ナタリー PowerPush - the GazettE

バンドの意志を貫いた2年ぶりアルバム「TOXIC」

自分たちの見せ方は自分たちが一番理解してる

れいた 去年って、どこか査定されてるような気持ちもあったんです。発表会に出て、審査されてるような。今はエキシビションというか、伸び伸びやれてると思いますね。

 広がり方ってあるじゃないですか、メディア展開なんかも含めて。ドームの経験を経て「どうやれば、もっとカッコよく広がっていけるだろう?」っていうことも考えるようになったし、それが少しずつわかってきたんですよね。やりたいことをやるためには、どうしたらいいか?っていう。アプローチの仕方も変わってきますよね。

RUKI バンドの展開、自分たちの見せ方っていうのは、自分たちが一番理解していると思うし。そこに対していかに没頭できるか、ですよね。戦わなくちゃいけないこともあるんですよ、やりたいことをやるためには。特に俺らは、ただ単にバーッとやる感じじゃないんですよね。けっこう細部にまでこだわるし、それを実現するためには費用もかかるし、人も必要で。とにかく、まずはクオリティを上げること。それをJ-POPとしてお茶の間に届けるためには?ってことも考えますけどね。

──「SUMMER SONIC」に出演したことも、新しいトライアルですよね。刺激はありました?

RUKI そうですね。自分たちのことを知らない人がいるわけだから、そこでどうやるか?っていうのは当然考えるし。反応が見えやすい場所ですよね、すごく。

 面白かったですよ。ファンとかじゃなくて、知らない人たちが多いっていう。でも、音楽が好きな人たちが集まってる場所ですからね。俺らは音でアプローチするしかないし。

 あの空気感はいいですよね。気持ちいいです。

れいた 俺もそうですけど、よっぽど行きたいって思わないと、ライブって行かないと思うんですよ。そういう人たちに自分たちのライブを観せられるのはいいですよね。

──そうですよね。少女時代目当てで来たお客さんが、「the GazettE観てみる?」ってことになったかもしれないし。

RUKI まあ、そうですよね(笑)。

 特に自分たちの場合、偏見があると思うんですよ。インパクトがあればあるほど、そういうのは増えると思うし。でも、自分たちがやってる音楽はジャンルとか関係ないし、派手なパフォーマンスだったり、衣装やメイクも含めて、カッコいいと思ってもらえる要素もたくさんあるんじゃないか、と。最終的に偏見がなくなってくれれば、一番いいんですけどね。

──ちなみにほかのバンドのライブって観ました?

れいた 全く観てないです。会場に入って、ライブやって、そのままハケて(笑)。

 メイクとかしなくちゃいけないですからね。そのまま会場に出ていっちゃったら、ヘンに目立つでしょ?

──確かに(笑)。

違うことは違うってちゃんと言いたい

──アルバムの話に戻りますが、すべての楽曲がホントに際立っていて、全体の流れもすごく刺激的ですよね。エレクトロテイストが取り入れられた「VENOMOUS SPIDER'S WEB」の後、メタルコアの進化系とも言える「SLUDGY CULT」が続いたり。

RUKI そんなに意識してるわけじゃないんですけどね。

 曲の並びに関しては、ライブにしても音源にしても、結構直感で決めてるんですよ。「この曲の後はコレでしょ」っていう感じで。

──例えば13曲目の「TOMORROW NEVER DIES」が最後だったら、開放的なイメージのまま終わると思うんですよ。でも、その後にあえて不穏な雰囲気のアウトロ(「OMEGA」)を入れるっていう……。

RUKI それ、みんな言いますね(笑)。まあ、流れ的にはいい効果があるのかな、とは思いますけど。

 できあがったときはそこまで感じなかったんだけど、家で聴いてみたら、かなりすごいものがありましたね。いい意味で残念というか(笑)、「ハッピーで終わらないんだ?」っていう。

──「TOMORROW NEVER DIES」って、歌詞はかなりシリアスですよね。「Don't kill yourself」ってハッキリ歌ってて。

RUKI そうですね。今までにもこういう内容の曲はあったんですけど、震災があって、改めて書きたかったというか。望んでなく死んでしまった人たちがいるのに、授かった命を自ら絶つというのは本当に愚かな行為だと思うんですよ。それはもう、誰に何を言われたとしても、(リスナーに向かって)言っていく意味があると思うので。ファンに限らず、違うことは違うってちゃんと言いたいというか。

──なるほど。

RUKI 命の大切さをちゃんとわかってない人もいると思うんですよね、学校で教えてくれるもんでもないし。生きていればいいことがあるさ、とは思ってないし、悪いことばっかりかもしれない。でも、死んでラクになれるかっていったら、それはないと思う。ただ、この曲を聴いて何かを感じてほしいとか、そういうことは考えてなくて。俺が思うことをただ歌ってるだけなんですけどね。

ニューアルバム「TOXIC」 / 2011年10月5日発売 / Sony Music Records

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 4990円(税込) / SRCL-7761~7762 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 3150円(税込) / SRCL-7763 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. INFUSE INTO
  2. VENOMOUS SPIDER'S WEB
  3. SLUDGY CULT
  4. RED
  5. THE SUICIDE CIRCUS
  6. SHIVER
  7. MY DEVIL ON THE BED
  8. UNTITLED
  9. PLEDGE
  10. RUTHLESS DEED
  11. PSYCHOPATH
  12. VORTEX
  13. TOMORROW NEVER DIES
  14. OMEGA
the GazettE(がぜっと)

RUKI(Vo)、麗(うるは/G)、葵(あおい/G)、れいた(B)、戒(かい/Dr)から成る2002年結成のヴィジュアル系バンド。インディーズ時代より激しくパンキッシュなサウンドと妖艶なルックスで絶大な人気を博し、2005年12月リリースのシングル「Cassis」でメジャーデビューを果たす。2006年5月には初の日本武道館ワンマンライブを敢行。同年7月にはドイツで初の海外ワンマンライブを行った。2007年にはヨーロッパツアーを含む全72公演にわたるロングツアー「[Pulse Wriggling To Black]」を実施し、大成功を収める。2010年7月リリースのシングル「SHIVER」より、所属レーベルをSony Music Recordsに移籍。同年12月には初の東京ドームワンマンライブ「TOUR 10 NAMELESS LIBERTY SIX BLULLETS FINAL THE NAMELESS LIBERTY」を行った。