音楽ナタリー Power Push - ビッケブランカ

無性別の“愛の奴隷”がメジャーデビュー

美麗なファルセットボイスを自在に操るピアノマン・ビッケブランカが3枚目のミニアルバム「Slave of Love」でavex traxよりメジャーデビューした。

佐野康夫(Dr)、沖山優司(B)、設楽博臣(G)という腕利きのミュージシャンを迎えて制作されたこのアルバムには、メタボリックのスムージー「enNatural」のテレビCMのために書き下ろした「Natural Woman」を含む全7曲が収録されている。音楽ナタリーでは今作のリリースを記念してインタビューを実施。アルバムの制作秘話やメジャー移籍したことへの心境、そして自分自身にとってビッケブランカとはどういう存在なのかを聞いた。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 上山陽介

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いいものになる確信しかなかった

──音楽ナタリーの特集に登場するのは前作「GOOD LUCK」(2015年8月発売)リリース時以来となりますが(参照:ビッケブランカ「GOOD LUCK」特集)、前作を発売してからの1年くらいはどうやって過ごしてきましたか?

ビッケブランカ

ひと言で言うと気ままに過ごしてました。ライブをして、曲を作って、趣味のスポーツをやって。ライブはバンドメンバーとのグルーヴが出てきてすごく楽しくやってましたね。メジャー契約の話も進み始めてたから、僕は今サナギなんだと思って、ずっとワクワクしてました。

──今回はドラムは佐野康夫さん、ベースは沖山優司さん、ギターは設楽博臣さんと凄腕のレコーディングメンバーですね。

ディレクターの方が日本で屈指のプレイヤーを連れてきてくれたんです。彼らはいろんなノウハウを持ってるから、まずは僕が作ってきたデモに沿って演奏してくれるんですけど、それにプラスして提案もしてくれて。レコーディング中にいろんな発見があって本当に楽しかったですね。

──例えばどんなことに気付いたんですか?

僕はいろいろ音楽を聴くし、自分である程度の楽器も弾けちゃう。だから今まで自分でアレンジまでやってきたんですけど、ドラムのここがすごいとか、ベースのここがいいみたいなことには注目してこなかったんです。で、自分で作るのが一番苦手なのがベースライン。キーボードとか声とか最初に耳に飛び込んでくる音は思いつくんですけど、ベースはルートでしか作れなくて。今回沖山さんがベースラインをガラッと変えてくれたことで、曲がより生き生きしてきたんです。3人とスタッフのおかげでレコーディング中から「いいものになるぞ!」っていう確信しかなかったですね。

──できあがった音源を聴いてみてどうですか?

メジャー1作目にふさわしいと思います。「これぞビッケブランカだ!」っていうのを最大限まで表現できたはず。僕は「Your Days」みたいなバラードも歌えるし、「Slave of Love」みたいにミュージカル調に展開していくような曲も作れる。さらに日本語でも英語でも歌えるっていうフレキシブルさも持ち合わせてる……ビッケブランカができることすべてを詰め込みたかったんです。だからとっ散らかってると言えばとっ散らかってると思うんですけど、めまぐるしく変わっていく7色に見えたらいいなと思っています。

1人の中に男女が同居してる

──ここからは1曲ずつお話を聞いていければと思います。まずは「ココラムウ」。タイトルはあまり聞かない言葉なんですけど、資料によると“コアラ拳法”を意味する“コアラムーブ”という言葉から来てるんだとか。

僕は鼻が特徴的だから小学生の頃、同級生に「コアラみたいだな」って言われていた時期があったんですよ。小学生の頃なんて感情のままに動くからそうやって言ってきた同級生を殴っちゃったりして。コアラが殴る=“コアラ拳法”だなっていう皮肉です(笑)。

──なるほど。あとこの曲って不思議なリズムですよね。

そうなんです。このリズムはパソコンで曲を作ってるときに偶然できたもので。画面上でちょっとハイハットがずれちゃったやつを再生してみたら面白くて、ずっと寝かせておいたリズムなんです。アルバムの中で唯一の打ち込み曲で、6年前に作ったデータをそのまんま使ってるんですよ。

──そうなんですね。せっかく腕のいいミュージシャンがそろってるのに(笑)。

そう思いますよね(笑)。まあビッケブランカは結局「僕だ! 僕がビッケブランカだ!」って言いたいやつなんですよ。曲の冒頭で「ビッケブランカだ!」って名乗ってるところも含め、これは自己紹介ソングみたいなものだと思っています。

──2曲目の「Natural Woman」はメタボリックのスムージー「enNatural」のテレビCMのために書き下ろした曲の日本語バージョンですよね(参照:ビッケブランカ、スムージーのテレビCMソングを書き下ろし)。で、英語バージョンは7曲目に収録されているという。何かのために楽曲を書き下ろすのは今回が初めてですか?

