レコーディング時に生まれた気持ちを歌った「Golden」

──「Your Days」は一発録りなんですね。

そう。ピアノのマイクと歌のマイクを立てて一発でレコーディングして。マイクがお互いの音を録音しちゃってるっていう“ルーム感”がある1曲です。ビッケブランカはいいメロディを作ることができるから素材で勝負できるぞっていうのを表現したかった。一発録りであることで生まれる臨場感と美メロもビッケブランカの大事な要素の1つ。この曲はそういう役割を担ってる曲ですね。このアルバムに入ってる曲にはそれぞれに役割があるの。

──s**tkingzの舞台「Wonderful Clunkerー素晴らしきポンコツー」に提供した1曲で、劇中では三浦大知さんが歌っているそうですが、三浦さんが歌ってるのは聴きましたか？

聴きました。素晴らしかったです。大知さんの歌声って上に高く突き抜けていくんですよ。僕の場合は真ん中で音が鳴ったらそれを包み込むようなぼやーんとした倍音が鳴るわけ。なんかその違いが面白かったですね。他人が歌うとこうなるんだって発見もあったし。大知さんに歌ってもらえるなんてもう感激ですよ。

──「Golden」は珍しく友情を歌った1曲ですね。

この曲はアルバムの中で歌入れが最後だったんですよ。みんなでレコーディングして、年齢も性別も好きな音楽も違う人間が集まって、1つの作品を作り上げようとしている様を客観的に見たら面白いことだよなと思って。なんか仲間意識が生まれてきて、何かができたとき、思わず「やったね！」ってハイタッチを交わしたくなっちゃうような感覚になってきちゃうんですよね。でも大御所のエンジニアやプレイヤーに「僕らダチだよな！ やったな！」なんて言えないじゃないですか。直接は言えないから曲にしたっていうね。だからこの曲で歌ってるのはレコーディングのときの気持ちなんです。「Golden」が入ったことでタイム感がギュッと今に近付いた気がします。

──このアルバムに入るべき1曲だったんですね。

うん。「Natural Woman」の英語版はボーナストラックとして考えてもらって、アルバムの最後を締めくくるのにぴったりな曲だと思います。

メジャーデビューしても気張らずに

──最後になりましたが、音楽活動をしていく中で「いつかはメジャーデビューしたい！」っていう気持ちはありましたか？

10代の頃とかはメジャーデビューに憧れがありました。僕は今28歳なんですけど、活動を続けていくうちにいろんなことがわかって、昔とは音楽に向き合う姿勢が変わってきたから、メジャーデビューというものがいい意味で大事じゃないって知って。だからメジャー1枚目という意識より、ビッケブランカの3枚目のアルバムが完成したという意識のほうが強いです。でもメジャーデビューをしたことによってテレビ出演とかこうやってインタビューを受けたりとか、いろんなチャンスが増えることは単純にうれしいですね。あとビッケブランカチームをavexの中に作ってもらえて、仲間がどんどん増えていくこの感じはワクワクします。

──意識はインディーズ時代とあまり変わらない？

そうですね。「メジャーに行ったからには売れ線を作るんだ」とかは思ってないです。自分のやりたい音楽を続けていきたい。メジャーデビューに対して「みんなのおかげでようやくメジャーデビューできて……」みたいな感慨深くなっちゃう感じではないですね。もっとフラットです。気張らずにやっていきたいですね。