和楽器バンド「REACT」 PR

和楽器バンド|“芯”確立した8人が世界へ放つ挑戦作

和楽器と洋楽器をミックスしたバンドアンサンブルに、詩吟をルーツに持つ女性ボーカルを乗せた唯一無二のサウンドによって、国内外で大きな注目を集める和楽器バンド。2018年にリリースした通算5枚目のアルバム「オトノエ」で1つの完成形にたどり着いた8人が、ユニバーサルミュージックに移籍後初となる4曲入りの作品「REACT」をリリースした。

和楽器バンドらしさにあふれる「Break Out」で始まる本作だが、ここにはワールドスタンダードを目指す、バンドの新たなチャレンジが随所に散りばめられている。音楽ナタリーでは鈴華ゆう子(Vo)、黒流(和太鼓)、町屋(G)の3人に、アルバム制作のエピソードや各曲への思い入れはもちろん、ワールドワイドな展開への意気込みなどを聞いた。

取材・文 / 黒田隆憲 撮影 / 須田卓馬

5年間で確立された“芯”

──レーベルを移籍して初の音源となる「REACT」ですが、どういうコンセプトがあったんですか?

町屋(G) 制作するにあたって“Challenge”“New Beginning”“Farewell to the past”“Special Thanks”という4つのキーワードを掲げました。実はこれユニバーサルからの提案だったんですけど、僕らはすごくうれしかったんですよね。だから「まずは乗っかってみよう」と。レーベルを移籍して、スタッフから何から「はじめまして」の環境になったわけじゃないですか。そこでの新しいアイデアや提案を積極的に受け入れていかなければ移籍した意味がないと思ったんです。衣装やアートワークなどに関しても、ユニバーサルのアイデアに対して基本的には受け入れる姿勢で今回はやらせてもらっています。

──そもそも移籍した理由というか、経緯はどのようなものだったのでしょうか。

町屋 和楽器バンドはデビュー当時から海外公演が多かったのですが、アメリカの西海岸ツアー以外はすべて単発公演だったんです。ヨーロッパ圏にしても、2014年のデビュー年にフランスに行ったきり行けてない。例えば台湾くらいの距離であれば国内ツアーの中に組み込むこともできるし、実際台湾で2DAYSを年2回くらいはやっていたのですが、よりワールドワイドに展開していきたいと考えたときに、なかなか実現できずにいたんですよね。

鈴華ゆう子(Vo) 去年はデビュー5周年という節目の年でもあり、今までの活動を見直す時期でもあったんです。ユニバーサルは世界中に8カ所の支社があるんですけど、「より海外展開に強いところ」ということもあり、グローバルパートナーシップという形で移籍させていただくことになりました。

鈴華ゆう子(Vo)

──なるほど。ただ、これまで築き上げた和楽器バンドのイメージや活動のノウハウなど、一旦リセットして新たなスタッフに任せるというのはなかなか勇気の要ることだったんじゃないですか?

黒流(和太鼓) それができたのは、この5年間で僕らの中に確固たる芯ができたからだと思いますね。

──どんなことをやっても和楽器バンドであるという自信に裏打ちされているというか。

鈴華 そう思います。おそらくデビュー1年目とか2年目ではなく、この5年があったからこそのタイミングだったのかなと。「これが和楽器バンドだよね」と自信を持って言える芯が、ちゃんと自分たちの中にできたタイミングだった。

町屋 その芯が、前作「オトノエ」なのだと思います。1stアルバムや2ndアルバムのときは手探り状態でレコーディングやステージパフォーマンスを模索していたのですけど、それが「オトノエ」で確立したというか。音も整理され、ステージの見せ方も板に付いてきて。和楽器バンドそのものが歩き出してきていると思うんですよね。

──それぞれの曲は、先ほどおっしゃっていた4つのキーワードをもとに書いたのですか?

鈴華 最初はどのテーマを誰が担当するのかは決めず、とにかく各々が自由に曲を持ち寄ることにしました。結果的に何十曲も集まったのですが、それをテーマごとに分けて絞り込んでくれたのもユニバーサルなんです。あともう1つ、アルバム全体のテーマとして“Reborn(生まれ変わる)”というキーワードを提案してもらいました。さっきの4つのキーワードは、この“Reborn”にすべて含まれるんですよね。中には、“Reborn”をテーマに作曲していたメンバーもいます。私が作った「IZANA」という曲がそうですね。

日本発ミクスチャーバンドとしての提案

──アルバムの冒頭を飾る「Break Out」は、作詞作曲を黒流さんが手がけています。「これぞ和楽器バンド!」と快哉を叫びたくなるような楽曲ですね。

黒流 実はこの曲、4つのキーワードが出る前に書いた曲なのですが、今回のテーマに合っているんじゃないかと思って提出しました。移籍があって、活動していない時期も経てひさしぶりに出す音源なので、ファンの方々もきっと「どういうふうに変わっていくんだろう」と期待をしていると思うんですよね。そこで最初に聴いてもらうのは、やっぱりこれまでの和楽器バンドらしさにあふれた曲にしたかった。それで僕らの強みを考えたときに、やはり一番は鈴華の歌だろうと。邦楽器を使った曲なら今までもたくさんあったけど、その響きのインパクトに勝てるボーカリストはなかなかいないと思うんですよね。だから、まずは鈴華のロングトーンがバーンと来る曲にしました。今までのファンが「そうそうこれ! これを待ってた!」と思ってくれたらうれしいですね。

──「光閉ざす壁を Break Out」という歌詞には、どのような思いを込めましたか?

黒流 これから世界に向かって“Challenge”していくには、まず自分たちの中にある壁を壊していきたいという思いがありました。“和楽器が入ったバンド”というと、ともすれば僕ら日本人のほうが固定概念を持っていると思うんですよね。

──なるほど。

黒流 それから僕自身、若い頃は落ち込んだときに音楽に勇気をもらうことがたくさんあったので、今、壁にぶち当たって悩んでいる人にエールを送りたいという気持ちもありました。僕は歌詞に思いを詰め込みすぎてしまうので(笑)、2人からたくさんアドバイスをもらいつつ言い回しを何通りも考えたので、自分的にも“Challenge”がたくさんある曲でした。

黒流(和太鼓)

鈴華 “Challenge”というワードには“世界標準への挑戦”という大きなテーマがあったのですが、ただ新しいことをするだけじゃなくて、これまでに培ってきた和楽器バンドを表現する1曲になりましたね。

──世界標準を目指す上で、もっとも大切にしていることは?

町屋 和楽器+洋楽器ではなく、和楽器×洋楽器というテーマは最初からあって。そこで起きる化学反応……この言葉はあまり好きじゃないんですけどね(笑)。僕は狙ったところにちゃんと打ち込んでいきたいタイプなので。活動していく中でその精度を上げていき、さっきも言ったように「オトノエ」でようやく1つの完成形にたどり着いたんです。

──化学反応という偶然性に頼るのではなく、すべて自覚を持って築き上げてきた結果だったと。

町屋 僕らのやっていることって、端的に言えばミクスチャーロックだと思うんですよ。例えばアメリカで生まれたミクスチャーというのは、アメリカに根付いたさまざまなジャンルがミックスされたことで生まれたものじゃないですか。それを我々は聴いてきたわけですけど、じゃあ「日本で生まれたミクスチャー」と言ったときに、果たしてアメリカのミクスチャーと同じ配分でいいのか、と。和楽器バンドがやっていることは、日本発のミクスチャーとしての、1つの提案だと思うんですよね。