ぜんぶ君のせいだ。|新体制になって、ぜん君。が取り戻したもの

ぜんぶ君のせいだ。に凪(なぎ)あけぼのと征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)が加入。新体制初のシングル「AntiIyours」と再録アルバム「LIVE or DIE~ちぬいち~」が7月31日にリリースされた。

東京・Zepp Tokyoおよび東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを成功させたのち、メンバー・咎憐无が卒業、そして新メンバー加入と、大きな転機を迎えている彼女たち。音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを行い、新メンバー2人のパーソナリティに迫るトークを展開しつつ、新体制ならではの要素が散りばめられた新曲「AntiIyours」の話や、既存の17曲を新体制でレコーディングし直した再録アルバム「LIVE or DIE~ちぬいち~」の聴きどころなどを語ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦

ぜん君。にいなかったタイプ

──5月のワンマンライブで新メンバー2人の加入が発表されました(参照:ぜんぶ君のせいだ。に新メンバー2人加入)。まずは2人の自己紹介からお願いします。

凪あけぼの

凪あけぼの 陽色を担当している凪あけぼのです! 何か食べてるときが一番幸せなんですけど、最近はちょっと自制してます(笑)。

如月愛海 ラーメンが好きなんですよ。ぼの(凪の愛称)は。

 そうです! ラーメンがすっごい好きなんです!

ましろ ぼのはすごく明るいキャラクターですね。今までのぜん君。にはいなかったタイプ。

──「あけぼの」という名前の由来もおそらくそのキャラクターからきているんですよね?

 はい。太陽みたいな笑顔でみんなを照らす!みたいな意味だと思ってます。

──もう1人の新メンバー、十五時さんも自己紹介をお願いします。

征之丞十五時

征之丞十五時 空青色担当の征之丞十五時です。十五時とかいて「おやつ」と読むんですけど、名前の通り甘いものが好きで……15時に限らず暇さえあれば甘いものを食べちゃうくらい、おやつが好きです。十五時は前にぜん君。のライブを観たことがあって、いわゆる「アイドル」のイメージとはかけ離れたパフォーマンスに衝撃を受けたんです。それで「自分もここで一緒にステージに立ちたい」と思ってオーディションを受けました。

如月 十五時はこのハスキーな声がすごく特徴的なんですよ。

征之丞 もともと自分の声に自信がなくて、むしろこのハスキーな声が嫌だった時期もあるんですけど、ぜん君。のオーディションを受けて「この声が武器になる」と言われて、自分の強みにできたらいいなと思っています。高い声もちゃんと出るように、今猛特訓中です。

十五時はめっちゃ触ってくる

──グループのリーダーである如月さんは、オーディションにも関わっていますよね?

如月 はい。

──あけぼのさんと十五時さんの中のどういうところに光るものを感じましたか?

如月 オーディションでいろんな人と面談をする中で「あ、ぜん君。っぽいな」と最初に思ったのがぼのだったんです。私とましろ、四の3人の横に立ってもらった絵を想像したときに全然違和感がなかったんですよね。だから第一印象で「いいな」と思ってたんですけど、ちょっと話してみると思ったより……その……。

一十三四 ちょっと抜けてる“アホな子”なんですよね。ぼのは。

 えへ(笑)。

如月愛海

如月 うん。「あ、もしかしたら一緒にやってくのは大変かもしれない」と思いました。でもそれは一緒に活動してれば、変わっていく部分なんですよね。ぜん君。は活動が濃いから、きっと成長していくことで問題なくなるだろうと思って、まずぼのに加入してもらうことにしたんです。ましろと四には、加入を決めてから会わせたんだよね?

ましろ ぼのを最初に観たとき「あ、かわいい!」と思って。だから全然OKでした。やっぱりかわいいのって大事だと思うんです。ステージに立って踊って歌うところを想像して、すごくかわいいだろうなと思って。あと、これは第一印象とは違う話だけど、一緒に活動していく中で粘り強い一面もあるんですよね。すでに何曲もレコーディングして、ツアーも始まっている中ですごく濃い活動をしていると思うんですけど、ちゃんと食らい付いてきてるし、すごく負けず嫌いでもある。だからぜん君。に向いていると思います。

一十三 これは2人どっちにも言えることなんですけど、ちゃんとぜん君。のことが大好きなのがひしひしと伝わってくるんですよね。「あ、この2人なら全然いける」と思って、グループが目標としている武道館ライブが見えてきた気がしたんです。

──十五時さんに関しては、どんなところに魅力を感じたんですか?

