「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」が、6月3日に公開される。映画の元となったのは、1979年に放送されたTVアニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」。過去の「機動戦士ガンダム」劇場版3部作では割愛された異色のエピソードとして知られ、ジオン軍の脱走兵ククルス・ドアンや、島に住む親を亡くした子供たちとアムロの交流、そして戦いが描かれた。今作では、「機動戦士ガンダム」にスタッフとして携わり、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を手がけた安彦良和が監督として、このエピソードを甦らせる。
コミックナタリーでは、再び大地に立つガンダムの勇姿をひと足先に観てもらおうと、「ガンダム」が好きだという浦井のりひろ(男性ブランコ)、片桐仁、SUGIZO(LUNA SEA / X JAPAN)、世界(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)、ともしげ(モグライダー)に声を掛けた。40年超の年月を経て生まれ変わったガンダムとドアンザクの激闘は、5人の目にどう映ったのか。
構成 / 粕谷太智
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」とは
1979年に放送されたTVアニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」。「機動戦士ガンダム」劇場版3部作では割愛されたこの異色のエピソードを、アニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」で総監督を務めた安彦良和が新たに生まれ変わらせたのが、映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」だ。
無人島、通称“帰らずの島”の残敵掃討任務を言い渡されたアムロたちは、その島でいるはずのない子供たちと一機のザクと出会う。そのザクを操るのが、ジオン公国軍の脱走兵であり、歴戦のモビルスーツパイロットのククルス・ドアンだ。彼は、アムロの繰るガンダムと交戦し圧倒。戦闘後にドアンによって助けられたアムロは、親を亡くした子供たちや、戦争後の穏やかな生活を望むドアンとの交流を通して徐々に心境が変化していく。しかし、そこにドアンの命を狙うかつての部下サザンクロス隊が現れ……。
今作では、古谷徹が約40年ぶりに15歳のアムロ・レイを演じることも話題に。また安彦監督は「ガンダムを映像で作るのはこれが最後」だと明かしており、特別な思いを持って臨んだ1作であることがうかがえる。
「機動戦士ガンダム」最新作をいち早く観た5人のコメントを紹介!
浦井のりひろ(男性ブランコ)
昔の僕に「映画で『ククルス・ドアンの島』がリメイクされるぞ!」と言っても「そんなわけあるか! バーカ!」と信じなかったでしょう。初代ガンダムの名エピソードでありながら、単発話故に劇場版では割愛されたこのエピソードをなぜ今長編映画にするのか、最初は疑問でした。
しかし、本編中のアムロやブライトをはじめとしたホワイトベースのクルー、そしてククルス・ドアンと島の子供たちの生き生きとした姿を観ると、そんな思いはコロニーレーザーを撃たれた連邦艦隊の如く消し飛びました。
「あれ? 今ガンダム観てるんだよな?」となるほどに本編中にはほのぼのとした描写がたくさん盛り込まれています。人類の半分を失うほどの大戦の最中にあって、これだけ牧歌的なシーンを描けるのは確かにこのエピソードを置いてほかにないでしょう。
モビルスーツ戦も素晴らしく、ボロボロながらヒート・ホーク一本でアムロに襲い掛かるドアンのザクが恐ろしくて最高でした。
「ククルス・ドアンの島」は、劇場作品でありながら、超絶クオリティで贈られる素晴らしい“通常回”でした。このテイストで全編リメイクが観たくなってしまうこと必至です。
吉本プラモデル部として、カッコよすぎるドアン専用ザクのプラモデルは速攻で予約しましたが、ほかにも出てほしいものがたくさんあります。サザンクロス隊の高機動型ザク、スレッガーさんのジム、セイラさんのコア・ブースター……夢は膨らむばかりです。
Q. あなたはガンダム派?ザク派?
僕はやっぱりガンダム派です。大人になってザクやグフの魅力にも気づきましたがやっぱりガンダムには作品を背負って立つ「華」があります。僕も舞台に立つ人間としてこのくらい「華」がほしいです……とりあえず衣装トリコロールにするか……?
