THE BEAT GARDENの新体制初となるアルバム「MADE IN DAMAGE」がリリースされた。
2025年2月にkowta2(DJ)とKAI(Vo)が加入し、新体制に生まれ変わったTHE BEAT GARDEN。新作「MADE IN DAMAGE」はTikTokを中心に流行しているリード曲「恋ってスタディ?」や、新たなラブソング「ラブコメディ」「1分の1のラブソング」、グループの関係性を示すような歌詞が特徴の「フレンズ」など全10曲で構成されている。
音楽ナタリーでは5人体制になって半年が過ぎ、より絆を深めているTHE BEAT GARDENにインタビュー。メンバーたちが互いを友達だと語るように、取材中は笑いが絶えず和気あいあいとしたムードでトークが繰り広げられた。
取材・文 / 小松香里撮影 / YOSHIHITO KOBA
「恋スタ」はなぜバズった?
──ニューアルバム「MADE IN DAMAGE」から先行配信されたUさん作詞作曲のリード曲「恋ってスタディ?」がTikTokでバズっています。
U(Vo) サビはTikTokで踊ってもらうことをイメージして作ったので、たくさんの人がダンス動画をアップしてくれてうれしいですね。アルバムを制作しているときにTikTokのダンス動画で人気の米澤りあさんという方を知って、「この人に『恋スタ』の振りを付けてもらうしかない」と思ってオファーさせてもらいました。りあさんの振りが素晴らしかったこともあってバズっているんだと思います。
KAI(Vo) りあさんの振りがかわいいんですよね。僕はダンスが苦手なのでうまく踊れないんですが、ほかのメンバーはあっという間に覚えてよく踊ってます。特に10代の子は振りを覚えるのが得意な子が多いから、たくさん踊ってくれていてうれしいですね。まだまだもっと広がってほしいです。
藤掛昌斗(Vo) TikTokのことは詳しくないんですが、自分で踊ってみて難しさがわかりました。かわいくなりたいなと思いました。
U そっちにいくんだ?(笑)
渡部怜(Vo) 「恋ってスタディ?」を初めて聴いたとき、夏にぴったりだなと感じました。いい意味で肩の力が抜けた気だるい雰囲気があるので、KAIが加入してボーカル4人体制になったタイミングでそれぞれの歌の個性を前面に出していける曲なんじゃないかなと思いました。歌入れするのが楽しみでしたね。
kowta2(DJ) 僕は最初に聴いたときに、みんなで盛り上がれる曲だなと思いました。「X!Y!π!」とか「ぜーんぶ間違いじゃん!」といった合いの手がカラオケで盛り上がりそうだし、歌いながら楽しめる曲になってるなと。
──その合いの手が強力なフックになっていますが、デモの段階からあったんですか?
U ありましたね。デモでは僕が担当しましたが、インフルエンサーのひいなさんとまやさんという方を誘ったら、レコーディングに来てくださって。お二人の声が素晴らしかったので使わせてもらいました。
kowta2 曲に合ってますよね。“ギャルギャル”な感じで。
KAI かわいかったよね。ブースが華やかだった。
藤掛 レコーディングがホントに楽しかったよね。
恋愛あるあるが盛りだくさん
──「恋ってスタディ?」に恋愛のリアルな描写があるのもバズった理由だと思います。作詞するうえで、どんなところにこだわりましたか?
U これまでの自分の歌詞はバースで韻を踏んでサビで回収するような書き方をしていたんですが、この曲はSNSで15秒とか30秒で切り抜かれることを想定していたので、1行1行がパンチラインになるように書いていきました。
──LINEの未読無視や返信で右往左往することなど、“恋愛あるある”が盛り込まれていますよね。
U 僕はメンタル強めなのでそれくらいで動揺したりしないんですが、このあたり(渡部、藤掛、KAI)は未読か既読を気にすると聞いて「“あるある”なんだな」と思って歌詞にしました(笑)。
KAI そのことは記事に書かないでください(笑)。
U 書いて大丈夫です(笑)。僕も昌斗と同じでTikTokにそこまで詳しくないので、一番若いKAIにいろいろ聞いたりして。
KAI 僕の体験談っていうわけじゃないんですが、ティーンの“恋愛あるある”を話しましたね。
一同 (笑)。
KAI 「未読無視で『嫌い!』になって 返事来れば『好き!』ってなって」という歌詞とか、まさに“あるある”じゃないですか。全然返事が来なかったけど、来た瞬間に「最高!」ってなる。
藤掛 隠したがってたのにもっと具体的に言ってるやん(笑)。
KAI (笑)。甘酸っぱい若い子の恋愛を表現できたらなと。
──歌詞には、0時に帰らなければいけないシンデレラのモチーフも含まれています。
U 2019年、僕たちは白雪姫をテーマにした「Snow White Girl」という曲を出したんですが、「恋ってスタディ?」にはシンデレラをモチーフとして入れてみました。「シンデレラだって夜遊びしたじゃんか とけない魔法かけ合って 0時もアレも乗りこなして 会いしたいな」という歌詞で、下心ありきで好きな子と0時を超えたい、シンデレラも夜遊びしてたしという思いを表現して。このアイデアを思いついて、自分としてはすごくうれしかったですね。
──アレンジはTHE BEAT GARDENの楽曲ではおなじみのKOHDさんですが、何かリクエストはしましたか?
