みんなの反応にびっくり

──ミュージックビデオがYouTubeで公開されていますが反応っていかがですか？

小倉　思ってた以上に反響があってびっくりしました。今回はけっこう……。

──面白いというか複雑な作り。

小倉　そう！ 複雑すぎて、撮ってるときに仕上がりがどうなるかわからなくて。

──さっきまで浴衣を着て縁日にいたのに、なんだかよくわからないボロボロのマントをまとって荒野に佇んでいたり（笑）。

小倉　1日で撮影したんで、どうつながってくのか正直完成するまで全然見えなかったんですよ。実は1つのストーリーにつながってる部分があって、そこが皆さんにも伝わるのかな？って思ってたんですけど、意外とみんなわかってて。

石原　ね！ すごいよね。

小倉　だからみんなの反応にびっくりしました。あんまり言うとネタバレになってしまうんですけど、今までのシングルとちょっとリンクしてる部分があったりして。私たちもあとでスタッフさんに言われてようやく気付くっていう感じだったのに。

石原　全然わかんなかったよね。みんなよく観てるなと思った。

──ではもし気付いてない人は、今後そういう目でもう1回観直してもらうと新しい発見がありそうですね。

小倉　あると思います。いっぱい小細工が用意されてるので。

声優をやってるからこそできる表現

──カップリングの「真夏ハプニング」は服部祐希さんが作詞作曲と編曲を手がけてますね。サウンドはゆいかおりにしては珍しく、いわゆるパンクっぽいというか、歪んだギターで音をきっちり汚してる感じで。

小倉　最初に曲もらったときにびっくりしました。ホントにパンク感がすごくて、これゆいかおりでどうやるんだろう？って思って。しかも服部さん歌が上手なんで、一応同じキーで歌ってはくれてるんですけど、完成されてるんですよ。

──ご本人自ら仮歌を歌ってるんですね。

小倉　完璧ですから、その仮歌。服部さんの今までの仮歌を並べたらセルフカバーアルバムができると思います（笑）。

──服部さんは3rdアルバム「Bright Canary」収録の「倍速∞ラブストレート」も手がけてますよね。この「真夏ハプニング」も「倍速」と同じく完全に一人称で心の中の声すら歌うっていうスタイルで、かつ好きな男の子の近くにいるんだけどなんにも事件が起きてないっていうところも……。

小倉　「倍速」と一緒ですね。

──正直、お二人共この歌詞に出てくるような「夏だ、海だ、イエーイ！」っていうキャラではないですよね。

石原　海とか全然行かないね。

小倉　うん、行かないね。

──でも、だからと言って演じてるとか嘘を付いてるようにも聞こえないんですよね。それがすごく面白いなと思って。こういう曲を歌うときって、お芝居をしてる感覚に近いんですか？

小倉　セリフっぽく歌ったっていうのはけっこうあったかもしれません。たぶん声優をやっていなかったら「どういうふうに歌えばいいんだろう？」って戸惑ってたと思うんですけど、ゲームとかアニメとかで培ってきたものがあるから、こんなふうに表現したらいいんだろうなっていうのがイメージできるというか。

石原　芝居しようと思ってやってるわけじゃなくて、無意識にやってるよね。私はレコーディング当日、ディレクターさんから「海でやってる夏フェスみたいな、ノリノリな感じだよ」って言われた瞬間に「じゃあ大丈夫だ」って思いました。そういうフェスに行ったことはないですけど、テレビのニュースでそういう光景を観たことがあって、どんなテンションかっていうのがわかっていたので。「その気持ちを想像してみよう」と思いながら、雨の日にレコーディングしました（笑）。

──それいいですね（笑）。行ったこともなければ晴れてもない状況で、海辺のフェスの光景を思い浮かべて歌うっていう。そうやってニュース映像観ただけで実際に行ったことのない野外ライブをイメージして、都内のスタジオでなりきれてしまうっていうのはプロの技術ですね。

小倉　言われてみればそうだね。そういう技術は独特なのかもね。

石原　声優をやってると、みんなさっきまでおしゃべりしてたのに急に役に入っちゃうもんね。そういうので慣れてるのかな。

──かなりすごいことやってますよね。でもご本人たち的には言われて気付くというか、それくらいの感じなんですね。

小倉　普段からそんな感じだもんね。

石原　うん。

──そういう訓練って普段からやってるものなんですか？

小倉　無意識かなあ。

──もらった脚本読んでキャラクターの気持ちを考えることを繰り返していたら自然とできるようになった？

小倉　たぶんそうですね。「同じセリフでもこのキャラクターはどっちの意味で言ってるんだろう」とか、そういうことは常に何パターンか考えてますね。