「どーぱみん」で第2の波が
──2023年が“沈んでから上がった”1年だったとすれば、2024年は上がった状態でスタートした、ということですよね?
星野 去年は本当に楽しかった。
堀内 うん。「チグハグ」のときとは違う手応えがあったよね。
鈴木 「らりるサプライズ!」のリリースで始まった2024年はサプライズイヤーとして僕らも驚くようなことが目白押しで。サプライズの中にはフランスでのライブイベント出演もあって、初めての海外公演で新たな一面に気付けたりもしました。
──海外では「チグハグ」ではなく「馬鹿ばっか」が大ウケしたという話が、過去のインタビューにありました(参照:THE SUPER FRUITインタビュー|ヒャダインが手がけた新曲で7人の個性が光る)。
阿部 はい。海外の方は「馬鹿ばっか」のことを「CRAZY DANCE!」と褒めてくださって、「『チグハグ』じゃなくてこっちのほうが盛り上がるんだ!?」という気付きをもらえました。それと、2024年は「チグハグ」以来の波を「どーぱみんみん あどれなりんりん」で起こせたのも大きいですね。
星野 「チグハグ」の曲振りをすると盛り上がることには慣れていたけど、最近は「どーぱみんみん あどれなりんりん」の曲振りでも同じくらいお客さんが盛り上がってくれるのが本当にうれしい。
田倉 「チグハグ」のバズり方にはすさまじいものがありましたが、「どーぱみんみん あどれなりんりん」はトップ10とかではないにしろ、音楽チャートに並んだのもうれしかったし、現場には「どーぱみん」のパフォーマンスも観に来てくださるファンの方が多くて、また波が来たことを感じていました。
──「どーぱみんみん あどれなりんりん」は前山田健一さんが、「君と僕とのサクセス論」はつんく♂さんが制作に携わっています。著名な作家陣による提供曲が増えてきたのも2024年の活動の特徴ですね。
星野 つんく♂さんの曲に関しては、よく言われる“つんく♂節”を身をもって感じました。書いていただいたからには責任感を持って世に送り出さなければならないし、書き手が変われば曲や歌詞の内容も変わるので、そこから学べることがたくさんあって。音楽を通して新たなことを楽しみながら学んで、それをライブに生かす。そういうサイクルが身に付いた1年でもありました。
堀内 僕、「どーぱみん」の歌詞がないところのサウンドが大好きで、ライブでパフォーマンスしているときは“音の中で踊っている”ような感覚があるんですよ。ヘッドフォンとか大きいスピーカーで聴くと音が左右に動いているような感じもあって、その些細な作りが本当にすごいなって。「どーぱみん」のサウンド、本当に最高です。
阿部 イベント期間中、ずっと言ってたよね(笑)。
堀内 うん。僕の前で惟真が音を取りながら体を動かしてるのを見るの、大好き。本当にめっちゃドーパミン出てると思う。
歌っていることは「チグハグ」から変わらない
──ベスト盤には2025年の曲として新曲「だいぶダイバーシティ」が収録されています。「チグハグ」で表現されていた多様性を曲名も含めて打ち出した、強いメッセージ性が込められた楽曲だと感じました。
田倉 「チグハグ」が大注目されたとき、世間ではちょうど多様性やLGBTが話題になっていたから、「チグハグ」はそういう社会問題をポップに歌った作品と捉えられていた節があって。でも個人的には、「チグハグ」ってその側面だけを歌ってる曲ではないんです。「もっとミニマムな日常の気付きが愛は地球を救うのさ」という大きなことを歌っていて、100人いたら100人それぞれが自分事として捉えられるような、些細な自分らしさを感じたり、勇気をもらえたりする曲だと思っていたんです。「だいぶダイバーシティ」は、今僕が話した「目の前の人に寄り添いたい、伝えたい」という思いがより濃くなったように感じます。
星野 いわゆる「普通」と言われてしまうような人にも刺さる曲になっていると思います。こんな見た目で言うのも変かもしれませんが、はるも昔は自分に個性がないことで悩んでいたんですよ。自分ってなんでこんな普通の人間なんだろうって。でもそんなわけないじゃないですか(笑)。
──星野さんでもそう思っていた時期があるとは意外です。
星野 でしょ? はるはわかりやすく普通じゃなくなったかもしれないけど、みんな同じようなことで悩む時期はきっとあるんですよ。自分では普通だと思っていたことが、外から見たら普通じゃないなんてことはめちゃくちゃあるし、なんなら“本当に普通の人”を探すほうが難しいとさえ思う。ダイバーシティ=多様性と歌うと大袈裟に響いちゃうかもしれないけど、自分の好きなものを大事にしたり、何か1つ素直に「好き」と表現するだけでも、それは多様性を大事にしていることになる。いろんな人の心の中にこの曲が浸透してほしいな。