プロフィール
浦井のりひろ(ウライノリヒロ)
吉本興業所属のお笑いコンビ・男性ブランコのツッコミ担当。1987年生まれ、京都府出身。大学の演劇サークルで相方の平井まさあきと知り合い、一緒に入学した大阪NSCでコンビを結成する。2013年に新人尼崎お笑い大賞で優勝。その後、2016年に活動拠点を大阪から東京へ移し、ヨシモト∞ホールを中心に活動している。主にコントを演じ、2021年に行われた「キングオブコント2021」では準優勝、「M-1グランプリ 2021」では準決勝まで進出し、敗者復活戦3位の成績を収めた。「ガンダム」シリーズのプラモデル・ガンプラ好きであり、吉本プラモデル部にも所属する。
男性ブランコ 浦井のりひろ (@bosobosourai) | Twitter
片桐仁
あの短いエピソードが一本の映画になるって、それ面白いの?という勝手な不安もありましたが、テレビ版「機動戦士ガンダム」から43年、長いガンダムの歴史の中でここに「ククルス・ドアンの島」を持ってきた価値は大いにあったと思います。
「あれ? 時期的にはリュウがいなくて、スレッガーがいるから、ランバ・ラルの後? でも、
この後ベルファストに行くの……?」と、設定上いろいろ苦心の跡が見えましたが、なんと言っても戦争と孤児、それを1人で守るドアン。実はまだ子供のアムロ。孤児たちと年が近いアムロとドアンとの、敵味方を超えた友情は普遍的なテーマだな~と思いました。
また、作画崩壊と言われていたあの、“ドアンザク”が、ああやって再現されているのも面白かったし、なにしろ無茶苦茶強いドアンが、実はシャアと並ぶエースパイロットだったり、あの島にいたのは、ただの脱走兵だからという訳ではなかったなど、その辺のマニア心をくすぐる設定も面白かったです!
これなら旧劇場版でカットされたエピソード、「時間よ、止まれ」や「ニュータイプ、シャリア・ブル」、あと「ブライトが熱出して、代理で艦長になったミライがテンパっちゃう話」もいけますね!
Q. あなたはガンダム派?ザク派?
一応“ガンダム派”なんですが(プラモ好きとしては、ガンダムのプラモデルの種類のほうが圧倒的に多いので……)、あのカラフル過ぎるガンダムをカッコよく見せているのは、リアル感を背負っている量産型ザクのおかげだな~と、つくづく思います。
プロフィール
片桐仁(カタギリジン)
1973年生まれ、埼玉県出身。多摩美術大学在学中に小林賢太郎とラーメンズを結成。現在はTVドラマや舞台を中心に活躍しながら、エレキコミックとのユニット・エレ片で年に1度コントライブを行っている。粘土造形家としても知られ、全国で個展を開催。「片桐仁粘土道大百科」などの作品集も出版している。「ガンダム」シリーズのプラモデル・ガンプラ好きとしても知られ、2022年に放送されたドラマ「ガンプラくん、ガンダムベース攻略戦」にも出演した。
片桐仁 (Katagiri Jin) | 株式会社トゥインクル・コーポレーション
SUGIZO(LUNA SEA / X JAPAN)
幾多のサイドストーリーが素晴らしい一年戦争物語の中でも一際印象的だった「ククルス・ドアンの島」が、2022年に新作として生まれ変わったなんて!
あまりにも感慨深くてそれだけで涙でした。。。
そして何よりもこの時代だからこそ強く心が締め付けられる戦争の虚しさ、悲しさ。
力と欲の応酬の中、常に最たる犠牲となるのは弱き者、力なき者、そして子供たち。
決して戦争を賛美するべきではない。世から紛争を、破壊行為を絶対に無くすべき。
弾道ミサイルを無力化するククルス・ドアン。
文化の街殲滅を失敗し、そっと胸を撫で下ろすマ・クベ。
観終わった後、改めて制作者の方々からの大切なメッセージが心に突き刺さりました。
Q. あなたはガンダム派?ザク派?
ザク派です。イデオロギーの面でも、兵器のカッコよさの面でも断然ジオン派です。
プロフィール
SUGIZO(スギゾー)
1969年生まれ、神奈川県出身。1992年にロックバンドLUNA SEAのコンポーザー、ギタリスト、バイオリニストとしてデビューし、1997年にシングル「LUCIFER」でソロ活動を開始した。2009年にX JAPANに加入。2022年には、環境への配慮、カーボンニュートラルへの揺るぎなき行動と、高い美意識とを両立させた、ロックなエシカルファッションを提唱する自身のアパレルブランド「THE ONENESS」を始動させた。TVアニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星」主題歌プロデュースのほか、40周年を記念したアルバム「機動戦士ガンダム 40th Anniversary Album ~BEYOND~」では監修を担当。さらにLUNA SEAとして「機動戦士ガンダム」40周年記念ソング「THE BEYOND」を手がけた。
世界(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)
守るということは
なにかを壊すかもしれないということ
それがどんなに思いやりや優しさからだとしても、それを乗り越えることで成長に繋がる。
そんなことをとても感じる映画でした。
そして、リアルロボットアニメとして最高に素晴らしい映画であり、
あらゆるところにちりばめられたガンダム好きにはたまらない演出、キャストの皆さんの演技、効果音、BGM、すべてが素晴らしい本当に最高の映画でした。
サザンクロス隊がめちゃくちゃカッコよかったり、アムロの成長もとてもよくわかる。
ドアンザクの異様さもカッコよくて最高でした!!
