TRUE|正しさも、ちぐはぐさもすべて“私” 自分をさらけ出した4thアルバム「コトバアソビ」

「Sincerely」と「ヴァイオレット」が見せてくれた景色

──アルバムを通して聴くと12曲目の「WILL」(2020年9月発売の15thシングル表題曲 / 映画「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」主題歌)の時点でフィナーレ感があるし余韻にも浸れるのですが、そこから「Sincerely(English version)」でダメ押しされるというか、フィナーレのおかわりみたいになっているのも最高ですね。

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私の中では、このアルバムは「MUSIC」から始まって「WILL」で締めくくろうと当初から決めていたんです。なので「Sincerely (English version)」は「WILL」との曲間を長めに空けているんですよ。原曲の「Sincerely」(2018年1月発売の12thシングル表題曲 / テレビアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」オープニングテーマ)は、本当にさまざまな国で歌わせてもらったというか、この楽曲のおかげで私は世界各地で歌を届けることができまして。「Sincerely」と「ヴァイオレット」が見せてくれた景色は私にとってすごく大きかったし、今の私の糧になっています。

──それを今回、英詞にして再録した意図は?

原曲は日本語詞であるのにもかかわらず、どこの国でも涙を流しながら聴いてくださる方もいれば、一緒に大きな声で歌ってくださる方もいて。そうやって海外の方々と交流していく中で、例えば私たちも洋楽を聴いて、英語の歌詞が完全に理解できなくても感動するし、歌は言葉を越えて伝わるものではあるけれども、ここで改めて私が「Sincerely」に込めた思いをより鮮明に、彩度を持ってお届けしたかったんです。日本語って、水彩画みたいにあえてぼかして表現するところがあると思うんですけど、英語だと「I」と「you」という主語と目的語があるので、特に海外の皆さんには明確に響く歌になったのではないかと。

──英詞になると歌自体の響き方も変わっていて、それも面白いですね。

全然違いますよね。「別の楽曲なのでは?」と思ってしまうぐらい。私は、普段こうやってしゃべるときもそうなんですけど、歌うときにはっきりと口を動かして発音していなくて。音を当てる場所によって、例えば頭の上のほうに当てるのか目の前に当てるのかとか、そういう違いによって発音の仕方を変えているんですけど、英語だとそれができないんですよ。なので口をたくさん動かして歌わなければならなかったんですが、それすらも楽しかったですね。

──もともと“sincerely”という言葉は英語で手紙を書くときに最後に添えるものでもあるので、アルバムのこの位置に置くのは大正解ではないかと。

うんうん。英訳を担当してくださったリン・ホブデイさんも、日本語の持つ奥ゆかしさと英語の持つ鮮明さをものすごく上手にちりばめてくださいました。

──アルバムを聴き終えてみると、例えば前作「Lonely Queen's Liberation Party」はバラエティ豊かでゴージャスな作品だったと思うのですが、「コトバアソビ」はよりタイトで、それでいてカラフルという印象を受けました。どちらがいい悪いという話ではなくて、そういう違いを感じたという意味で。

「Lonely Queen's Liberation Party」は作家さんに身を委ねたというか、いろんな作家さんに私を“解放”してもらおうとしていたんですよ。それ対して「コトバアソビ」は完全に私が軸になっているので、そう感じてくださったのかも。結果として、作家としてもアーティストとしても自分の可能性を教えてもらったので、このアルバムを通過点にして、これからもステップアップし続けていきたいです。

1つずつ、楽しみながら課題をクリアしていきたい

──今後の予定として、11月23日にTOKYO DOME CITY HALLでワンマンライブ「TRUE Live Sound! vol.5 〜Acceleration〜」の開催が決定していますね。

ここからまた“加速”して、次のステージに行くための足がかりになるようなライブにしたいです。去年からライブで皆さんと出会える機会が減ってしまっているんですけど、今年1月の中野サンプラザでの「Sound! vol.4」以上の何かが、このステージを通して生まれる予感がしています。

──その前回のライブは、残念ながら僕は拝見できなかったのですが、いかがでした?

本当にいろんな思いが詰まった1日だったので、ひと言では言い表せないですね。やっぱりライブでしか味わえないものってたくさんあるし、特にコロナ禍に見舞われる前年の2019年はリリースをいったん中断して、とにかくライブをやって、そこで得られるものを吸収することに専念していたんです。だから余計にやるせない思いもたくさんしたんですけど、その時期に培ったものを「Sound! vol.4」にも今回のアルバムにも投影できたし、無駄な時間はなかったと思っていて。なので11月の「Sound! vol.5」でも、前回のライブから10カ月の間、止まっていなかった私の時の流れをきちんとお届けします。

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──先ほど「このアルバムを通過点にして」とおっしゃいましたが、さらに先のことも考えていらっしゃるんですか?

めっちゃくちゃ考えています。5年後、10年後のことまで。言わないけど(笑)。

──言ってくださると期待しちゃいました(笑)。

でも、TRUEとしてデビューして7年経ちますけど、今のところ、概ね自分の思い描いた通りに歩んでこられていると思っていて。なのでこれからも一歩ずつ、短期的な目標も長期的な目標もクリアしていけたらいいなと。そのためにする努力もけっこう楽しくて、私にとって一番大事だと思っているのはボーカルの向上なんですけど、たぶん頻繁にライブに来てくださっている方にはそれを感じていただけていると思うんです。というのも先日アニマックスで、先ほどお話しした私の2019年のワンマンライブ「Sound! vol.1」から「Sound! vol.3」までの一挙放送があって、それを観て「3回のライブで、ボーカリストってこんなに成長できるんだ」と自分でもびっくりしたんですよ。もちろん、ボーカリストとしての課題もまだまだあるんですけど、それも1つずつ、楽しみながらクリアしていきたいです。

──そうやって日々ステップアップしていると、ご自身の過去の音源を聴いて何か思うところも……。

ありますよ(笑)。ただ、音楽って面白くて、そのときの歌は、そのときにしか歌えないんですよね。逆にそれが課題になるというか、“そのときの歌”を聴きたくてライブに足を運んでくださる方も必ずいらっしゃるので、当時の鮮度を忘れずにいたいなって。そのうえでボーカリストとしてどうやって進化していくかを、これからも皆さんにお見せしていきたいです。

ライブ情報

TRUE Live Sound! vol.5 ~Acceleration~
  • 2021年11月23日(火・祝)東京都 TOKYO DOME CITY HALL
TRUE(トゥルー)
TRUE
2014年にTRUE名義でアニソンアーティストとしての活動を開始。「バディ・コンプレックス」「響け!ユーフォニアム」「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「転生したらスライムだった件」など数々のアニメ作品の主題歌を担当する。2019年にデビュー5周年記念ライブを東京・TSUTAYA O-EAST、なかのZERO 大ホール、めぐろパーシモンホール 大ホールで開催。2021年1月に東京・中野サンプラザホールでワンマンライブ「TRUE Live Sound! vol.4 ~Progress~」を行った。2021年8月に4thアルバム「コトバアソビ」をリリースする。また、“唐沢美帆”名義で作詞家としても活躍。「アイカツスターズ!」「マクロスΔ」といったアニメ作品や藍井エイル、水瀬いのりなど多数のアーティストに楽曲を提供している。