小田 音楽に背中を押してもらうことは誰しもあると思うんですが、スパフルの曲はそれがストレートに表現されていると思っていて。これは「チグハグ」の頃から変わらなくて、「だいぶダイバーシティ」では「好きなら好き」「嫌なら嫌」をちゃんと言って自分を肯定してあげようという歌詞になっています。振付もそれを体現していて、耳で聴いても目で見ても楽しい曲になっているので、ライブを観に来てもらいたいです。
──「愛の仕組み」以来となる小田さんのラップが収録されているのも、「だいぶダイバーシティ」の特徴ですね。
小田 正直に言うと、「愛の仕組み」のときはラップというものをそこまで知らずに挑戦していたんですよ。だからレコーディングのときも1つの正解に向かって練習するので精一杯だった。でも「愛の仕組み」を経て、いろんなラップに触れてちょっとずつわかってきたことがあるから、「だいぶダイバーシティ」ではいくつかのパターンを自分で考えてレコーディングしてみました。前のラップとは違う雰囲気になったし、ほかのボーカル部分よりもアレンジする幅が広いのがラップの面白いところ。もっとうまくなりたいと思えるようになりました。
目の前の目標に集中して、大きな夢を
──ベスト盤をリリースしていよいよメジャーデビューに向かう2025年、皆さんはどんなことを成し遂げたいですか?
鈴木 僕ら7人にしかないスパフルのよさをもっといろんな人に届ける活動をしたいです。日本はもちろん、個人的にも手応えがあって楽しかった海外での公演をもっとやりたいし。それと、僕らはこれまでフルファミ(THE SUPER FRUITファンの呼称)に助けられてばかりだったので、僕らの音楽で恩返しをしないといけないなと思っています。みんなの恩返しになるような曲を、たくさん届けたいです。
松本 「チグハグ」が広まったのも、そもそもはファンが推しカメラをアップロードしてくれた動画のおかげみたいなところもあったので、本当にフルファミのおかげでここまで来れたと思っています。メジャーデビューをすると「遠い存在になっちゃう」と思う人もいるかもしれないけど、全然そんなことはなくて。どんどん新しいことに挑戦して「スパフルってこういうこともできるんだ」「スパフルのことが好きでよかった」と思ってもらえるようにがんばります。
小田 メジャーデビューという大きな節目は目前にありますが、まずは11月の幕張メッセ公演を満員にする、オリコンランキングで1位を獲得する、TikTokのランキングでトップ10入りを達成する、という“三大目標”を叶えたいです。あえて今は目の前の目標に集中しながら、もっと大きな夢をメジャーデビューのときには話せたらいいな。
公演情報
ROCK! ROCK! FRUIT! -インディーズラストライブハウスTOUR-
- 2025年5月24日(土)愛知県 名古屋ReNY limited
- 2025年5月25日(日)大阪府 BIGCAT
- 2025年5月30日(金)東京都 WWW X
- 2025年6月1日(日)東京都 ヒューリックホール東京
THE SUPER FRUIT WORLD 2025 in 幕張メッセ
2025年11月23日(日・祝)千葉県 幕張メッセ 展示ホール8
プロフィール
THE SUPER FRUIT(ザスーパーフルーツ)
阿部隼大、小田惟真、鈴木志音、田倉暉久、星野晴海、堀内結流、松本勇輝の7人からなるボーイズグループ。食卓に並ぶフルーツのように“あるとうれしい特別な存在”をコンセプトに、3カ月にわたるプレ活動期間を経て2022年に本格的に活動を開始した。同年8月にデビューシングルとしてリリースした「チグハグ」がTikTokをはじめとしたSNSを中心に注目を浴び、「それでは聴いてください、チグハグ」というフレーズが「TikTok流行語大賞2022」を受賞。2023年12月に初のアルバム「青い果実」を発売。2024年8月にシングル「どーぱみんみん あどれなりんりん」を配信リリースした。2025年3月、夏にユニバーサルミュージックからメジャーデビューすることを発表。4月にはインディーズ最後の作品としてベストアルバム「BEST FRUIT BOX」をリリースした。またメジャーデビューするにあたり、2025年の“三大目標”として11月23日に千葉・幕張メッセで開催される自身最大規模のワンマンライブを超満員にすること、オリコンランキングで1位を獲得すること、TikTokのランキングでトップ10にランクインすることを宣言した。
THE SUPER FRUIT(スパフル) (@supafuru_info) | X
THE SUPER FRUIT (@supafuru_info) | Instagram