THE SUPER FRUITのニューシングル「どーぱみんみん あどれなりんりん」が8月7日に配信リリースされた。
今年に入ってから韓国、フランスで海外公演を行い、グループとしてのスキルを磨きながら胆力を鍛えてきたスパフル。現在は47都道府県を回るフリーライブツアーを開催中で、11月には東京・TOKYO DOME CITY HALLでグループ史上最大規模のワンマンライブが控えている。そんな中でリリースされた新曲「どーぱみんみん あどれなりんりん」は、ヒャダインこと前山田健一による提供曲。ボーカル3人、ダンサー4人編成の楽曲が多いスパフルだが、今回は1stアルバム「青い果実」の表題曲に続きメンバー全員が歌唱に参加し、その挑戦が7人の成長を後押ししている。
音楽ナタリーではメンバーへのインタビューを行い、海外公演の所感や「どーぱみんみん あどれなりんりん」についてのエピソードなどを聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦撮影 / 梁瀬玉実
海外に行って一皮剥けた志音
──配信シングルの話をする前に、ここ数カ月のスパフルの活動について振り返ります。1つ大きなトピックスとして韓国とフランスでの海外公演がありました。まず韓国でのイベント開催について、お話を聞かせてください。
星野晴海 やっぱりグループとしての活動とはいえ純粋に韓国に行ける!というのがすごくうれしくて。特に(小田)惟真が喜んでた。
小田惟真 K-POPが大好きだし、あとブランドの服とかサングラスも僕が欲しいものが韓国にあって。「いつか韓国に行けたらいいな」と思っていたら、スパフルとしての初めての海外遠征が韓国に決まって、めちゃくちゃうれしかったです。
阿部隼大 人生で初めての海外に、メンバーと一緒に行けたのはすごく幸せでした。
堀内結流 以前から韓国のファンの方がインスタに僕らのことを投稿してくれていたので、韓国にもフルファミ(THE SUPER FRUITファンの呼称)がいることは把握していましたが、なかなか現地でライブをする機会を作れないことが歯がゆくて。今回、韓国でライブができて「観れたよ」という声をいただいたので、海を越えたところにフルファミがいることをものすごく実感しています。
松本勇輝 現地に着いたらまずビラ配りをして、ライブの告知をしたんです。僕らのことを知らない方がたくさんいる中で、ビラを受け取って実際に足を運んでくれた方もたくさんいました。
田倉暉久 ビラ配りに関しては(鈴木)志音がすごかったね。そもそも僕らはビラ配り自体あまりやったことがなくて。初海外ということもあって僕は緊張しちゃって慣れるまでに時間がかかったんですよ。でも志音は最初から「どうぞ来てください!」ってめちゃくちゃ話しかけてました。韓国語が話せるわけでもないのにガシガシいって、志音のおかげで来てくれた人もたくさんいました。
鈴木志音 言葉というよりも、表情やジェスチャー、パッションで伝えてましたね。
堀内 これは本当に行ってみないとわからなかったことで。志音はどちらかと言うと恥ずかしがり屋な性格だと思ってたんです。でも海外に行ってみたら、言葉がわからない分いろんな表情や身振り手振りでコミュニケーションを取るタイプで、それがすごくよかった。実際にフランスでは志音のグッズが現地で一番売れて、ペンライトも紫が多かったです。
──国内だけで活動していたら発見できなかった才能かもしれませんね。
星野 海外に行って一番ひと皮剥けたのが志音かも。海外で弾けたパッションをちゃんと日本に持ち帰ってきてくれた感じがする。
──志音さん自身は海外に行ってどういう刺激を受けたと自覚していますか?
鈴木 なんとなく海外の方とテンションが合う感覚があって。でもそれはただ偶然合ったんじゃなくて、異国の地で僕がちゃんと海外の方のテンションに合わせられたからだと思うんです。その感覚を忘れずに、日本のフルファミのテンションにも合わせていきたいし、日本でもテンション高くいれるように自分をちょっと変えてみようと思う、いいきっかけになりました。
──韓国のイベントに向けては「チグハグ」「サクラフレフレ」の韓国語ver.を新たにリリースするなど、かなり準備されていましたよね。韓国語で曲を歌うのは難しかったですか?
