ナタリー PowerPush - 忘れらんねえよ

ヤケクソ! 下ネタ! 与沢翼! 3つの武器が生み出す“時代の音”

忘れらんねえよがメジャーデビュー後初のミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」をリリースした。今作制作時、柴田隆浩(Vo, G)は「忘れらんねえよは下ネタを復活させます」と豪語。事実その収録曲では「彼氏の上にまたがって」「童貞」「オナニー」「クソ」と、かつての彼ららしいフレーズが飛び交いまくっている。2013年、「僕らパンクロックで生きていくんだ」と高らかに宣言し、熱くシリアスな2枚のシングルと1枚のアルバムを発表してきた彼らにいったい何があったのか。ソングライター・柴田に聞いた。

なお今回の特集では忘れらんねえよの歩みを振り返る企画も展開。年表とフォトギャラリーを通じて、ワンアンドオンリーにして奇妙なそのキャリアに迫っている。

取材・文 / 成松哲 インタビュー撮影 / 佐藤類

 
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イキのいい若手の一員になるために

──今回は柴田さんのインタビューと、バンドの年表で忘れらんねえよの横顔に迫る企画なので、改めてキャリアを振り返ってみたんですけど、シングル「この高鳴りをなんと呼ぶ」をリリースした去年の1月からこっち、ボリューム的にも内容的にも本当にバンドの活動が充実している印象があって。

柴田隆浩(Vo, G)

あざっス! ただ本人的には特に2ndアルバム(2013年10月リリース「空を見上げても空しかねえよ」)を出して以降は、悔しいの連続なんですけどね。ほかのバンドがうらやましくて、ねたましいというか。まずキュウソ(ネコカミ)がギューンって売れたじゃないですか。Tシャツを着ちゃうくらい大好きだし、尊敬もしているバンドなんだけど、それでも「待ってよ……」みたいな気分になり(笑)。あとゲス極(ゲスの極み乙女。)もホントにカッコいい曲を作ってちゃんと売れてるし。

──忘れらんねえよも、その“今、最もイキのいいバンド”の一群にいる感じがしますけど。

それは、ムリヤリそう見えるようにしているだけ。白鳥が水の中で必死こいて足を掻いてるのと一緒……まあ白鳥なんかじゃ全然ない、汚ねえ色した鳥なんですけど(笑)、やってることはホントに一緒。キツいところは極力見せないようにしてるけど、実際はけっこうキツい思いをしてる感じはありますね。それにオレたちが“若い子たちに支持されてるバンド”みたいな立ち位置にいるか?っていったら、それはそれで疑問ですし。お客さんにしてみたら、忘れらんねえよってどこに属してるのかわからないバンドだと思うんですよ。

──確かに交友関係は幅広いイメージがありますね。

うん。スタパン先輩(STANCE PUNKS)に呼ばれたら、先輩のイベントに出るし、ガガガSPさんのイベントに呼んでいただいたりもしてるし。で、その一方でグッドモーニングアメリカと一緒にライブしてたりもする。先輩とも同世代とも仲良くさせてもらえてるのはホンットにいいことだし、ありがたいことなんだけど、お客さんにしてみたら「で、結局どこにいるの?」みたいなことになっちゃいかねない。オレらの見え方って定まってないんじゃないかって課題はずっとあって。だから若い子たちに支持されてるバンドを「ツレ伝」ツアー(参照:忘れらんねえよ、KEYTALKらと全国巡る“ツレ伝”ツアー)の対バンに多く選んだ。それを続けてきたことで“最もイキのいいバンドの一群”の中にいるように感じてもらえてるんじゃないかなって気はしてますね。ここで真相をゲロっちゃったらなんの意味もなくなっちゃう感じもするんですけど(笑)。

武器を炸裂させる場所を探して

──STANCE PUNKSのような先輩からも、グドモのような同世代からも、キュウソのような後輩からも愛されるバンド。そのありようって忘れらんねえよ固有の武器だと思うんですけど、それでも“イマドキの若手バンド”的なシーンにもっとコミットしたかった?

その武器を有効に生かせる場所がきっとそこなんですよ。ヘンテコな感じ、イマドキっぽくない感じ、しょーもない感じっていうのがオレらの武器だとは思うんですけど、武器を炸裂させるならやっぱり人がいっぱいいるところじゃないと。せっかく武器があるなら、ちゃんと機能させないと意味がないし、もったいない。で、今回「ツレ伝」を一緒に回った若手のバンド界隈には自分の好きなバンドの音楽のことを「自分たちの音楽だ」って純粋に信じていて、ちゃんとライブに足を運んで、ちゃんとCDを買う、そういう若い子たちがたくさん集まっているイメージがあったんです。だからそこで武器を炸裂させたくて「ツレ伝」を始めたし、今も「炸裂させよう」ってすごく強く思ってます。

──実際「ツレ伝」っていかがですか?

