ナタリー PowerPush - VAMPS

結成5周年で振り返る「VAMPSの作り方」

海外へのアプローチは常に頭の中にある

K.A.Z(2013年6月29日のZepp DiverCity TOKYO公演より / Photo by 田中和子)

──VAMPSは今年に入ってからユニバーサルミュージックへのレーベル移籍や「Live Nation」との提携を発表しました。海外展開については以前から話していましたし、実際2009年以降は海外公演も行っています。今回の動きというのは、海外進出を本格的に進めようということなんですか?

HYDE というよりも、結成当初からあったVAMPSの海外戦略において、単にワンステップ上がれたっていう感じです。移籍したことで、以前よりも世界をすごく近くに感じるようにはなりましたね。

──VAMPSの楽曲の多くは英語詞ですが、そこも最初から海外展開を意識してのものだったんですか?

HYDE それもありますし、英語の曲が好きというのもあります。僕は思春期の頃に海外の音楽に憧れて育ってきたから、そういう音楽と同じような……例えばiTunes Storeに並んでいて違和感のないような音楽を作るのは夢だったし。基本的にそういう音楽を作りたいんですよね。

──でもすべてが英語詞ではなく、日本語も混ざってきますよね。そこのバランス感はどのように考えてますか?

HYDE 基本的には日本で活動しているので、英語詞だけにするのはちょっと違うと思っていて。例えば「これは英語詞じゃないほうが聴き手に刺さるな」という曲はなるべく日本語詞にしてますし、ノリ重視っていうような曲は、英語詞でも十分だと思うんですね。だからそのへんは戦略的に、英語詞と日本語詞の両方を持ち玉としてやってる感じかな。あえてシングルで全部英語っていうのもアリだと思うし、逆に全編日本語で通すっていうのもアリ。ただ、海外へのアプローチは常に頭の中にあるので、例えば「最終的には英語詞に変えるかもしれない」って思いながら、あえて日本語で歌詞を書く場合もあるし。

──今回の「AHEAD」も英語詞がベースですが、ところどころに日本語詞が飛び込んできます。英語詞の楽曲だと思って聴いていていきなり日本語が耳に入ってくると、聴き手としてはすごくハッとさせられるんですよね。

HYDE そういうキャッチーな部分を作るために、わざと日本語詞を入れることもありますし。そのへんは遊び心というか、楽しんで作ってますね。

新曲のアレンジはヘビーな方向に寄せた

──では、ニューシングル「AHEAD / REPLAY」ついて聞かせてください。2年半ぶりの新曲ということで、お2人の中で「今回はこういう曲でいきたい」というイメージはありましたか?

HYDE 最初は打ち込みメインの曲を作りたいなと思って、「REPLAY」を作ったんですけど、そこにたまたま「AHEAD」みたいなタイプの曲ができて。どっちもいい曲だし、2曲ともタイアップが取れたので、だったら両A面という形で出そうということになったんです。

──「AHEAD」を最初に聴いたとき、楽曲のタイプとしてはこれまでのVAMPSの流れを汲む、疾走感のあるキャッチーなロックナンバーだと思ったんですけど、サウンド面で以前との違いを感じていて。音の質感が変わったというか、全体の音の太さだったり、アレンジの細やかさだったり、そういった部分が今までのVAMPSからバージョンアップされたような気がしました。音作りの部分で何か新しいトライはあったんでしょうか?

HYDE 少しあったかもね。VAMPSのファンってライブだと、けっこうヘビーな曲で盛り上がるんですよ。だから自分としてもそういうヘビーな曲をもっと増やしたいなって気持ちもあったんで、アレンジはどちらかというとヘビーな方向に寄せましたね。

──なるほど。一方の「REPLAY」もデジタル色が強いアレンジで、「AHEAD」とは違った印象を受けます。この曲はK.A.Zさんが作曲してますが、曲作りで何か意識したことはありましたか?

