音楽ナタリー Power Push - 吉田山田

「オールナイトニッポン0(ZERO)」密着レポート&インタビューで迫る2人の音楽の糧

心が込もったベタは伝わる

──お2人にとって「吉田山田のオールナイトニッポン0(ZERO)」という番組は、どんな存在になりましたか?

吉田 すごく栄養になっているというか、ラジオを通じて皆さんと出会ったことが糧になっていると感じています。ラジオのスタッフさんとか、芸人さんとか、全然道は違うんですけど、根っこにある「何か人にいい影響を与えたい」っていう思いはみんな同じなんだなって気付いたんですよ。だから僕はアーティストとして、その人たちと肩を並べて仕事ができるように、ちゃんと心を込めて曲を作っていかなきゃいけないなって思いましたね。

──昨年12月に東京・TOKYO DOME CITY HALLで行われた全国ツアー「吉田山田ツアー2015冬~光と闇~」のファイナルでは、MCで「音楽以外のことが音楽につながっている」と話していました(参照:吉田山田「光と闇」ツアー終幕「最高の背中を見せて歩いていく」)。どういうときに音楽以外のことが音楽につながっていると感じますか?

山田義孝(Vo)

山田 さっき言いかけた忘年会の話につながるんですけど、年末の忘年会のときに、サプライズで構成作家の奥田(泰)さんの誕生日をお祝いしたんです。ケーキとプレゼントを用意して。奥田さんってヒネくれた性格の人だから「なんだこれ、いらねえよ!」って言われるかなって思ってたんですけど、実際にプレゼントを渡して「おめでとうございます」ってお祝いしてみたら、ちょっと泣きそうになりながら「あ、うれしい!」って答えてくれたんです。話を聞いてみたら、これまでそういうことをされたことがなかったみたいで。

吉田 普通に涙目になってたよね。

山田 僕は「心が込もってるベタって強いな」とそのときに感じて。真っ直ぐな気持ちって、ちゃんと人に届くんだなっていうのは学びましたね。こういう発見がこれからの曲作りのエッセンスになるだろうと思ってます。

吉田 僕は、番組のパーソナリティを始めた頃「もっとおしゃべりがうまくなりたい」って思ってたんですけど、途中から「この人たちと一緒に面白いことを作り続けていくためには、いい曲を作るしかないな」って思うようになったんです。おしゃべりが上手になることが僕らの仕事じゃなくて、僕らはやっぱり曲で人の心を動かさなきゃいけない。それができた上で「あの曲を作っている吉田山田が今夜しゃべります」っていうのが正しいんじゃないかなって。僕はそこに気付けてすごくよかったと感じてますね。

盛り上がるの一個先“ブチ上がる”

──3月2日に発売されたばかりのアルバム「47【ヨンナナ】」についても話を聞かせてください。今回アルバムではアップテンポな曲は山田さんが、バラードナンバーは吉田さんが作っているという印象でした。お2人の中で役割を意識して曲作りをしたのでしょうか?

吉田結威(G, Vo)

吉田 僕はあんまり考えず、作りたい曲を作ってたんですよ。アップテンポの曲をまったく作らなかったわけではなかったんですけど、どちらかというとゆっくりした曲を作りたい時期だったみたいで。そうしたら山田に「よっちゃんはバラードが多そうだから、僕はアップテンポな曲を作ろうと思った」と言われて。だから今回はお互いが役割を意識したというより、山田がバランスを取ってくれたってことになりますね。

山田 よっちゃんからもらうデモを聴きながら「バラードが多めだな」とは感じていたんですけど、もともと僕は「日々」をきっかけに吉田山田を知ってもらった人に、アップテンポのいい曲を好きになってもらいたいと思っていたんです。そういう思いから、突き抜けるような曲が作りたいと思って書いたのが「未来」ですし、“盛り上がる”のもう1つ先にある“ブチ上がる”に達したくて作ったのが「押し出せ」ですね。

