ナタリー PowerPush - VAMPS

結成5周年で振り返る「VAMPSの作り方」

VAMPSがDelicious Deli Records移籍第1弾シングル「AHEAD / REPLAY」をリリースした。2年半ぶりに発表された本作は、疾走感あふれるHYDE(Vo, G)作曲の「AHEAD」と、ダークなデジタルサウンドを取り入れたK.A.Z(G)作曲の「REPLAY」から構成。VAMPSとしての新たなステップが感じられる意欲作に仕上がっている。

ナタリー初登場となる今回は、先日デビュー5周年を迎えたVAMPSの原点を振り返るべく、HYDEとK.A.Zにインタビューを行った。なぜ2人はVAMPSを結成し、毎年40~60本にもおよぶ精力的なライブ活動を続けるのか。その原点は、L'Arc-en-Cielの一員として成功と名声を手に入れたHYDEが今も思い描く「ロックへの憧れ」にあった。

取材・文 / 西廣智一

ロックへの強い憧れがVAMPSの原動力

HYDE(2013年6月29日のZepp DiverCity TOKYO公演より / Photo by 田中和子)

──結成当初、VAMPSはどういう活動を想定していたんですか?

HYDE(Vo, G) ライブをやるためにアルバムを作るというか、そういうライブを軸にした活動を最初から考えてました。それは今も変わってなくて、曲を作るときもライブで盛り上がるような曲をまずイメージしてます。

──HYDEさんとK.A.ZさんはL'Arc-en-CielやOBLIVION DUSTでも活動していますが、そことの差別化はどのように考えていましたか?

HYDE 僕に関して言うと、L'Arc-en-Cielにはロックだけでは縛り切れない部分もあって。激しい曲もあるんですけど、中にはめっちゃポップな曲もあって、広い意味でいろんな「音楽」を作っていると思うんです。でも自分としてはロックへの強い憧れがあって、もっと暴れたいという気持ちも強くて。暴れ足りないところがフラストレーションになっていたのかもしれないですね。で、僕はK.A.Zくんの曲も好きだったんで、K.A.Zくんと一緒にバンドを組めたら自分の思い描いていたロックを表現できるんじゃないかなと思って、VAMPSを始めたんです。

──なるほど。K.A.ZさんはVAMPSとして活動することで、それ以前と変わったところはありますか?

K.A.Z(G) HYDEと一緒に曲を作ったり新しいものを生み出していくことで、今まで自分になかった引き出しが増えましたね。

──例えばHYDEさんのソロのときとVAMPSとでは、作品への関わり方は変わりましたか?

K.A.Z そんなに大きく変わったことはないですけど、VAMPSになったことで自分の中に責任感が生まれたというか(笑)。VAMPSというブランドに対していいものだけを残していきたいですね。

オールスタンディングへのこだわりが“籠城型”へ

──VAMPSのライブはZeppクラス……キャパでいうと2000人前後の会場がメインになっていて、1つの会場で何公演も続けて行う“籠城型”というスタイルを取っています。なぜこのような形になったんですか?

HYDE ライブが好きだからこれだけの本数をやってるというのがまずあって。Zeppを選んだのは……ちょうどいい規模のハコがここしかないんですよね。もうちょっと大きい会場でもいいんですけど、僕はオールスタンディングという形にこだわっていて、オールスタンディングのライブハウス前提で考えるとZeppが限界なんです。それにZeppという会場がVAMPSにすごく合ってると思っていて、そこから「じゃあZeppという会場で、何日もライブをやってみたらどうだろう?」と言ってやり出したら、これがまたバンドのスタイルにハマッて「これ以外ないんじゃないかな?」ってことになって。基本は籠城という形でやってるんですけど、やり出したらやり出したでどんどんよいところが見えてきて。頻繁に会場を移すこともないから、音のよさもどんどん追求できるし。これが1日ごとに違う会場だったら、毎日その会場に合った音作りをゼロから繰り返すことになる。その日が最高の状態だったら、次の日もその状態を維持できるわけだから、どんどんクオリティが上がっていくし、いいことばかりですよ。あと移動がないぶん、そのまま酒も飲めるし(笑)。

──あははは(笑)。でも言われてみると、確かにZepp以上のキャパを持つスタンディング会場って、国内にはほとんどないですよね。

HYDE そうなんですよ。それ以上となると、もうアリーナクラスになるし。僕の場合、アリーナライブではエンタテインメント性が増した、完成されたものを作ってしまうんですね。もちろんVAMPSのライブもすごく完成されたものなんですけど、でもZeppでやっているとある意味ラフなところが出てくるんですよ。僕はそのラフさがロック的でカッコいいと思うんです。例えば当日のリハーサルを見て曲順や演奏を変えることも多いですし、そういうことはアリーナライブではなかなかできないですからね。

──K.A.ZさんはVAMPSのライブスタイルについて、どう考えてますか?

K.A.Z これだけ同じ会場でライブを続けてたら、そのうちにギネスに載りそうですよね(笑)。でもこれだけの本数をやれることってあまり経験できないと思うんですよ。世の中にはいろんなバンドがいるけど、もしかしたらVAMPSってすでに普通のバンドの一生分のライブをやっているかもしれないと思うこともあって。それにライブをやったぶんだけサウンドもパフォーマンスも追求できるし、楽しみながら勉強できるというか。「今日はどういう感じにしようか?」というふうに、ライブの1本1本を楽しんでます。

ニューシングル「AHEAD / REPLAY」/ 2013年7月3日発売 / Delicious Deli Records
初回限定盤A [CD+DVD] 1600円 / UICV-9034
初回限定盤B [CD+DVD] 1600円 / UICV-9035
通常盤 [CD] 1200円 / UICV-5022
CD収録曲
  1. AHEAD
  2. REPLAY
  3. AHEAD(Instrumental)
  4. REPLAY(Instrumental)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. AHEAD(Music Video)
  2. Xperia UL TVCM Real Music篇(15秒)
  3. Xperia UL TVCM Real Music篇(30秒)
  4. Xperia UL TVCM Real Music篇(30秒)
初回限定盤B DVD収録内容
  1. REPLAY(Music Video)
  2. ダークラビリンス Trailer Movie
VAMPS(ばんぷす)

HYDE(L'Arc-en-Ciel)K.A.Z(OBLIVION DUST)が2008年に結成。活動開始からの5年間で国内、海外あわせて250本ものライブを行い、VAMPSの代名詞となった全国のZeppにて連続公演を行う“籠城型ツアー”をはじめ、アリーナ公演、ラグーナビーチなどでの野外公演、そして自身が主宰するハロウィンライブイベントなど、多彩なスタイルのステージは単なるロックバンドにとどまらない。
海外での活動も積極的に行い、ワールドツアーとして北米、南米、ヨーロッパ、アジアなどでのライブを敢行。南米では2ndアルバム「BEAST」が日本人アーティスト初のセールスチャート4位を記録し、そのライブを収録したDVD「VAMPS LIVE 2010 WORLD TOUR CHILE」は各方面から注目を浴び、日本の音楽DVD部門のセールスチャートで1位となった。
2013年にユニバーサルミュージック / Delicious Deli Recordsへの移籍を発表。国内はもちろん海外への進出が期待される。移籍第1弾作品として4月24日にリリースされた映像作品「VAMPS LIVE 2012」は、オリコン週間ブルーレイランキングで1位を獲得した(音楽DVD週間ランキングは3位、総合7位)。そして7月3日に2年半ぶりのシングル「AHEAD / REPLAY」がリリースされた。