葛藤をはねのける新曲「Drive」

──そんなアルバムを経て、今回リリースされる新曲「Drive」は映画「OVER DRIVE」の主題歌として書き下ろしたんですよね。この映画は自動車競技のラリーを題材に、東出昌大さんと新田真剣佑さん演じる兄弟の絆を描いた作品です。映画からどういうことを感じて「Drive」の曲作りを進めていったんでしょうか？

KENTA　しっかり現実と向き合うこと、あきらめないことです。映画に登場する人みんなそれぞれが戦っているなと思って。表面上は見せていなくても、過去にあった苦しい思い出とかを抱えて、それでも今を駆け抜けていくしかない。映画では葛藤を抱えながら車を走らせていましたけど、現実でもみんなそうやって生きてると思うんです。そういう葛藤を歌ではねのけて、そういう情けなさを燃料にドライブしていけたらと。それが歌い出しの「情けない思いを燃やして」という歌詞とかに現れていると思います。

──幕張公演では「思いがあふれて作った」と説明していましたね。

KENTA　はい。映画の主題歌として書き下ろしたんですけど、「WANIMAらしく作ってよかよ」と言われたので、映画から感じたことプラス、聴いてくれる人がどう思うかとか、みんなからもらった言葉とかも考えて作っていきました。現実的でちゃんと温度が感じられる曲になっていたならうれしかです。そういう意味で、さっきも言いましたけど、本当に3人で作ってる気がしないと言うか、みんなで作った曲という感じがします。

──冒頭のコーラスもいいですよね。

一同　（突然歌い出す）「光る～星をつなぎ合わせ～」

KENTA　のところですよね！

──そうです。

KENTA　僕の中で、みんなで歌ってから始まるイメージがあって。だからみんなで歌いたい歌詞を入れました。ちょっと照れくさいんですけど、みんなで歌えば歌えるなと思って。

届いている人にももっと届けたい

──あきらめないことの大切さということで言うと、「追い続けた後ろ姿 目を逸らさず」という歌詞が印象的です。WANIMAにとってそういう憧れの存在や理想像みたいなものはあるんですか？

KENTA　たくさんの人に音楽を届けるバンドになるということです。

──「たくさんの人に届ける」という意味では、今でも十分たくさんの人にWANIMAの存在や音楽が届いていると思うんですけど、それでもまだもっとたくさんの人に届けたい？

KENTA　はい、もっと。すでに届いてる人にも、もっと届けたいです。聴いてる人に「もっと生きてみたい」と思ってもらえるにはどうしたらいいか？とずっと考えてます。だから終わりはないです。

──なるほど。「WANIMAが好き」という人が増えればいいということではなくて、その人が困ったりつまずくたびにWANIMAの音楽を支えにしてほしいということなんですね。何度でも届けたいと。

KENTA　そうです。僕自身がうまいこと世の中を生きてこれなかったので、みんなもそんなにスムーズに生きていけないんじゃないかなと思っていて。WANIMAがおるけん、ちょっとでも前に進みたいと思っている人がおるんやったら、そういう人たちに僕たちは音楽で何ができるか？ 楽しみを増やしていきたいです。