ビッケブランカ

はい。今回曲を書かせてもらって、オーダーを受けて曲を書くというのが性に合ってるなと気付きました。自分の持ってるスキルとセンスでオーダーにどう応えてやろうかなって腕がなるんですよね。「Natural Woman」はCMディレクターさんから「攻撃的でスピーディな音楽をお願いします」と依頼されて作った曲なんです。「きれいになるのに恋なんていらない」っていうキャッチコピーから連想したのが強い女性の姿。だから自然と歌詞は強い女性のことを歌う内容になりました。英語版も日本語版も1人の強い女性について歌ってるんですけど、英語バージョンは女性自身の目線で、日本語バージョンはその女性を追う男性目線で歌っています。

──歌詞を男女両方の目線で書くのは難しかったですか?

そんなに難しいとは思いませんでした。まあ僕は男だから女の人の本当の気持ちはわからないんですよね。想像の域ではあるけど、こんな女の人がいたらカッコいいなと思って、その人になりきって書いてます。

──ビッケさんって、声質的に女性目線の歌を歌っても違和感がないですよね。

ああ、それは声質以外に別の理由があるかも。なんか僕、地声で歌うときは自分の中の男の部分が出てくるんですけど、サビで裏声になった瞬間に僕の中身が女に変わるというか……なんか女らしさが出てきちゃうんですよ。人に言われて気付いたんですけど、裏声になった瞬間に動きがくねくねし出すみたいで(笑)。声を変えることで、自分を表現する性別をも変えてしまうというか。

──面白いですね。

あんまり聞いたことないですよね。男女両方が自分の中にいるのがビッケブランカだなって思ってるから、ジャケもそういうイメージでバッチリメイクをしていて。中性的ということではなくて1人の中で男と女が同居してる感じが出たらいいなって。だからこのアルバムに男目線と女目線の曲が入っているっていうのはすごく意味があるんです。

メジャーデビューミニアルバム「Slave of Love」/ 2016年10月26日発売 / 1944円 / AVCD-93490 / avex trax
「Slave of Love」
収録曲
  1. ココラムウ
  2. Natural Woman
  3. Slave of Love
  4. Echo
  5. Your Days
  6. Golden
  7. Natural Woman(English)

ビッケブランカ「Slave of Love」リリース記念インストアイベント

  • 2016年10月29日(土)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店 6F イベントスペース
  • 2016年10月30日(日)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店 西館1F イベントスペース
  • 2016年11月5日(土)北海道 タワーレコード札幌ピヴォ店 店内イベントスペース
  • 2016年11月6日(日)福岡県 タワーレコード福岡パルコ店 イベントスペース
  • 2016年11月12日(土)東京都 タワーレコード渋谷店 屋上 SKY GARDEN

Slave of Love TOUR 2017

  • 2017年1月9日(月・祝)福岡県 ROOMS
  • 2017年1月13日(金)愛知県 SPADE BOX
  • 2017年1月15日(日)大阪府 Music Club JANUS
  • 2017年1月20日(金)東京都 WWW
  • 2017年1月22日(日)北海道 SOUND CRUE
ビッケブランカ
ビッケブランカ

愛知県出身の男性シンガーソングライター。高校卒業と同時に上京しピアノを習得した後、本名の山池純矢としてソロ活動を開始する。2012年にビッケブランカに改名。その後はライブを中心に活動を続け、美麗なファルセットボイスとピアノが紡ぎ出すポップチューンを武器に各地のイベントなどに出場し話題を集めている。2014年7月に先行配信シングル「追うBOY」をリリース。同年10月に1stミニアルバム「ツベルクリン」を発売した。2015年8月には2ndミニアルバム「GOOD LUCK」を発表。2016年10月にミニアルバム「Slave of Love」でavex traxよりメジャーデビューを果たす。2017年1月には東名阪でのワンマンツアーを行う。