柴田隆浩(Vo, G)

最初は「見え方を変えたいな」、もっとぶっちゃけちゃうと「対バンのお客さんを取れたらいいな」くらいの感じで始めたんですけど(笑)、スゲー勉強になるし、面白いですね。デビューしたばっかりだから“界隈のバンド”ではないかもしれないんだけど、爆弾ジョニーなんかもすごい衝撃的でしたし。彼らとは仙台と盛岡で2DAYSやったんですけど、初日の仙台で完全に食われたんですよ。オレらの主催ツアーだし、オレら目当てのお客さんが8割って感じだったのにライブが終わったら全員「爆弾ジョニー、よかったね」って言ってて(笑)。……けど、ホントにハンパなかった。

──爆弾ジョニーの勝因はなんだと思います?

爆弾ジョニーもそうだし、グッドモーニングアメリカもそうだし、キュウソもそうなんだけど、「ツレ伝」の対バンって全部、異常に強力なライブバンドなんですよ。演奏能力が高い上に、どのバンドも毎回必ず新しいことにトライする。バンド自身それを楽しんでるし、ライブに不確定要素があるとお客さんも「今日は何が起こるかわからない」って感じでドキドキしたり、ワクワクしたりするんですよね。だからライブがめっちゃエキサイティングなものになって。そういう光景を見ることで「うわっ、こういうやり方があるんだ」って教わった気はしてます。

ミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」 / 2014年6月11日発売 / 1620円 / VAP / VPCC-81802
ミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」
収録曲
  1. ばかばっか
  2. タイトルコールを見ていた
  3. 体内ラブ~大腸と小腸の恋~(feat. 玉屋2060%、MAX from Wienners)
  4. 運動ができない君へ
  5. バンドやろうぜ
  6. 僕らチェンジザワールド
  7. 僕らパンクロックで生きていくんだ
  8. THANK YOU SEXメドレー(この街には君がいない~北極星~CからはじまるABC)
  9. バンドワゴン
  10. パンクロッカーなんだよ
忘れらんねえよ主催 ツレ伝ツアー
ツレ伝ツアー~あの娘のメルアド予想する編~
2014年6月20日(金)福岡県 DRUM SON
<出演者>
忘れらんねえよ / Wienners
2014年7月3日(木)新潟県 CLUB RIVERST
<出演者>
忘れらんねえよ / The SALOVERS
2014年7月4日(金)石川県 vanvan V4
<出演者>
忘れらんねえよ /The SALOVERS
2014年7月10日(木)大阪府 Music Club JANUS
<出演者>
忘れらんねえよ / asobiusu
2014年7月13日(日)愛知県 APOLLO BASE
<出演者>
忘れらんねえよ / それでも世界が続くなら
BLUE ENCOUNT TOUR2014 DESTINATION IS "PLACE" × 忘れらんねえよ ツレ伝ツアー~あの娘のメルアド予想する編~
2014年6月22日(日)宮城県 HooK SENDAI
<出演者>
忘れらんねえよ / BLUE ENCOUNT
対バン全然決まらんからもうヤケクソでワンマンにしたる「ヤケ伝」
2014年7月25日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
忘れらんねえよ(ワスレランネエヨ)

柴田隆浩(Vo, G)、梅津拓也(B)、酒田耕慈(Dr)からなるロックバンド。2008年結成。パンクロック由来のラウドなギターサウンドと、日々の暮らしの中にある喜怒哀楽をリリカルながらも熱量とテンション高く歌い上げる柴田の歌詞を武器に都内を中心に精力的なライブ活動を続ける。2011年8月、表題曲が日本テレビ系アニメ「逆境無頼カイジ 破戒録篇」のエンディングテーマに採用されたシングル「CからはじまるABC」でメジャーデビュー。翌2012年3月に1stアルバム「忘れらんねえよ」を発表し、2013年1月には會田茂一プロデュースの3rdシングル「この高鳴りをなんと呼ぶ」を、6月には同じく會田プロデュースのシングル「僕らパンクロックで生きていくんだ」をリリースする。また同年春から夏にかけて「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013」「ARABAKI ROCK FEST.13」「ボロフェスタ2013」など、音楽フェスティバルに精力的に出演。若手最注目バンドの一角を担うように。そして2013年10月には2ndアルバム「空を見上げても空しかねえよ」を、翌2014年6月にはメジャーデビュー後初となるミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」をリリース。