YOSHIKI初監督の映画「YOSHIKI:UNDER THE SKY」の劇場公開が発表された。本作への注目が集まる中、YOSHIKIプロデュースによる新グループ・XYのメジャーデビューシングル「Crazy Love」が、6月30日に全世界配信された。
音楽ナタリーでは多忙を極めるYOSHIKIの仕事の合間を縫ってインタビュー。デビューを果たしたXYの今後の展望を中心に、自身の活動について、そして亡き母に捧げる新曲「REQUIEM」に込めた思いを聞いた。
取材・文 / 田中和宏
YOSHIKIの想像を超える可能性を秘めたXY
──XYがついに6月30日に全世界デビューしました。まず改めて、バンドメンバーとダンスボーカルのメンバー合計13人が集まった手応えを伺いたいです。オーディション募集時の想像を超えるものになりましたか?
自分にはすごく高い目標があるのですが、今回集まったメンバーは、今後僕の想像を超える可能性を秘めた13人です。
──XYはバンド&ダンスボーカルというハイブリッドな編成ですが、メンバーの個性を受け止めて楽曲制作しているんですか?
あるときから、「こういう音楽を作りたいから、こういう人を集めたい」から、「こういうアーティストがいるから、こういう音楽を作りたい」というふうに変わってきたんです。音楽は自由でいいし、誰に書くかによって作風が変わってもいい。XYはこのメンバーが集まったから、こういう音楽が生まれた、ということですね。
──YOSHIKIさん自身も13人から刺激を受けているという。
そうですね。自分の中で思い浮かぶXYのイメージを形にしていくという作業です。必ずしも毎回そうではないのですが。
──話が前後するのですが、オーディション中にはボーカリスト・YOSHIさんの突然の訃報がありました。このプロジェクトを続行したのは、ご遺族の思いなどもいろいろあったと思うのですが、どういった気持ちの変化を経て以前より信念として掲げている“Show must go on”の境地にまで至ったんでしょうか。
オーディションの段階で、「バンドのボーカリストはもうYOSHIで決まりだ」と思ってたんです。アメリカでの合宿にも彼は来ていましたから。でもこれからというところでああいったことがあり、心に穴が空いてしまった。そのときも頭のどこかで「きっと“Show must go on”なんだろう」と思いながらも、「なんで人生っていつもこういう展開を迎えるんだろう」という思いがあって……すごく悲しかったです。でもYOSHIの遺志を受け継ぐために、XYメンバーが結束したというところは確かにあるんです。“オーディションで集まった人同士”から、少しずつ“仲間”になっていったという。
──生前にYOSHIさんがおっしゃっていた「愛とリスペクトをもって、ロックしていく」というアティテュードがXYに宿っているという。
そうですね。
XY海外初パフォーマンス「新たなドアを開けたに過ぎない」
──7月15日にはフランスで開催された「Japan Expo」に出演されて、そこではXYも登場して海外での初パフォーマンスを行いました。映像を拝見したところ、現地のお客さんがとても盛り上がっていましたね。
はい。でも僕のスケジュールがむちゃくちゃだったんですよ(笑)。日本を出発してからまずパリに入って、次の日にドイツに行って、そしてイベント当日の朝、またパリに戻りまして。コンサートプロダクションチームにはイギリスから急遽来てもらっていたんですけど、機材トラブルがあってリハーサルがほぼできなかったんです。海外公演ではうまくいかないことのほうが多いので、XYのメンバーには「どんな状況でも全力を尽くして、がんばろうね」と話しました。彼らもそれを実践してくれたのがすごくよかったです。僕は「Japan Expo」でドラムソロも披露したんですが、直前までやるかどうか悩んでたんです。自分のドラムヘッドは持っていったけど、用意してもらったドラムセットと口径が違ったりして(笑)。「もうなんでもいいや!」と、与えられた環境でできる限りのことをやろうと開き直れました。
──YOSHIKIさんは以前から「世界に通用する芸術」を目指されています。XYでもそれが叶いつつある状況ですか?
XYについてはまだ「新たなドアを開けた」に過ぎない状態です。オーディションを始めた時点で世界を目指していましたので、まだまだここは入り口ですね。現在、アジアの音楽シーンにはK-POPのアーティストはもちろん、日本にも素晴らしいアーティストがたくさん生まれていますので、その中でどう自分たちを差別化できるか。X JAPANではクラシックとロックを融合することでほかのアーティストと差別化ができたと思っています。XYではそれぞれに強みのある分野を持つ素晴らしいメンバーが集まったので、それをうまく生かせるような楽曲を書いていきます。言うならば“ジャンルレスのジャンル”を攻めて、世界に向かっていきたいと思っているところです。
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いつにも増して激動の2023年