ナタリー PowerPush - X JAPAN
YOSHIKI単独インタビュー
世界市場では新人バンドですから
──特に90年代の後半は、X JAPAN自体が巨大なプロジェクトになっていましたが、その時代と比べると、今はフットワーク軽く活動している印象がありますね。
海外だと当然「あんたたち誰?」みたいに言われることもありますからね。場合によってはプライドとかズタズタにされるわけです。それでも前に進んでいきたいと思ったら、やはり初心に返るしかない。世界市場で考えれば、まあ新人バンドですからね。
──以前のX JAPANと復活後のX JAPANで、メンバー間の関係性は変わりましたか?
まあ、そうですね。海外ツアーを回ってると、一緒にいる時間がすごく多いんです。必要最小限のスタッフで動いてるんで、メンバー同士の距離が近まるんですよね。ツアーバスで一緒にお酒を飲んだりとか。バンドらしくなってきてますね。
──じゃあ今後の活動にも期待できそうですね。
再結成して最初に東京ドーム3DAYSをやったときは、X JAPANがこの先続いていくのか、そのときだけのものなのか、まだわからなかったんですよね。ラストライブが強烈すぎて痛みしかなかったんで、ちゃんと再結成をして有終の美を飾る、ピリオドを打つのが目的だったところもあって。でもやっぱりやるからには同窓会みたいなライブはしたくないし、常に進化していきたい。だから今回のツアーも新曲と昔の曲を50%ずつにして、今のX JAPANを観てほしい、再結成前のX JAPANに負けたくないって思いながらやってます。
ニューアルバムはほとんど完成している
──ところでニューアルバムの制作は順調ですか?
本当はヨーロッパツアー前に完成させようと思ってたんですけど(笑)。
──では、今はほぼ完成に近い感じでしょうか?
はい。もうボーカル録りは終わってますし、ドラム録りもほとんど終わってる。ただもう1曲入れたいなと思って、そこで悩んじゃってるんですけど、基本的にはできてます。
──どんな内容になりますか?
新曲と旧曲が入り乱れてる感じで。今現在考えられる最高のX JAPANをこのアルバムで出したいんですよね。海外だと新人バンドですし「これがX JAPANだ」っていう名刺になるようなアルバムに。
──旧曲は英語バージョンで収録されるんですか?
北米ツアー前は100%英語にしちゃおうと思ってたんですよ。でもツアーの途中で、これは意図的に日本語を入れたほうがいいだろうって。とはいっても日本語が2割を超えることはないと思うんですけど。
──まだ我々が聴いたことのない新曲もあるわけですよね。
ありますね。今のX JAPANを感じてもらえると思います。
──発売はいつ頃になりそうですか?
明日出せって言われたら今できてる曲だけで出しちゃうこともできるんですけど……。
──あと1曲が決まらない?
そうですね。あとはアルバムの意味っていうのがここ数年で変わってきてると思うんです。今これだけ配信がメインの時代になって、どのようにアルバムのコンセプトを伝えるべきなのか、そもそも「アルバムって重要なの?」って思ったりもして。そのあたりでちょっと悩んでる部分はありますね。
英語詞にあえて日本語のアクセントを取り入れる
──レコーディングは長期間に及んでいますが、実際何にそんなに時間がかかっているんですか?
まあ、自分でもどこかで区切りをつけなければいけないと思うんですけどね(笑)。具体的には、例えば「JADE」という曲をこの前配信しましたけど、そのあとにマスタリングを世界のトップと言われてる4人にやってもらったんですよ。
──え、じゃあ完成形が4パターンある?
その中から一番いいものを選ぼうってことですね。あと自分のスタジオでいつでも最高のレコーディングができる環境があるっていうのが実は逆に良くなかったかも(笑)。機材が多いからチョイスに時間がかかるっていうのもあるし。
──贅沢な悩みですね(笑)。
まあ、でも昔から時間がかかるバンドなんですよね。1つひとつの部分を細かく見すぎちゃうんです。気付くと全体像が見えなくなって、あとから全体像が見えたら「やっぱりもう一回やり直そう」って。ボーカルも今回は英語がメインなんで、ToshIも発音がんばってくれてるんですけど、かと言って僕らはアメリカ人ではないんで、多少日本語っぽい発音も取り入れるべきだっていうことで、ずっとチョイスを続けていたり。
──あえて日本語っぽい発音に?
そうですね。単純にきれいな英語にはしないで、この部分にわざと日本語のアクセントをつけてみようとか。
収録曲
- Amethyst
- Rusty Nail
- Week End
- SCARS
- DAHLIA
- Drum Break
- DRAIN
- ピアノソロ
- Crucify My Love
- Longing~跡切れたMelody~
- 紅
- Orgasm
- Forever Love
- Prologue-World Anthem
- X
- Endless Rain
初回限定盤 封入特典
- 復刻ツアーパンフレット(縮刷版)
- TOKYO DOME LIVE DVD 全4BOX購入者プレゼントキャンペーン応募券
初回限定盤 特典映像
- 復刻ツアーパンフレット(縮刷版)
- XJAPANメンバーのインタビュー映像
X JAPAN(えっくすじゃぱん)
1982年にYOSHIKI(Dr, Piano)とToshI(Vo)を中心に結成される。インディーズで絶大な人気を誇り、1989年にアルバム「BLUE BLOOD」でメジャーシーンに進出する。派手なメイクと衣装に代表される独特のスタイルが大きく注目される一方で、圧倒的なヘヴィメタルサウンドと確かな演奏力が高評価を獲得。攻撃的なメタルナンバーとドラマチックなバラードの双方に定評があり、ヴィジュアル系バンドの先駆者的存在としても認知されている。人気絶頂の1997年、ToshIの脱退宣言を機に解散。再結成が熱望されるが翌1998年にHIDEが急逝し、復活は絶望視される。しかし2007年10月に突然活動再開を宣言しファンを熱狂させた。アジア諸国やアメリカ、ヨーロッパなどでの人気も高く、復活第1弾となった新曲「I.V.」はハリウッド映画「SAW4」のメインテーマソングに起用。本作で念願の世界デビューを果たしている。2008年3月には復活ライブを東京ドームを3日間にわたり開催し、各地からファンが集まった。2009年5月にはSUGIZO(G)が新メンバーとして正式加入している。