小田 K-POPは好きでよく聴いていたけど、実際に自分が歌うとなるとものすごく大変でした。僕たちはまだハングルがうまく読めないから、歌詞をカタカナ表示で書いてもらったんですが、「ア」と書かれていても発音が2種類ある、みたいなことがたくさんあって。1曲のレコーディングに2日間かかりました。
星野 カタカナ通りに歌っても正解じゃないんですよね。カタカナを覚えて歌っただけだと、現地の人からすると違う意味に捉えられてしまうようなので。歌詞としていただいたものとは別に、自分でデモを聴き直してカタカナに起こして歌うのが一番正確だと気付いてからは、なんとかなったかなあ。
松本 カタカナだけを見ればいいのではなくて、ハングルの表を見てこっちの「R」の発音は巻き舌のほうで……みたいに、ハングルの表記も確認しながら歌うのはめっちゃ大変でした。
田倉 僕は歌詞をもらった瞬間に思ったことは「こりゃ、無理だな」と。
一同 (笑)。
田倉 ハングルで書かれた歌詞と、カタカナで書かれた歌詞の両方を見比べて、さっぱりわからなかったから「これは大変だぞ」と。でも、韓国語を教えてくださる先生がレコーディングに向けてかなりの時間を取ってくださって、それでなんとかなりました。ほかの言語を覚える楽しさも感じましたが、大変な記憶のほうがこびり付いてますね。
阿部 ボーカルの3人以外は、挨拶の言い方や現地でのコミュニケーションをどう取るかをみんなで勉強して。スマホの翻訳機を使って、自分たちの発音がちゃんとしているかチェックしていたんですが、それもかなり苦戦しました。
堀内 「このあとライブやります」と言ったつもりなのに、翻訳機には「トイレどこですか」と出てきて(笑)。「なんで?」って。
──ダンスの拍の取り方も変わるんじゃないですか?
小田 めっちゃ変わりました! 日本語の歌詞に当てはめて踊っていたところが、韓国語では歌詞がなかったり。歌い慣れた、踊り慣れた曲だからこそ難しい部分が多かったですね。
堀内 ダンサーの僕ら4人は韓国語に引っ張られないように意識してました。特に「サクラフレフレ」は、歌詞が詰まっているから畳みかけるように歌う部分があるけど、そのテンポ感が日本語と韓国語でけっこう違う。だから僕らは演奏部分に集中して、いつも通り踊りました。そうしないとズレてしまいますから。
鈴木 僕はけっこう新鮮だからテンションが上がっていたかな。いつもより笑顔になってたかもしれない(笑)。
「馬鹿ばっか」のクレイジーダンスが大ウケ
──6月にはフランスで開催された「Japan Tours Festival 2024」に出演されました。まさかフランスでライブをするとは思っていなかったのでは?
星野 韓国は身近に感じられる国だけど、フランスは飛行機で12時間以上かかるような距離にあるから、まったく知らない環境に飛び込む感覚があって。実際に行ってみたら街並みが美しくて、本当に日本とは全然違う土地なんだなと思いました。
小田 日本と違って湿度が低いので、全然ベタベタしなかったよね。
阿部 あとは夜まで明るい! 21時を過ぎてもまだ明るいなんて。
鈴木 びっくりしたよね。
──実際にライブをしてみて、日本のファンとの反応の違いは感じましたか?
堀内 お客さんの盛り上がり方がけっこう違いました。フランスの方はとにかく声を上げるのが主流というか、少しでも何かがあると「フォー!」とか「イエーイ!」って声に出して喜んでくれる。志音がちょっと何かファンサするとめちゃくちゃ爆上がりで(笑)。楽しかったでしょ?
鈴木 もう最高だった(笑)。
阿部 あと好まれる曲も違ったよね。日本のオーディエンスにはキュートめな振り付けが好評だけど、フランスの方はぶっ飛んだ動きが好きなのが面白くて。だから「馬鹿ばっか」がすごく盛り上がった。
星野 「クレイジーダンス!」と言われてました(笑)。
田倉 フランスに向けて「ドラゴンボールZ」を彷彿とさせるダンスパフォーマンスも用意したんですけど、それもすごくウケてました。フェスの目的でもある日本の文化を伝えることを僕たちなりの方法で達成できて、すごくいい経験になりました。
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前山田健一の曲提供に「夢かな?」