがわかるようになるまでそれなりに時間がかかるけど、海外遠征で長い時間を一緒に過ごすことが多かったのもあって、2人がなじむのはすごく早かったよね。
光 一緒にいる時間で考えたら、もう家族みたいなものですから。
──3人からすると、2人の妹ができた感覚ですか?
メイ 妹というより、むくの場合はたまにおばあちゃんのように見えるときがある。
むく えー!? やめてよ!
愛海 まったく布団から出てこないからみんなで世話をしてる瞬間があって。
光 介護みたいに(笑)。
愛海 むくは身長も高いから、ちょっと偉そうに見えるというか、もう偉いんじゃないかって錯覚する瞬間がありますね。
メイ でもそれが別に嫌な感じじゃなくて、そういう一面が見れるとうれしいんだよね。
愛海 わかるわかる。世に出せない、メンバーだけで共有している思い出の写真フォルダがあるんですけど、めっちゃ面白いもん。ホント、修学旅行を永遠にやってるみたい。
──10年の活動の中で、お客さんやフロアの変化を感じることはありますか?
愛海 ありますね。最近、古くからの患いが遠慮がちなんですよ。「古株が前に出ると、最近ファンになった子が遠慮しちゃうんじゃないか」みたいな。そういう気遣いをしてくれるのはありがたく受け止めつつ「私は10年ずっとステージに立ってるんだから変わらずもっと来い!」と声をかけてます(笑)。私に負けないでほしい。
どれだけ遠いところに行っても大丈夫
──すでに2026年のツアースケジュールがある程度告知されており、新たに韓国やヨーロッパ各国、カナダ、中国といった場所での海外公演が予告されています。これまではアジア各国でのライブが多かったですし、北米やヨーロッパでのライブは初めてですよね。
愛海 初めてです。いい意味で変わらないライブになると思うけど、光とむくの2人はどう思ってる?
光 日本語が通じない方が多い場所でのライブをどうやるか、めっちゃ考えてきたのでたぶん大丈夫だと思います。がんばって日本語の歌を聴いてくれている姿を見てると、こっちは身振り手振りも交えた、いつも以上に「届けよう」という気持ちが強いライブができる気がするんですよね。だからヨーロッパやカナダみたいな遠い土地に行ったら、私たちももっと気合いが入るだろうなと思います。
むく ライブはもちろんがんばるとして、ごはんが楽しみです(笑)。ごはんがおいしいとより一層気持ちが入るので、いいライブもできますし。
愛海 いろんな場所を巡るツアーを経て、むくと光を含む5人のまとまりが早くも作れたのがすごく大きいです。例えばどんなにケンカしても、どんなに苦戦しても、一緒にライブを楽しんでくれている実感がある。だから旅先でメンバーそれぞれ個人行動が多くても不安にならないし、変に気を遣って団体行動をしようとかもない。それでもライブのときには5人の意識がカチッとそろうのが、すごく心地よくて。だから活動してて怖くないんですよね。これから先、どれだけ遠いところに行っても大丈夫な気がしてる。
メイ こんなこと言ってますけど、遠征中に一番連絡が取れなくなるのはめぐちゃんだからね。みんな心配してるんだよ。
愛海 だって早く起きちゃって、みんな寝てるんだもん! 暇すぎて、1人でコーヒータイムしに行ってインスタライブしてると、みんなからのLINEに気付けなくて。
こもち ヨーロッパは場所によっては治安がよくないらしいから、ホント気を付けようね。
愛海 もう1人早起きの人がいれば一緒に行けるんだけどなあ。
むく 起きるのが早すぎるんだよ。明け方4時頃に寝たはずなのに、7時頃にはもう起きてるし……。
愛海 太陽が出てくると起きちゃうんだよね。ヨーロッパではAirTagを私に付けて、みんなが位置を確認してよ(笑)。
──今はとにかく全国各地を飛び回っていると思いますが、並行して新曲のレコーディングなどは行われているのでしょうか?
愛海 実は新曲も生まれてます。タイトルなどは未定なんですけど、ツアーでは稀に披露してますね。あとはまだウチらも聴いてないデモ曲がいくつかあるらしいです。
メイ すでにレコーディングした曲もめっちゃよかった。リリースするのが楽しみ。
愛海 ロングツアーなのでライブの本数に目がいきがちですが、ぜん君。はとにかく曲をリリースするのも1つの武器ですから。今のツアーの開催状況にリリイベが重なるとすさまじいことになっちゃうから、今年はちょっと控えめだったけど。
──ツアーが落ち着く頃にはリリースする準備ができていると。
愛海 はい。とにかく曲数が多いのもぜん君。のいいところで、日本国内でも海外でも「○○が聴きたかったけど、今日は聴けなかった」って言われる。いくらでもやってあげたいけど、どうしても尺の都合があるからそれが叶わなくて。いつか全曲ライブをやってみんなを満足させたいですね。
こもち 1日じゃ披露しきれないかも(笑)。
愛海 昔の曲を今の編成に組み替えるのも超大変だから、簡単には叶わないと思うけど。10年の中で3、4回じゃ済まないくらい覚え直している曲もありますから。
メイ むくと光がインプットするのも大変そう。
愛海 大変なのは2人だけじゃないよ。この間、私とメイが同じところで振りを間違えてて笑っちゃった。でもそういうとき、最近はむくと光が咄嗟にフォローしてくれるんです。それに少し感動しました。ついこの間まで、フォローするとしたら先輩3人のうちの誰かだったけど、今は5人でフォローし合える。
──このツアーが終わったときのことは何か考えていますか?