この作品を創ってくださったすべての方々へ、大きな尊敬と感謝を捧げたいと心の底から思います!!!
Q. あなたはガンダム派?ザク派?
これは……正直に言えば
シリーズによって変わるのが僕の欲深い部分です。
ガンダムもザクも好きです。
ガンダムで言うとゴッドガンダムが好きです。
熱い展開も含めて「Gガンダム」が好きで、ゴッドガンダムの肩周りが特に好きです。
ザクはドアン専用ザクが大好きになりました!
カッコよすぎました!!!!!
プロフィール
世界(セカイ)
1991年生まれ、神奈川県出身。2014年4月、オーディションを経てEXILEにパフォーマーとして加入。2016年からはFANTASTICSのリーダー兼パフォーマーとしても活動を開始する。2018年12月5日、FANTASTICS from EXILE TRIBEとしてシングル「OVER DRIVE」でメジャーデビュー。集英社「Vジャンプレイβ」オフィシャルプレイヤーとして連載を持つなど、アニメやゲームなどの分野でも活動を広げている。2019年には「機動戦士ガンダム」40周年記念コラボ企画「ガンダム×KEN OKUYAMA DESIGN×LDH JAPAN“G40プロジェクト”」のテーマソングのひとつ「TO THE SKY」をFANTASTICS from EXILE TRIBEとして担当した。
ともしげ(モグライダー)
映画「ククルス・ドアンの島」は、全然別物かと思うくらい、TVシリーズからすべてがアップデートされていて見応えがありました! 作画ももちろんめちゃくちゃキレイになっていますし、ガンダムとザクの機体の細かい装飾や、昔は表現できなかったであろうスピード感溢れる戦闘は、ファーストガンダムからの進化を感じました。
ドアンザクの戦闘シーンでは、時代劇のようにジリジリと間合いを詰めて、一瞬でも隙を見せたら負けてしまうという緊張感がしっかり伝わってきます。滅多に見られないザクVSザクの貴重な戦いが、こんなに白熱するとは……!
戦争に対して思うことがあって仲間を裏切ったドアン。そんな彼が、戦災孤児の子供たちのためにかつての仲間と戦う姿も感慨深かったです。それぞれに違った思いをドアンに抱いている映画オリジナルキャラのサザンクロス隊も作品を盛り上げています。彼らの操縦する褐色の高機動型ザクに対して、引けを取らないお馴染みの緑色をしたドアン専用ザクの戦いぶりはぜひ観てほしいです。
そして、なんと言ってもアムロの乗るガンダムが現れたときの安心感。映画終盤の登場シーンは、「水戸黄門」の印籠のごとく「待ってました!」と、映画を観た人みんなが心の中で思うはずです。
ほかにも、アムロがドアンへ最後にかけるあのセリフ、ホワイトベースのカツ、レツ、キッカと島の子供たちの交流などなど、語りたいシーンは数知れません。島の子供たちの未来もいつか観てみたいですし、ファーストガンダムの名エピソード、名シーンはまだまだあるので、もっともっとリメイクを作っていってほしいですね!
Q. あなたはガンダム派?ザク派?
ガンダム派です。子供の頃の夢はガンダムに乗ることでした。みんなやっぱり乗りたいですよねガンダム。普段はポンコツだったり、喧嘩が弱かったりしてもガンダムに乗ったときはすごい力を発揮する、僕もアムロを見てそういう人になりたいなと思って憧れていました。
※インタビューを行い、コメントとして構成。
プロフィール
ともしげ
マセキ芸能社所属のお笑いコンビ・モグライダーのボケ担当。1982年生まれ、埼玉県出身。それぞれ別コンビでの活動を経て、2009年にコンビを結成する。2014年には「THE MANZAI」認定漫才師となる。2021年には「M-1グランプリ」の決勝に初進出。トップバッターとしての歴代最高得点となる637点を記録するなどインパクトを残した。
モグライダー | マセキ芸能社 MASEKI GEINOSHA Official Site