如月 本人にも話したんですけど、最初に十五時に会ったとき、「この人はどこに入ってもやっていける人だな」と思ったんです。ぜん君。には我が強い3人がもういるから、ほかのグループのほうがいいかもしれないな、と思っていたんですけど……。

──結果としてぜん君。に加入することになったわけですよね。

如月 はい。「我が強い」という第一印象は間違ってなかったんですけど、その我の強さが“女の子寄り”なんですよね。

一十三 十五時はめっちゃ触ってくるんですよ!

ましろ

ましろ ウチらみたいな個人の我の強さじゃなくて、周りと生きるための我の強さみたいなものを感じるよね。

如月 “寄り添い型”みたいな我の強さなんですよね。だったらぜん君。のほうがいいかなと思ったんです。私たちはどんなことでも話すし、その分ケンカも多いんですけど、それは1つにまとまるために必要な要素なんですよね。十五時が集団のために強さを発揮してくれるタイプだとしたら、これはぜん君。で生かせるかもしれない、と思って。

征之丞 2回目の面接のとき、社長とスタッフさんたちとめーさん(如月)が2人で「どうする? 入れる?」って話をし始めて……。

如月 そうそう(笑)。十五時からしたら気が気じゃないよね。本人の目の前で加入させるかどうか社長たちと話し合って決めたんです。で、「入れるなら、今日メンバーに会わせよう」ということになり、合格を伝えてすぐメンバーに会わせました。で、そのあといきなりメンバーと一緒にレッスンまでしたんですよ(笑)。すごい展開ですよね。

ポップなぜん君。を取り戻した

──新メンバー2人のお互いの印象はどういうものでしたか?

 十五時を初めて見たとき、モデルの子かと思うくらいかわいいと思ったんですよ。しかもぼのと違って、なんでもうまくこなす器用な子のイメージがあって。なんて言うか、生きるの上手そうだなと思いました。でもそれは最初だけで、今は……。

一十三 「今は自分のほうができるな」って言うの?(笑)

 違う違う(笑)。十五時のほうが覚えはいいし、やっぱり器用なんだけど、一緒に遠征とかしていく中で以外と十五時に抜けているところがあるのも見えてきて。なんか最近は「十五時も意外とアホだな」と思ってます(笑)。

征之丞 アホな子に「アホ」って言われました(笑)。

如月 それでも、ぼののアホはちょっと超えられないよね。

征之丞 超えたくないよ(笑)。

──十五時さんから見て、ぼのさんはどんな方ですか?

征之丞 最初に会ったときは「すごくかわいい」と思いました。とにかく顔がすごくタイプなんですよ! ただ「かわいい子にはどこか裏があるタイプが多いぞ」と思って最初は警戒してたんです。でもぼのの場合は裏表のない、純粋なアホな子だったんで、すごく安心しました。ただただ抜けてる子なんです。

 えへへ(笑)。

如月 たぶん照れ笑いしてるけど、照れるところじゃないよね(笑)。

征之丞 ぼのがいると本当に場が明るくなるんですよね。私たち2人は一緒に泊まる機会も多いんですけど、すごく楽しい毎日を過ごさせてもらってます。

──先輩メンバー3人はグループの変化をどう感じていますか?

一十三四

一十三 抜けてるけどポップな2人が入ったので、グループの空気感はけっこう変わったかもしれないですね。なんだかワイワイする機会が増えたというか。

如月 最近のウチら、うるさくなったよね(笑)。

ましろ 3人だけのぜん君。って気が強くて真剣で、もしかしたらとげとげしかったり、熱すぎたりした部分があったかもしれないんです。でも2人が入ることによって、ちょっとポップな感じを取り戻せたというか。ぼのが騒いで、十五時がちょっと慌てたりしてるのを3人が見てる感じがなんか新しくて、なんだか楽しくなってきた感じがあります。

一十三 それと5人になって今までできなかったパフォーマンスができるようになったのが楽しいですね。

如月 ぜん君。はもともと5人組だったけど、4人時代がけっこう長かったので、すっかり4人で魅せるパフォーマンスに慣れていたんです。改めて昔の曲を5人でやるのは面白いし、4人でフォーメーションを組んでいた曲を5人用に一新するのも面白くて。いろんな角度から見てもらって面白いように、既存の曲のフォーメーションをどんどん改良しているところです。