U デモの段階から一緒に作らせてもらったんですが、新体制になってどういう音楽性にしたらいいかいまいちわからなかったこともあって、アプローチの仕方を相談しました。僕が「平成感のある曲がいいんじゃないか」と提案したら「フューチャーポップも平成ソングからインスパイアを受けてるところがあるから、その方向性がいいかもしれない」という話になって、結果的にいいトラックに仕上げていただきました。
THE BEAT GARDENらしくユーモアを
──アルバムタイトルの「MADE IN DAMAGE」には「心の傷から生まれた」という意味があるそうですが、このタイトルにしたのはどうしてですか?
U 収録曲のラインナップからすると意外と重めなタイトルですが、こうして明るい曲を歌えるのは明るくいられなかった瞬間があるからだと思っています。今この5人で音楽をできている楽しさって、それぞれが1人でいる寂しさを知っているからなんじゃないかと。傷を負ったからこそメンバーに出会えたと思ってるし、傷がどこかでハッピーなものに変わったことで、アルバムの楽曲が生まれた。なので、「MADE IN DAMAGE」というタイトルを付けました。
──タイトルを知ったあと、オープニングナンバーの「Universe」を聴いたのですが、冒頭のアナウンスも含め、とてもエンタメ色が強い楽曲でギャップを感じました。どんな狙いがあったんでしょう?
U ギャップありますよね(笑)。アルバムの制作中にあるアーティストさんの東京ドーム公演に行かせてもらったんですが、オープニングムービーが宇宙からの引きの地球の画でスタートしてどんどんクローズアップされていって、開催地の東京ドームに視点が移っていったんです。すごくカッコよかったのでいつかTHE BEAT GARDENでもこういうオープニングを作りたいなと思いました。でも、待てよと。THE BEAT GARDENがこの世界観を作るとしたらもっとユーモアを盛り込んだほうが自分たちらしいよねとメンバーに伝えたら、「それアルバムでやりましょう」という話になって。
渡部 いい意味で聴き手の皆さんを裏切るようなオープニングがあると、面白いアルバムになるんじゃないかと思いました。kowta2が担当してくれたアルバムのアートワークに宇宙や近未来といったテーマがあって、それを「Universe」のサウンドに落とし込みました。宇宙船のコックピットみたいな空間をイメージして音をどんどん足していって。結果として、最後にメンバーがボケるみたいな曲になりました。レコーディングも面白かったです。
藤掛 あまり凝り固まらず作れたアルバムだったので、こういう斬新でふざけたオープニングがいいんじゃないかと思いました。
kowta2 「Universe」を聴くと「何やってるの?」という反応になると思うんです(笑)。それはそれでオモロいのかなと。本当は僕が「もうええわ」と言うツッコミ役をやりたかったんですけど。
U オーディションの末、僕になりました(笑)。
kowta2 それは残念でしたが、オモロい曲になったと思います。
U THE BEAT GARDENがドームでライブをやるときが来たら「Universe」のツッコミ役をkouta2がやってください。
kowta2 そこは譲りません。
──KAIさんはTHE BEAT GARDENに加入後初めてアルバムを作って、どんなことを感じましたか?
KAI 曲数が多いので制作に時間はかかったんですが、体感的にはすごく短くてあっという間に終わりました。「Universe」は重ね録りじゃなくて、みんなでレコーディングブースに入って1個のマイクを囲んでレコーディングしたんです。グループならではだなと思って、すごく楽しかった。いい思い出です。
U もう思い出にしちゃってる(笑)。
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照れながら愛と平和を歌う