──「押し出せ」はライブでの盛り上がりが楽しみな楽曲だと思いました。

山田 ブチ上がるためには、誰でも口ずさめる歌詞がいいかなと思ってたんです。実は僕、デビュー当時のライブのときに「押し出せ、ネガティブを押し出せ!」って、口癖のように言ってたんですよね。それを思い出して、ライブで歌えるように曲にしたのが「押し出せ」なんです。7年前の自分からのバトンを受け取ったような、そんな気がしました。

──自然と2人が作りたい曲と向き合った結果、でき上がったものが今回の「47【ヨンナナ】」というアルバムなんですね。

吉田 歳を取るごとに「山田と音楽をやれてよかったな」って思うんです。僕らはただ偶然高校が同じで、一緒にやったら楽しそうだからって理由で高校時代の付き合いの延長のような感覚で吉田山田というユニットを始めたんです。そんな中、いろんな人と会ったり、ほかのバンドの方を見たりして、僕ら2人って本当にいいコンビなんだなって、最近思うようになりました。

10人の前で歌うほうが緊張する

──4月には47都道府県ツアー「吉田山田47都道府県ツアー~二人また旅2016~」が始まります。

吉田 今回は2人だけで各地を回るんですけど、きっと今の自分たちの心が全部出ちゃうツアーになるんだろうなって思ってます。47都道府県すべて回るわけですから、声がよく出たとか出なかったとか、いろんな日があると思うんですけど、そういう部分じゃなくて心でお客さんと共鳴し合えたら大成功なんじゃないかなって思ってますね。

山田 今回の47都道府県ツアーって、お客さんとの距離が近い会場が多いんです。何千人の前で歌うより、少人数の前で歌うほうが緊張することってあると思うから、大きな会場で歌うより緊張するライブがあるかもしれないですね。でもそれは1人ひとりのお客さんの存在をより大きく感じながらライブをするってことですから。お客さんの心が震える瞬間、僕らと皆さんの心が共鳴する瞬間をちゃんとつかみたいですね。

吉田山田
ニューアルバム「47【ヨンナナ】」 / 2016年3月2日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤 [CD+フォトブック] 3780円 / PCCA-04348
通常盤 [CD] 2700円 / PCCA-04349
収録曲
  1. てんてんてんて
  2. 告白
  3. 全う
  4. タイムマシン
  5. 未来(Album Mix)
  6. キミに会いたいな
  7. 母のうた
  8. OK
  9. 新しい世界へ
  10. Today,Tonight
  11. 押し出せ
  12. ためいき
  13. 日々 -弾き語り-(通常盤ボーナストラック)
第1回 吉田山田のオールナイトニッポン0(ZERO) LIVE THE FINAL

2016年3月15日(火)東京都 TSUTAYA O-WEST
OPEN 18:00 / START 19:00

出演者

吉田山田 / ラブレターズ / wacci / 荒川ケンタウロス / 大福 / and more

吉田山田47都道府県ツアー ~二人また旅2016~
吉田山田祭り2016

2016年8月20日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂

吉田山田(ヨシダヤマダ)
吉田山田

吉田結威(G, Vo)と山田義孝(Vo)からなる男性2人組ユニット。高校時代に出会った2人が紆余曲折を経て、2003年頃から2人で音楽活動をスタート。地道なライブ活動を経て、2009年10月にシングル「ガムシャランナー」でメジャーデビューを果たす。NHK「みんなのうた」2013年12月・2014年1月オンエア楽曲の「日々」を同年12月に発売し、各方面から大反響を呼んだ。2014年1月、3rdアルバム「吉田山田」をリリース。同年12月にはシングルコレクション「吉田山田シングルズ」を発売した。また2015年4月からはニッポン放送「吉田山田のオールナイトニッポン0(ZERO)」のレギュラーパーソナリティを担当している。2016年3月に4thアルバム「47【ヨンナナ】」をリリース。4月からは最新アルバムを携えて47都道府県ツアーを開催する。