ナタリー PowerPush - the telephones
音楽シーンに痛烈カウンター “超ハイテンション”な新作完成
the telephonesがニューアルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」をリリースした。このアルバムは先行シングル「Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!」を含む13曲入り。彼らの今を凝縮したこのアルバムはどのようにして作られたのか。メンバー4人に話を聞いた。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 宮腰まみこ
4人で作った3次元アルバム
──「SUPER HIGH TENSION!!!」完成おめでとうございます。これまで以上に濃厚なアルバムになりましたね。
石毛輝(Vo, G, Syn) 今回は曲の作り方からリフレッシュしようっていうことになって、スタジオで集まって4人で音を出しながら作っていったんです。インディーズの頃みたいなスタイルで。
長島涼平(B, Cho) 今までは石毛さんのデモをもとに、自分たちのパートをそれぞれ演奏するっていう感じだったんですよ。でも今回は石毛さんが途中の状態の曲を持ってきて、あとはスタジオでみんなで作っていくっていう。
──作り方を変えた影響はどうでしたか?
松本誠治(Dr) 4人の“塊感”がすごく出ましたね。レコーディングもスムーズで楽しかったし。このバンド感みたいなものが、the telephonesの最新型なんだと思います。
長島 うん、今までは曲作ってる石毛さんを介してっていう感じがほとんどだったけど、いい意味でそこに頼らなくなったというか。the telephonesのベーシストとして自分がこうあるべきだっていうのもやっとわかったような気がしました。
──バンドの状態はかなり良好なようですね。
長島 やっぱり曲の作り方が変わったことが大きいのかな。全員が4分の1として曲に入ってるし、今の僕たちの形が出てる感じがします。
──そのせいか、今回はどの曲も展開や音のバリエーションが多彩です。
石毛 そうですね。その場で思いつくこともいっぱいあったし、誰かのフレーズに影響されて、次の展開こうしたら面白いんじゃない?みたいに広がっていくことも多くて。1人で考えてるときにはちょっと恥ずかしいくらいのアレンジも、他の3人だったら笑ってやってくれるかな、とか。
岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek) 4人で作れば1曲ごとに4通りのアイデアが入ってくるし、その4通りからさらに4通りの展開が生まれていくっていう。
松本 常に4択が続いていくんだよね。
石毛 あと家で1人で作るときはパソコン上の波形でアレンジするから展開が横軸で見えるんですよ。スタジオでみんなで合わせるときは、イメージ的に考え方が3次元になるかな。あと単純にみんなでやるほうが楽しいですね。だから変な曲を作るのにはこのやり方が向いてると思う(笑)。
ダークとキラキラの共存
──このアルバムは冒頭からちょっとダークな雰囲気の曲が続きますよね。聴く前は「SUPER HIGH TENSION!!!」というタイトルを見て、底抜けに明るい作風を想像していたので驚きました。
石毛 いい裏切りができたんじゃないですかね。でもどの曲もダークなだけじゃなくって、きちんと展開していくものが作れたと思うんです。「Take Me Higher」だったら、クールな曲なのに途中でいきなりノブ(岡本)が「アハーン」って言い出すとか。1つのフォーマットをそのままやるんじゃなくて、必ずどこかにthe telephonesのオリジナリティを入れていく。だから最初はダークな印象があるかもしれないけど、1曲聴き終わる頃には気分が高揚してるはずなんですよ。
──なるほど。
石毛 ほかにも、例えば「Ex-Boyfriend」っていう曲はリフ主体で進んでいくんだけど、急に世界がひらけて水着の姉ちゃんが出てくるみたいなイメージだったり。ダークな世界とポップでキラキラまぶしい世界が共存している曲というか。
岡本 自然とそっちに向かっていったよね。
シンセサイザーの音作り
──ノブさんのシンセも今回はより前面に出ているような気がします。
岡本 今回は目立つようなフレーズは少ないけど、そのぶん曲なじみがいいからスッと入ってくるのかも。
石毛 シンセの音作りはうまくなった気がしますね。それぞれの音に意味を持たせることがちゃんとできたというか。シンセサイザーってうちのメンバーは誰も通ってきてなかった楽器で、僕もこのバンド始めてからすごく勉強したんですよ。その勉強の成果が結成9年目にしてやっと出てきたのかもしれない。
──でもシンセを弾くパートが多いと、ノブさんはライブのときに忙しくなりそうですね。
石毛 ねえねえ、ちょっと質問がおかしいんじゃない?(笑)
岡本 あはは(笑)。でも意外とそうでもないですよ。ちゃんと弾きつつ、隙あらば前に行くっていうスタイルで。
石毛 まあそこは一応考えてて、1曲ずっと弾きっぱなしの曲は少ないんです。12曲目なんて一切弾いてないですからね。その代わり歌ってるんですけど(笑)。
- ニューアルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」 / 2014年6月4日発売 / ユニバーサルミュージック
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / TYCT-69019
- 通常盤初回紙ジャケット仕様 [CD] 2980円 / TYCT-69021
- ~Japan Tour 2014~ "SUPER HIGH TENSION DISCO!!!"最速先行チラシ(シリアルナンバー付)封入
- CD収録曲
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- Take Me Higher
- Hyper Jump
- Ex-Boyfriend
- I’m In Love With You
- Hot Hot Summer
- Aconite
- Space Communication
- Starship Romance
- Lucky People 2014
- 1984
- Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!! (Album Ver.)
- Fire,Fire,Fire
- Night Parade
- 初回限定盤DVD収録内容
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<One Man Disco Tour ~Keep Your Live!!!~ FINAL「野音 DE DISCO!!!」@日比谷野外大音楽堂 2013/07/21>
- Four Guys From Saitama City
- Pa Pa Pa La Pa
- Romantic Disco
- It’s Alright To Dance(Yes!!! Happy Monday!!!)
- Keep Your DISCO!!!
- Congratulations!!!
- happiness,happiness,happiness (Hibiya Yaon Special Acoustic Ver.)
<SUPER DISCO Hits!!! “nico nico”@六本木ニコファーレ 2013/12/23>
- Odoru~朝が来ても~
- Baby,Baby,Baby
- D.E.N.W.A
- A.B.C DISCO
- Monkey Discooooooo
- Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!
the telephones(テレフォンズ)
2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーは石毛輝(Vo, G, Syn, Programming)、岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)、長島涼平(B, Cho)、松本誠治(Dr)の4人。ポストパンク / ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドで各地のフェスを席巻し、2009年にEMIミュージック・ジャパンと契約。同年7月にアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」でメジャーデビューを果たした。2011年にはバンド史上最大規模となるさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブ「SUPER DISCO Hits FINAL !!! ~そして伝説へ~」を開催。その後もコンスタントに新作をリリースし、2013年7月には初となる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ、9月にはPOLYSICSと合同で初のヨーロッパツアーを敢行するなどその実力は世界でも認められつつある。2014年6月にアルバム「SUPER HIGH TENSION!!!」をリリース。