愛海 ツアーが終わらなきゃいいのに、とまでは言いませんが、変わらずにずっとライブをし続けたいですね(笑)。大きなものを掲げていないだけで、目標がまったくないわけではないんですよ。さっき話に出たアニソンを担当してみたいとか。でも今は付いてきてくれるメンバーと患いたちに感謝して、“いつでもライブをしているぜん君。”として走り続けていたいです。
公演情報(※2025年11月26日公開時点でのスケジュール)
ぜんぶ君のせいだ。??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR
3rd SEASON
- 2025年12月6日(土)沖縄県 会場調整中(ファンミーティング)
- 2025年12月7日(日)沖縄県 沖縄Cyber-Box
- 2025年12月13日(土)愛媛県 Double-u studio
- 2025年12月14日(日)広島県 ALMIGHTY
[昼公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。 / Not Secured,Loose Ends
[夜公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。 - 2025年12月20日(土)福島県 clubSONICiwaki
4th SEASON
- 2026年1月11日(日)東京都 shibuya eggman(如月愛海生誕SP)
[昼公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。ほか
[夜公演]出演:ぜんぶ君のせいだ。 - 2026年1月12日(月・祝)愛知県 CLUB Zion(如月愛海生誕SP / バンドセット)
- 2026年1月17日(土)韓国 会場調整中
- 2026年1月18日(日)韓国 会場調整中
- 2026年1月24日(土)奈良県 OCEAN BOULEVARD
- 2026年1月25日(日)和歌山県 和歌山CLUB GATE
- 2026年1月31日(土)沖縄県 Music Lane Festival Okinawa 2026
- 2026年2月1日(日)沖縄県 Music Lane Festival Okinawa 2026
- 2026年2月7日(土)国内 会場調整中
- 2026年2月8日(日)東京都 新宿MARZ(メイユイメイ生誕SP)
- 2026年2月13日(金)~3月16日(月)ヨーロッパ各国数都市調整中(※ポーランド、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、オランダ、ドイツ、オーストリア、イタリア、フランスが決定済み)
- 2026年3月20日(金・祝)国内 会場調整中
- 2026年3月21日(土)国内 会場調整中
- 2026年3月22日(日)国内 会場調整中
- 2026年3月28日(土)国内 会場調整中
- 2026年3月29日(日)国内 会場調整中
- 2026年4月4日(土)国内 会場調整中
- 2026年4月5日(日)国内 会場調整中
- 2026年4月10日(金)カナダ ケベックコンベンション
- 2026年4月14日(火)カナダ トロントイベント
- 2026年4月18日(土)カナダ オタワコンベンション
- 2026年4月18日(日)カナダ オタワコンベンション
- 2026年4月25日(土)マレーシア コンベンション
- 2026年4月26日(日)マレーシア コンベンション
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※販売スケジュールはオフィシャルサイトで要確認。
プロフィール
ぜんぶ君のせいだ。(ゼンブキミノセイダ)
如月愛海(きさらぎめぐみ)、メイユイメイ、寝こもち(ねねこもち)、むく、煌乃光(ひのひかり)からなる“病みかわいい”をコンセプトにしたユニット。2015年7月に1stシングル「ねおじぇらす✡めろかおす」をリリースした。2020年7月に東京・中野サンプラザホールにて初のホール公演「ぜんぶ君のせいだ。単独公演~生鳴兆候(バイタルサイン)~」を行い、一時活動休止を発表。同年11月に47都道府県ツアー「re:voke tour for 47」をスタートさせる。2021年3月に既発曲の再録音源を収録したアルバム「Q.E.D.mono」をリリースした。2023年3月に東京・日本武道館で単独公演を行ったのち、再び活動休止を発表。2024年3月に活動を再開し、同年11月から2025年1月にかけて3カ月連続シングルをリリースした。同年6月より、開催地域や開催数が不定のワールドツアー「??カ国 ??都市 日の本も飛び出し~増変侵喰愛rosion~TOUR」を行なっている。




