ナタリー PowerPush - TETSUYA

9年ぶりソロアルバム「COME ON!」に起きた数々のミラクルをTETSUYAが明かす

L'Arc-en-CielのリーダーであるTETSUYAが約9年ぶりにリリースする2ndアルバム「COME ON!」は、粒ぞろいの名曲が並んだ作品に仕上がった。ポップでキャッチーなナンバー、ロマンティックなラブソング、ハードなロックナンバーなど、実に多彩で幅が広い。聴き手にエネルギーを与えてくれる“愛と勇気と希望のアルバム”。この新作には音楽のミラクルがたっぷり詰まっている。彼はどうやってミラクルを引き寄せていったのだろうか?

文/長谷川誠

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胸を張って届けられるアルバムにしたかった

──ソロアルバムは実に9年ぶりということになりますね。

そうですね。“TETSUYA”としては1stアルバムだし。9年経っちゃいましたけど、「Suite November」を作り終えたときに、実は僕、次はこういうアルバムになるだろうって見えてました。自信もあった。まぁ9年かかってますけどね。

──長い期間をかけたからこそ、これだけ密度の濃い作品になったのではないですか?

この9年の間に、2~3枚アルバムを出しちゃってたら、TETSU69名義、もしくはtetsu名義のものがたくさん世の中に存在していたわけで。9年かかりましたけど、このアルバムは、TETSUYAに名前が変わるのを待ってたのかなって。今はそう思います。

──今回のアルバムの構想はいつごろからあったんですか?

約1年前ですね。TETSUYAという名前に変えるきっかけと同時期です……。実はこのアルバムが完成したのがつい先日の朝だったんです。その日は、僕の名前を変えるきっかけになった大切な人の命日で。偶然というか、すごく運命みたいなものを感じました。だからこそ前向きなアルバムにしたかったし、胸を張って届けられるアルバムにしたかった。

──聴く人を元気づけたり、勇気づけたりする前向きなパワーがたくさん詰まった作品だと思います。

前向きな姿勢を感じてもらえたらうれしいですね。前に向かって身を乗り出してる感じ? 例えばジェットコースターって急降下するとき、怖いとどうしても腰が引けちゃってのけ反っちゃうじゃないですか。でもそうすると余計怖いんです。逆に「ヨッシャ!」って覚悟を決めて、前につんのめっていくぐらいのほうが怖くない。注射もそう。いつ針が刺さるかビクビクしてたら、余計怖い。「早く刺して!」ぐらいに思ってたほうがいい(笑)。何でもあてはまると思うんです。怖いこととかイヤなことは、逃げたら余計怖くなるし、そういうときほど「よしっ!来い!」って気持ちで臨んでいったほうが、いっそ怖くない。

──確かにそうですね。

今の僕が「COME ON!」というモード

チャレンジをすることって不安でもあると思うんです。でも、自らそこに飛び込んでいけば、何とかなるし、新しい経験もできる。そういう意味で「COME ON!」というタイトルはぴったりで、今僕がそういうモードなんだと思います。

──「COME ON!」というタイトルはどんなきっかけから出てきたのですか?

実はこのタイトル、2010年の夏前には決めていたんです。ボ~ッとしながら、ふと“COME ON”って言葉が出てきたんですよ。なんか降りてきたような感じで。「“COME ON”か……。アルバムのタイトルにいいかも……」ってなんとなく思っていて。その直後に仕事に向かうために迎えの車に乗ったら、車のラジオからTHE BEATLESの「Please Please Me」が流れてて「♪Come on, come on Come on, come on~」というフレーズを聴いて、「あ、これは、アルバムタイトルを『COME ON!』にしろってことなんだな。そういうサインなんだな」って、そのとき決めました。

──実にバラエティに富んだ作品で、さまざまなタイプの曲が並んでいるのも特徴的です。

そこは考えて作りました。聴いてくれる人が飽きることなく楽しめるアルバムにしたかったんです。いろんなTETSUYAを1枚に収めたいなって思ってました。

──しかもどの曲も聴いた瞬間に、スッと耳に入ってきました。

リスナーの方にも、そう受け取ってもらえたらうれしいですね。僕はメロディをすごく考え抜いて作っているから。何回か聴いて、やっと“いい曲”だと思えるようなものじゃダメだと思っていて。1回聴いただけで“いい曲”だと思えるメロディを作っている自信もあるし。僕の曲って、覚えやすく、耳から離れなくて、頭の中をぐるぐる回ると思います。

ニューアルバム「COME ON!」 / 2011年1月5日発売 / 3059円(税込) / Ki/oon Records / KSCL-1717

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CD収録曲
  1. LOOKING FOR LIGHT
  2. Roulette [Album Ver.]
  3. Fantastic Wonders
  4. guilty
  5. EDEN
  6. 魔法の言葉
  7. Can't stop believing [Album Mix]
  8. In My HEART
  9. lonely girl [Album Ver.]
  10. Are you ready to ride?
  11. 流れ星
TETSUYA

L'Arc~en~Cielのベーシスト兼リーダーとして1994年にメジャーデビュー。2001年7月に“TETSU69”名義のシングル「wonderful world/TIGHTROPE」をリリースし、ソロ活動をスタートさせる。その後もバンド活動と並行してソロ活動を続け、これまでに6枚のシングルと1枚のフルアルバムをリリース。L'Arc~en~Cielのライブでは、メンバーチェンジバンドPUNK-EN-CIELのボーカル兼ギタリストとしても活躍中。2009年12月にアーティスト名をtetsuから、L'Arc~en~Cielの活動ではtetsuya、ソロ活動ではTETSUYAと改める。2010年5月にシングル「Roulette」、8月には、シングル「LOOKING FOR LIGHT」をリリース。