ナタリー PowerPush - 安田レイ×玉井健二

「Happy Birthday」から始まった7年の軌跡

声はもう天才だと思う

──そこでボーカリストにも抜擢され、安田さんは元気ロケッツのLumiとしてデビューを果たすことになったわけですね。

玉井 今思うと面白い話ですよね。学校があるからってオーディションに遅れてきた女の子が「Happy Birthday to You」を歌い、いきなり世界デビューしたわけですから。

安田 うふふふふ。不思議ですね(笑)。当時はモデルのお仕事をいろいろやらせていただいていたんですけど、映像の撮影は元気ロケッツのPVが初めてだったんですよ。なので緊張もしましたけど、とにかく楽しかったです。夢だった歌うお仕事ができるのも本当にうれしかったですし。

玉井 13歳のレイちゃんにとって初めてのムービー撮影は本当に大変だったんでしょうけど、そのときも寝てましたからね。

安田 すぐ寝ちゃうんですよね、すみません、ほんとに(笑)。

──13歳にして大物な感じがしますね(笑)。玉井さんは、安田さんのボーカリストとしての魅力はどんな部分にあると思いますか?

玉井健二

玉井 レイちゃん自身、日本とアメリカのハイブリッドなので、当たり前ですけど声自体にもハイブリッドな魅力があるんですよね。ものすごくピュアなんだけど、強さもある。クセがあるようでなく、ないようであったりもする……うまく表現できないんだけど、唯一無二な声だと思いますね。今まで言ったことないけど、声はもう天才だと思う。

安田 うれしいですね(笑)。元気ロケッツの活動はすごく刺激的でしたし、いろいろなレッスンを受けさせてもらうこともできたので、ボーカリストとしてたくさんのことを吸収できたんじゃないかなって思います。

玉井 そうだね。自分はどんな音楽が好きなのかっていう部分を研究しながら、いろんなことを1個1個覚えていこうねっていうことから始めたので。歌だけじゃなく、ギターやDJ、ダンスなんかもやったもんね。まあでも13歳からの7年間のうち、3年半は寝てたと思うけど(笑)。

この7年間ですごく成長できたと思う

──元気ロケッツの活動をしていく中で、安田さんの中にはソロデビューしたいという思いも芽生え始めていたんでしょうか?

安田 はい。そういう気持ちはどんどん強くなっていきました。元気ロケッツのLumiとしてだけではなく、本当の自分、安田レイとしても歌っていきたいって。やっぱりLumiという設定の中で歌うのと、自分として歌うのでは感覚的に違うところがあるんですよ。

玉井 歌にしても映像にしても、ある種、役柄を演じてきてるわけですからね。それはやっぱり大きく違うところだと思います。ただ、当初から「私はモデルとかいろいろなことをやってるけど一番やりたいのは音楽なんだ」っていう強い意思表示があったので、僕もプロとして最初からずっとそういう目線で接してきました。

──玉井さんの中にも、安田さんのソロデビューの構想は明確にあったと。

玉井 うん。いずれ一人称で世に出るということはずっと頭の中にありました。だからね、今だから言える話ですけど、レイちゃんには相当厳しいこと、高いハードルをたくさん課してきたんですよ。例えば美人で歌がうまいってなれば“デビューをする”こと自体はそんなに難しいことじゃないかもしれない。でもそこからずっと理想的な位置にい続けるとか、人から支持され続けるっていうことはやっぱり並大抵のことではないんですよ。だからこそレイちゃんにはそういう世に出た瞬間からずーっと多くの人々に求め続けられる“アーティスト”としての能力を身につけてもらうために、音楽的なことはもちろん、生き方だったりも含めて相当努力してもらったと思います。

──厳しく鍛えられてきたわけですね。

安田 そうですね。ほんとに……厳しかったと思います。正直、私としてはもうちょっと早くソロデビューできたらなっていう気持ちもあったんですけど、玉井さんがおっしゃるように、そのためにはしっかり段階を踏んでいくことが大切だし、1個1個がんばってやっていくことに意味があるなってことがわかって。この7年間ですごく成長できたんじゃないかなって自分でも思うので、20歳になった今、こうしてソロデビューすることができるのは本当にうれしいことです。

ニューシングル「Best of my Love」/ 2013年7月3日発売 / SME Records
期間生産限定盤 [CD]1300円 / SECL-1355
通常盤 [CD] 1223円 / SECL-1354
収録曲
  1. Best of my Love
  2. styles
  3. フォゲミナ

安田レイ(やすだれい)

1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州で生まれる。3歳で日本へ移住し10歳の頃に母親が聴いていた宇多田ヒカルの楽曲に衝撃を受けてシンガーを志す。モデル活動を始めたことがきっかけとなり、13歳のときに元気ロケッツのオーディションに合格。架空の女性「Lumi」のモデルとなりボーカリストとしてもプロジェクトに参加する。2013年7月3日に「Best of my Love」でメジャーデビューを果たす。同曲はMBS・TBS系テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」のエンディングテーマに起用された。

玉井健二(たまいけんじ)

YUKI、中島美嘉、flumpool、CNBLUEら多数のヒット作を手がける音楽プロデューサー。自身のユニット・元気ロケッツでは音楽と映像のハイブリッドな融合を実現し、世界で高い評価を獲得する。代表を務めるクリエイターズラボ「agehasprings」関連のCD+DVDの総売上枚数は2005年発売以降分のみで3500万枚を突破しており、近年ではFM局のブランディングプロデュースやアプリ開発に携わるなど、その活動は多岐にわたる。