K.A.Z 「REPLAY」はゲーム(「DARK LABYRINTH」)とのタイアップというのもあって、歯切れがよくて、ダークで悪そうな鋭いサウンド……どちらかというとデジタルの冷たさが似合いそうな曲を意識しました。

──それと歌詞についてですが、「AHEAD」からは終末感というか終わりに向かって突き進んでいくような印象を受けました。PVも世紀末を思わせるような世界観ですし。だけど、それでいてポジティブさも感じられる。なぜこのような歌詞になったんでしょうか?

HYDE 僕は普段ライブでよく「悔いを残すな」っていうことを言ってるんですけど、自分の活動においてもそういう気持ちであるべきだと思ってます。ダラダラして終わってしまうのは嫌だし、燃え尽きるならバッと行ってしまいたいというか。行けるときに行かないと「あのときに行っておけばよかったな」ってなりかねないので、そういう自分の今の気持ちを形にしたのが「AHEAD」です。

今回のシングルは新たなステージへの序章

──そろそろ新しいアルバムが聴きたいというファンも多いと思いますが、新作についてはどのような感じになっていますか?

HYDE これだけ待たせて、まだ新曲は2曲ですから。まあどう考えても「早くアルバムを出せ!」と思ってるでしょうね(笑)。実は(秋に発売予定の)ベストアルバムの作業が大変だったんですよ。ただ既存の曲を集めただけじゃないんで。

──全曲ボーカルを再レコーディングして、一部の演奏も差し替えたんですよね。

HYDE そうです。そこに時間を割いてしまって、なかなか新曲を作れなかったんですけど、このツアーが終わったらオリジナルアルバムの制作ですかね。

──じゃあ今年の年末から来年にかけて、さらにVAMPSの動きが面白いことになりそうですね。

HYDE 今回のシングルはまだ、新たなステージへの序章なのかな。だから新しいアルバムを引っさげた来年は、自分たちにとってより重要な年になるんじゃないかなと思ってます。

2013年6月29日のZepp DiverCity TOKYO公演の様子。(Photo by 田中和子)
ニューシングル「AHEAD / REPLAY」/ 2013年7月3日発売 / Delicious Deli Records
初回限定盤A [CD+DVD] 1600円 / UICV-9034
初回限定盤B [CD+DVD] 1600円 / UICV-9035
通常盤 [CD] 1200円 / UICV-5022
CD収録曲
  1. AHEAD
  2. REPLAY
  3. AHEAD(Instrumental)
  4. REPLAY(Instrumental)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. AHEAD(Music Video)
  2. Xperia UL TVCM Real Music篇(15秒)
  3. Xperia UL TVCM Real Music篇(30秒)
  4. Xperia UL TVCM Real Music篇(30秒)
初回限定盤B DVD収録内容
  1. REPLAY(Music Video)
  2. ダークラビリンス Trailer Movie
VAMPS(ばんぷす)

HYDE(L'Arc-en-Ciel)K.A.Z(OBLIVION DUST)が2008年に結成。活動開始からの5年間で国内、海外あわせて250本ものライブを行い、VAMPSの代名詞となった全国のZeppにて連続公演を行う“籠城型ツアー”をはじめ、アリーナ公演、ラグーナビーチなどでの野外公演、そして自身が主宰するハロウィンライブイベントなど、多彩なスタイルのステージは単なるロックバンドにとどまらない。
海外での活動も積極的に行い、ワールドツアーとして北米、南米、ヨーロッパ、アジアなどでのライブを敢行。南米では2ndアルバム「BEAST」が日本人アーティスト初のセールスチャート4位を記録し、そのライブを収録したDVD「VAMPS LIVE 2010 WORLD TOUR CHILE」は各方面から注目を浴び、日本の音楽DVD部門のセールスチャートで1位となった。
2013年にユニバーサルミュージック / Delicious Deli Recordsへの移籍を発表。国内はもちろん海外への進出が期待される。移籍第1弾作品として4月24日にリリースされた映像作品「VAMPS LIVE 2012」は、オリコン週間ブルーレイランキングで1位を獲得した(音楽DVD週間ランキングは3位、総合7位)。そして7月3日に2年半ぶりのシングル「AHEAD / REPLAY」がリリースされた。