もっと意味のあるリリースをしていきたい

──歌詞について、もうひとつだけ。「VENOMOUS SPIDER'S WEB」も相当に攻撃的な歌詞だと思うんですが……。これ、インターネットに代表される情報社会に対する批判とも受け取れますよね。

RUKI　まあ、ギャグですけどね（笑）。コンピュータウイルスのイメージというか、毒が回っていって、壊れていくっていう。興味はありますけどね。この先、どうなっていくんだろう？ って。音楽もそうですけど、いろんなものが便利になっていくにつれて、それまであった良さがなくなってたり。

──ちなみにナタリーみたいなニュースサイトって見ます？

RUKI　見ますよ。Twitterにもよくナタリーのニュースが上がってるし。Twitterも便利ですよね。ブログよりも手っ取り早いし。2ちゃんねるをもっと一般的にした感じもあるけど。情報がありすぎて、宣伝効果もあるのかないのか……。まあ、どうなるか見物ですよね。Twitterの次はなんだろう？ とか。

──非常に現代的というか、リアルな歌詞ですよね。そうやって完成した「TOXIC」は現時点での最高傑作だと思いますが、このアルバムを作ったことによって、この先の展開も見えてきたんじゃないですか？

RUKI　音楽性はともかく、姿勢に関してはありますね。例えば、なんでシングルを出すんだ？ とか。リリースにしても、もっと意味のあるものにしていきたいんですよね。レコード会社に言われてシングルを出すとかじゃなくて、その時期にもっとも意味があることをやるべきだと思うんですよ。音楽シーンのあり方も変わってるし、マニュアルもあるようでないし。だったら、面白いことをやっていったほうがいいじゃないですか。そういうことは、感じなくもないかな。

戒　まあ、ライブ（全国ツアー「LIVE TOUR 11 VENOMOUS CELL」）がこれからですからね。先のことって言われても、ツアーをやってみないとわからないです。そこで自分たちが何を感じるか……それによって、次にやることも変わってくるだろうし。言い方は悪いですけど、行き当たりばったりなんですよ。で、それでいいと思ってるんですよね。そのときに感じたことをそのまま素直に音にする。そのやり方でいいのかな、と。

5人で決めて、5人で動いていく

──バンド本来のあり方かもしれないですね、それが。

戒　ああ、そうですね。そういうバンドで良かったなとも思うし。“貯め置き”とかできないし。

──「この曲は取っておいて、あとでシングルにしよう」とか？

葵　そういうこともやったことあるけど、今はやらなくなってますね。飽きちゃうんですよ、自分たちが。でも、戒が言ったとおり、やっぱりライブが重要かな。「TOXIC」はライブを意識しながら作ったアルバムでもあるし。

──今回のツアーも2カ月弱で26本という、かなりタイトなスケジュールですが。

葵　そうですか？ 以前はもっとやってた気がするし、少なく感じちゃうんですよね。ライブはもっとやりたいです。そこでいろんな感情を味わうことが大事だと思うので。

れいた　常に5人のタイミングで動いていく、っていうことをやりたいですね。中途半端に周りの意見を聞くんじゃなくて、5人で決めて、5人で動いていくっていう。周りに流されてると、バンドの寿命も縮むような気がするし。自分たちの感覚のまま、それをもっと打ち出していきたいです。

麗　このアルバムで学んだことは、制作の姿勢だと思うんです。いかに自分が楽しめる方向に持っていけるかっていう。いろんな人の意見だったり、思惑が重なることもあるけど、どんな状態であっても、自分たちが満足できるっていうのが基本だと思うので。

──これも偏見かもしれないけど、the GazettEって、周りの意見には全く耳を貸さないようなイメージが……。

RUKI　（笑）。いや、聞くことは聞きますよ。

麗　聞くというより、知ることが大事ですから。それをやるかどうかは別にして、無駄な情報ってないと思うし。

RUKI　うん。話を聞くだけ聞いて、「違う！」って（笑）。