吉田山田×兼松衆「ひとつぶ」インタビュー|ごはん大好きな3人が“ひとつぶ”に込めた思い

吉田山田が新曲「ひとつぶ」を3月19日に配信リリースする。

「ひとつぶ」は、JA全農が展開する国産米消費企画「NORICE NOLIFE PROJECT」のタイアップソングとして制作されたナンバー。作曲には吉田山田と10年来の付き合いである兼松衆を招き、クレジットには連名で吉田山田と兼松の名前が並んでいる。今回の特集では吉田山田と共同制作者である兼松の3人へのインタビューを実施。各々の食へのこだわりなどを交えながら、お米をテーマに作られた新曲「ひとつぶ」の制作背景に迫る。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 堀内彩香

ごはんが嫌いな人はいない

──「お米」がテーマのプロジェクト「NORICE NOLIFE」とのタイアップということもあり、まずは皆さんがごはん派かパン派かを伺えればと思います。

吉田結威(G, Vo) ごはん派です。

山田義孝(Vo) ごはん派です。

兼松衆 ごはん……ですね(笑)。

吉田 「ごはん派」と答えるしかない質問しないでくださいよ(笑)。

吉田山田

──皆さんごはん派ということで安心しました。ごはんに対するこだわりってありますか?

山田 最近精米機を買って、玄米を家で精米して食べているくらい、ごはんが好きです。精米の割合をボタンで変えられるから、自分の好みを探していろんな精米を試していて。精米したてのごはんを炊くとそれだけでおいしいんですよね。

吉田結威(G, Vo)

吉田 精米機まではないけど、家のすぐ近くにお米屋さんがあって、店の前を通るとお米屋さんの家族がいつも挨拶してくれるんです。僕は一人暮らしなので、1kgずつくらいしか買わないんですが、お米屋さんに「今週はこういうおいしいお米が入りましたよ」と教えてもらったものを買って帰ったら、ちょっと多めに炊いたとしてもその日のうちに全部食べちゃうくらい、ごはんそのものが好きですね。極論、ごはんが嫌いな人っていないと思うんですよ。

兼松 僕は1年前くらいからぬか漬けを始めたんですよ。だから今精米の話を聞いて、ぬかをどうしているのか気になって……。

山田 お風呂に入れてるかな。一度だけぬか漬けにも使ってみたんだけど、ぬかがフレッシュすぎたのかちょっと酸味が強くなっちゃって。

兼松 そうそう。精米したてのぬかはちゃんと炒らないといけないんだよね。僕はぬか漬け用のぬかを買ってきて、毎日ぬかを混ぜてます。自粛期間だから始めたわけではないんだけど、これがけっこう楽しくて。

山田 精米しているからわかるけど、お米を精米して出てきたぬかは食にも使えるし、お風呂にも入れられる。捨てられるところがないんですよね。そういう側面でも「お米ってすごいな」と思って、今けっこう興味があるんですよ。いつか精米で出たぬかで漬け物を作ってみたいですね。

田んぼの「田」が2つも入ったアーティスト

──番組やイベントとのタイアップはこれまでもいくつかありましたが、“お米”という広いテーマとのタイアップは珍しいですよね。どういう経緯で吉田山田さんにオファーが来たんでしょうか?

吉田 これ、嘘みたいな本当の話なんですが、JA全農さんからは「“吉田山田”という、アーティスト名に田んぼの田が2つも入ったアーティストにお願いしたい!」という理由だと聞きました。吉田山田という名前でよかったですね(笑)。もちろん僕らの音楽を聴いてくれたうえでオファーしてくれたんですが、こういうご縁でタイアップが舞い込んでくることがあるのか、と驚きました。兼松くんとはもう10年以上の付き合いで、これまで何度も一緒に音楽を作ってきたんですが、今回は「吉田山田と兼松衆」というクレジットで新曲を作らせていただきました。

山田 今日は取材だから「兼松くん」と呼んでいますけど、普段はずっと「かねまっちゃん」って呼んでいるくらいだから(笑)。これまで何度も吉田山田の曲を編曲してくれていたし、僕が鼻歌で作ったメロディを曲にするお手伝いを何度もしてくれたから、本当に気心の知れた仲なんです。

──3人での曲作りはどのように進めていったんでしょうか?

兼松 自由に作れたよね。

吉田山田
おにぎり

山田 それぞれ湧いて出てきたアイデアがあって、デモだけでも4、5曲あったんだよね。こういうとき、だいたい1、2曲出てくればいいほうだと思うんだけど、今回はテーマが広かったからか、3人がいろんなアプローチで曲のアイデアを持ち寄れたと思う。

吉田 ひさびさに「楽しい!」と思える曲作りができたんですよね。もちろん、こういう仕事をしているわけですから、基本的には音楽を作るのは楽しいんです。ただ作品を形にするためにはどこかに“生みの苦しみ”が入ってくるものなんですが、今回は苦しいと思うところが本当になかった。3人で否定し合うようなこともなく、いいアイデアを出し合いながら1つの作品を完成させられることができて、すごく楽しかった記憶しかないですね。

──いくつもデモがある中で、本採用された「ひとつぶ」が選ばれた理由は?

吉田 僕らは47都道府県ツアーを回ったこともあって、全国各地の“おいしいものの記憶”があるんです。そういう思い出をイメージしながら曲を作ると、どうしても力の入った熱い歌を作りがちなんですよね。でも今回JA全農さんからいただいたオファーは、もっと明るくて踊れるようなキャッチーさが求められていると思っていて。吉田山田だけだったらちょっと重めな食に対する思いを歌ってしまうところを、兼松くんにダンサブルなサウンドに仕上げてもらいました。

兼松 実は最終的な候補に挙がっていたもう1曲はもっと明るかったんですよ。子供たちと一緒に合唱する、みたいな方向の振り切った案もあったんですが、今の吉田山田がキャンペーンソングとして歌うなら、こういう形じゃないかな、と思って今の「ひとつぶ」という曲に落ち着きました。