ナタリー PowerPush - 多和田えみ

ソウルミュージックの魂を受け継ぐ1stフルアルバム「SINGS」完成

身近なものへの感謝の気持ち

──そして最後は、ライブをしめくくるかのようなバラードが続きます。「CAN'T REACH」は1stミニアルバム「∞infinity∞」に収録されていた曲ですが、今回はボーカルを録り直してるんですよね。

ボーカルは録音し直して、あとリズムアレンジにもメリハリを付けてちょこっと変えています。この曲はたぶん今までのライブで一番歌ってる曲なので、それも踏まえて改めて録り直してみよう、みたいな。

──このインタビューの前に、元のバージョンと新しいものを並べて何度か聴き比べてみたんですよ。歌い方、スタイル自体は大きく変わっているわけではないんですが、声にビンテージ感が出てるというか。国産の新品ギターから、名器と呼ばれるビンテージものに取り替えたような（笑）、そのぐらいの違いを感じました。

本当ですか!? それはうれしいです！

──最後はふたたび新曲「ONE LOVE」で、この曲もまたすごく壮大なバラードですね。

この曲も（川口）大輔さんの曲で、「月のうた」と同じ時期に2曲いただいたんです。先に「月のうた」を録って、そのあと「ONE LOVE」をレコーディングしたんですけど……こっちはぜひ大輔さんに歌詞も書いてもらいたいなと思って。とても繊細でロマンチックなラブソングを書かれる人だから。それでお願いして書いていただいたんですけど、大輔さんは「えみがこれを歌ってるのを想像して、こんな言葉を言ってくれたらいいなと思いながら書いた」って言ってくださって。

──すごくピュアな歌詞ですよね。

日常的でありすごく身近なんだけど……その身近な大事なもののありがたみにふと気づかされる瞬間みたいなものをすごく感じて、とっても優しい気持ちになれるんですよね。素朴な、本当に身近なものへの感謝の気持ちっていうか。いつもはなかなか言わないけど、一緒にいられて本当に幸せだなぁって、ある瞬間にふっと思うことがありますよね？すべての日常から愛や感謝を再確認していくみたいな。

──改めて全曲の歌詞を見てみると、日本語のキレイでシンプルな言葉が多いですよね。歌詞を書くのは得意なほうですか？苦労するほうですか？

苦労しまくります（笑）。

──ギリギリまで悩むタイプ？

ギリギリまで「んんー！」って悩んでるタイプです。例えば「時の空」なんかは、大サビの歌詞をボーカルブースの中でいざ歌う寸前まで悩んだりしました。

──普段から歌詞を書き留めておいたりもするんですか？

しますね。ノートにその日その日の気持ちや思いついたことは絶対に書き留めてあって、なにげないときにパラパラって見ると、そこからいろんなシチュエーションが拡がることもあるので。

全国6都市ワンマンライブに向けて

──アルバム発売後はツアーですね。

今までワンマンライブをやったことない場所もあるのでホント楽しみですねー。仙台、名古屋、福岡は初めてで、あとは東京、大阪、沖縄。今回は6カ所を回らせていただきます。

──今年はRYUKYUDISKOのライブにゲスト参加したり、アウェイ戦というか、これまでとは違ったお客さんの前でライブをする機会も多かったと思いますが、反応はどうでしたか？

新鮮な体験でしたね。逆に私の音楽を聴いてくれている方が初めてRYUKYUさんのライブを体験して「すごく新鮮！」っておっしゃってくれたり、とにかく楽しかったです。RYUKYUさんには「Starlight Waltz」のPVにも参加させてもらって、アフロに電球埋め込んだりとか（笑）。あと、もう1曲参加させてもらった「てぃんさぐぬ花」という曲は沖縄で歌い継がれてる歌なんですけど、それをRYUKYUDISKOバージョンで歌えたのはとっても貴重な体験でした。

──入院されたことで、9月の「SOUL POWER SUMMIT 2009」に参加できなかったのは残念でしたよね。あのステージに立っていたら、これまで多和田さんの音楽に触れたことがなかった人もきっと多和田えみの魅力にハマってたんじゃないかと思うと。

あのイベントの2週間ほど前に、村上てつやさん（ゴスペラーズ）とTAKEさん（Skoop On Somebody）のユニット「武田と哲也」のライブで2曲歌わせていただいたんですけど、そのときのオーディエンスの皆さんのレスポンスを心と体で感じて「もしかしたら自分の居場所はここかもしれない」と思ったんですよね。皆さん音楽が好きでソウルが好きでセクシーなものが好きで……ある意味とってもシビアに見てるし、自分の好きなものを本当に大事にしてらっしゃる方々ばかりでした。だからこそ「SOUL POWER」に出られなかったのはホンットに悔しかったです。でもこれは天からの教えだと受け止めて、自分の健康管理に気をつけてがんばっていきたいです。

──では、ツアーに向けての意気込みをお願いします。

年も明けるし、フルアルバムもできたし、本当に新しい姿を届けられるといいなと思います。今までとちょっと違うことにもトライしたいし、もっともっとみんなで気持ちよくなれる空間を作っていけたらなと。目で見ても楽しい感じのライブにしていきたいですね。

──見た目にも？

いろいろと（笑）。みんなに楽しんでもらえるような何かしらをチェケラッチョしていきたいと思ってます。

──さっき言ったみたいに、突然バキバキのジャズを演ったりしても面白そうですよね。

そうですね。もっといろんな聴かせ方で1曲1曲をやれたらいいなと思うので、アコースティック的なものとかも混ぜてもいいかな。しっとりしたのもガッツリしたのもありつつみたいな。そういう音のギャップも、一夜のライブの中で表現できるといいなあ。

──まさに2010年の第一歩ですしね。ガチっと新しいものをぜひ。

そうですね。バッチリがんばります！

CD収録曲

Overture -theme of techesko-
Baby Come Close To Me
Naturally (The Soul Infinity Album Version)
MUSING
Only Need A Little Light
愛音色
eternity
時の空 (Album Version)
月のうた
涙ノ音
ネガイノソラ
FLOWERS
Dance To The Music / Joy To The World
INTO YOU (The Soul Infinity Album Version)
CAN’T REACH (Album Version)
ONE LOVE

初回盤DVD収録内容

ビデオクリップ全作品
インタビュー映像
ライブ映像

CD収録曲

涙ノ音
Breath
The Christmas Song
涙ノ音 (Instrumental)

多和田えみ（たわたえみ）

1984年生まれ、沖縄出身の女性シンガー。高校卒業後、カナダへの語学留学中に出会ったストリート・ジャズ・バンドで歌ったことをきっかけに、本格的に音楽を志す。帰国後に作詞作曲を開始し、2006年2月から沖縄県内のホテルやライブハウスを中心に積極的なライブ活動を展開。翌2007年にMSN/EMI ARTIST主催のオーディション決勝大会で、NYLON賞を受賞する。同年5月に沖縄限定シングル「ネガイノソラ」がリリースされ、好セールスを記録。その後もアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバム「ジョビニアーナ～愛と微笑みと花～」や、沖縄出身アーティストによるコンピ盤「琉球LOVERS ROCK」などに参加し、注目を集める。そして2008年4月、ミニアルバム「∞infinity∞」で待望のメジャーデビュー。ブルースやソウル、ジャズ、ファンクなどブラックミュージックから強く影響を受けたサウンドと、ときに激しく、ときに優しく聴き手に訴えかけるソウルフルな歌声が高く評価されている。

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