ナタリー PowerPush - TETSUYA
3年ぶりにソロシングルリリース 生まれ変わったTETSUYAが語る音楽観
L'Arc-en-Cielのベーシストとして活躍するTETSUYAが、ソロ活動を本格再始動。約3年ぶりのニューシングル「Roulette」をリリースした。
テレビ東京系アニメ「HEROMAN」のオープニングテーマにも起用されているこの曲は、まさにTETSUYAワールド全開のカラフルなアッパーチューン。ひさびさの新曲に込めた彼の思いや、"ポップ"と評されることの多い自身の楽曲に対する考えなどを、TETSUYA本人に存分に語ってもらった。
すごいパワーを持ってる曲
──前作「Can't stop believing」以来約3年ぶりとなる新作「Roulette」がリリースされましたが、そもそもこの曲はいつごろ作った曲なんですか?
原型を作ったのは4~5年ぐらい前ですね。最初に作ったときはここまで強力なキラーチューンになるとは思っていなかったんですけど、この数年の間に曲が育っていきました。やっぱり発表するタイミングっていうのがあるんだな、と思いましたね。
──ライヴではすでに何回か披露されていますね?
そうですね。一番初めに演奏したのは2009年の「JACK IN THE BOX 2009 SUMMER」だったんですけど、ライヴでやったらものすごく盛り上がって。今まで5回ぐらい歌ってます。
──オーディエンスがタオルを回していたシーンがすごく印象に残っています。
歌詞を書いているとき、ちょうどサビに「ルーレット」っていう言葉がハマって、ライヴでみんながタオルを回しているイメージが浮かんだんです。実際にステージで回してみてもすごくノリやすかったし。今年に入ってからのライヴでも、リリース前なのに一番盛り上がっていて「すごいパワーを持ってる曲だな」って思いましたね。
──楽曲のキラキラした雰囲気といい、「ルーレット」という言葉の語感といい、非常にTETSUYAさんらしい曲ですよね。
ええ。タイトルだけとっても僕の世界観を表現できたかな、と思っています。
ポップでカラフルなほうがすごく難しい
──そのTETSUYAさんの世界観を端的に表現するのはなかなか難しいですよね。「ポップ」っていう一言で片づけてしまうのも違うような気がしますし。
そうなんですよ、僕もうまく言えなくて歯がゆいんですけど……。「ポップ」っていう言葉ひとつでも、誤解して受け取る人もたくさんいると思いますし。わかりやすく言えば「ハード」と「ポップ」という分け方、色で言ったらモノトーンとカラフルっていう分け方になるんでしょうけど、僕はどちらかと言えばポップなほうだと思うんです。で、音にしても色にしても、ポップなものやカラフルなものって、そっちのほうが簡単だろうって軽く見られがちですよね。でも僕は違うと思うんですよ。極端な言い方だけど、黒という色は一番楽で逃げやすい方法、黒で統一するのが一番簡単な手法のような気がして……。もちろんそういう単純なことではないのはわかってますけど、モノクロってカッコよく見えるし、どんなものでもアートっぽく見えますよね。
──キーワードとしてはわかりやすいですからね。
僕からすると、それはちょっと安易な気がするんです。ポップでカラフルなほうがすごく難しくて高度なんじゃないかなって。僕のやってる音楽にしても、やっぱり「ポップ」「キャッチー」って言葉で片づけられてしまうことが多いんですけど、それを成立させるのはとても難しいんですよ。ひとつひとつにこだわらないとそのポップネスは完成しませんし。
──TETSUYAさんらしいこだわりが込められているわけですね。
僕は人生の一番多感な時期に1980年代の音楽とかファッションを体感してきてるんですけど、あの時期が一番カッコよかったなって今にして改めて思えて。自分の作品にもその輝いてる時代の経験が反映されているような気がします。
──そういう部分が「TETSUYAらしさ」なのかもしれませんね。
今の若い人は当時の輝いてる感じを知らないから、逆に新鮮に映ると思います。でも時代は回りますから、また1980年代の雰囲気が来てる感じもしますね。
CD収録曲
- Roulette
- Can't stop believing RYUKYUDISKO REMIX
- Roulette -Instrumental-
初回盤DVD収録内容
- Roulette (Music Clip)
- HEROMAN (トレーラー映像 Roulette Version)
TETSUYA(てつや)
L'Arc-en-Cielのベーシスト兼リーダーとして1994年にメジャーデビュー。2001年7月に"TETSU69"名義のシングル「wonderful world/TIGHTROPE」をリリースし、ソロ活動をスタートさせる。その後もバンド活動と並行してソロ活動を続け、これまでに5枚のシングルと1枚のアルバムをリリース。ラルク本体のライヴやシングルのカップリングなどではパートチェンジバンドP'UNK-EN-CIELのヴォーカル兼ギタリストとしても活躍中。2009年12月にアーティスト名をそれまでの"tetsu"からラルクでの活動時には"tetsuya"に、ソロ活動時にはTETSUYAに改めた。