今の気分に合うアッパー曲
──では3曲目の「ジェラシーのその後で」は同じ松井×白戸コンビの楽曲ながら、前の2曲とは違う発想で作られていると。
はい。アッパーな曲が1つは欲しいなと思って、今の気分に合うアッパーな曲をコンペで依頼したんですけど、ちょっとひねった感じになっちゃったかなって。
──この「ジェラシーのその後で」や「Princess ♡ Limited」に収録された「ガラスの靴にMoonglow」みたいにディスコの要素が入ったアレンジは、アッパーと言ってもむやみと元気なわけではないテンションで、今の田村さんには合うなと思います。
わかりやすいアッパーなロックみたいな曲は今そんなにやりたくないんです。そういう曲もあったんですけど、あまり心に引っかからなくて。
──アッパーな曲を1つ入れるとして、作詞についてはほかの曲とのバランスなども含めどう考えたのでしょうか。
私の中のイメージとしては、これは松井さんに直接は言わなかったんですけど「ラムのラブソング」(1980年代のテレビアニメ「うる星やつら」の主題歌)なんです。「私の気持ち、全然伝わんない! イラーッ」「無神経マンかよ」みたいな(笑)。男女の違いだと思うんですけど、その感覚を描いたラブソングにしたかったんです。
──「そうなっちゃうんだ」とか「消えちゃうぞ」とか言葉尻はかわいいんだけど、キャピキャピとはしていないと言うか。
そのあたりはまさに松井節ですね。松井さんにはどう伝えたんだっけな……あ、これだ。恥ずかしいな。こんな感じです(スタッフから渡されたパソコンの画面を見せながら)。
──イメージだけじゃなく、具体的に書いたフレーズの例も挙げるんですね。
時と場合によりますけど、だいたいよくわかんないポエムみたいなものをグッと押し付けます(笑)。そこに注釈を入れたり入れなかったりです。
ライブを意識せず挑戦した「SUKI KIRAI」
──4曲目の「SUKI KIRAI」は唯一松井×白戸コンビではなく、WABISABIさんが作詞、作曲、編曲をすべて手がけています。前作「恋は天使のチャイムから」のカップリング曲「Sweet Trap」、そしてこの曲と、ひんやりとした質感のエレクトロミュージックが続いてますね。
もともと好きな曲調ではあるんですけど、単純に今まで歌う機会がなかったんです。
──ほか3曲とのバランスを考えたうえで、4曲目にはこの曲調を?
いえ、あまり考えずに「なんかいい曲ないですかね」って(笑)。カップリングには意図していなかった曲が入ることが多々あって。今回はもう1曲別の方向で考えていた曲があったんですけど、単純にこれが歌いたかったからこっちを選びました。
──ボーカルがノンエコーで、ヘッドフォンで聴いていると耳に迫ってくるような処理になっていて、すごく新鮮でいいなと思いました。
そうですね。私も気に入っています。
──この路線がもう少し増えてくると、バリエーションの幅がさらに広がりそうですね。
ライブでは盛り上がりにくいかもしれないですけど(笑)、ライブのことばかり考えても狭くなっちゃうかなって。
無駄にいっぱい楽屋を作ろうと思います
──今歌いたい曲を増やすという目的があって4曲入りのシングルにしているというお話がありましたけど、それはつまり今後の音楽活動も見据えたもの、ということですよね。ただ、同時に「もう辞めてもいい」という気持ちも抱えていると。
はい。もちろん「曲が増えてきたらツアーもやりたいな」とか考えるけど、ツアーをやっておしまい、という可能性もあります(笑)。やりたくないことを無理やりやってもいい結果は出ないと思うんです。お客さんにもそれは伝わっちゃうし。すごくわがままなことを言ってるって自分でもわかってますけど、そこまでしっかりやるのは年齢的にももういいかなって(笑)。私、自分から「こういうことをやりたい」ってないんですよ、基本的に。「誕生日にイベントやりたいなあ」とか漠然としたものでしかなくて。
──完全に活動を止めてしまうのは寂しいしもったいないなと思うし、一時期は本当に止まってしまうのかなと思っていたので、今こうして新作が届けられているだけでもよかったなあと思います。
出た! お母さん目線(笑)。
──シングル発売後の予定としては、10月6、7日の「ゆかりっく Fes '18 in Japan」が決定していますが……これはいったいどんなフェスなんでしょうか?
見たまんまです。なんだろう、わかんない。わかんないです。わからないです!(笑)
──田村さんのほか、神楽坂ゆかさん、120600mAh -Metal Ampere Hour-、風の香りと太陽といったアーティストの参加が予定されています。神楽坂さんは過去のライブでもおなじみですけど、ほかのアーティストはどんな感じなんでしょうか。
120600mAh -Metal Ampere Hour-は見ての通りメタルの方ですね。風の香りと太陽はフォークです、フォーク。
──出演アーティストの写真を見ると、似た顔の人が並んでますけど……しかもタイムスケジュールを確認したら各日6時間あって、お客さんはともかく田村さんは大丈夫なのかなと。
いや、フェスなんでめちゃめちゃ休憩挟みますよ! とは言え、きっとあまり休憩にならないので……大変ですね。ちょうど昨日打ち合せをしていて「出演者いっぱいいるけど、楽屋1つでよくない?」って話になって(笑)。でも大部屋でアーティストさんたちが喧嘩になると困るので、無駄にいっぱい楽屋を作ろうと思います。
- 田村ゆかり「永遠のひとつ」
- 2018年8月15日発売 / Cana aria
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初回限定盤 [CD+DVD]
2160円 / CNRA-0004 -
通常盤 [CD]
1512円 / CNRA-0005
- CD収録曲
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- 永遠のひとつ
- Closing tears
- ジェラシーのその後で
- SUKI KIRAI
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 永遠のひとつ MusicClip
- MusicClip メイキング映像
- 公演情報
ゆかりっく Fes '18 in Japan -
- 2018年10月6日(土) 千葉県 幕張メッセ国際展示場1~3ホール
- 2018年10月7日(日) 千葉県 幕張メッセ国際展示場1~3ホール
出演者 田村ゆかり / 神楽坂ゆか / 120600mAh -Metal Ampere Hour- / 風の香りと太陽 / スイミィスイミィ / Charlotta Mueller / 田村ゆかり(Voice Actress) / Don't MOVE / and more
- 田村ゆかり(タムラユカリ)
- 2月27日生まれ、福岡出身の声優アーティスト。1997年にCDデビューを果たし、声優および歌手としての活動を始める。いずれも精力的な活動で着実に評価を集め、2008年には声優として3人目となる日本武道館公演を行った。2016年8月にアミュレートへと移籍し、2017年には5pb.Records内の新レーベルとしてCana ariaを設立。同年9月には神奈川・横浜アリーナで2年3カ月ぶりのワンマンライブ「20th Anniversary 田村ゆかり LOVE ♡ LIVE2017 *Crescendo ♡ Carol*」を行い、11月にはCana ariaレーベル第1弾作品となるミニアルバム「Princess ♡ Limited」を発表した。2018年2月にはレーベル第1弾シングル「恋は天使のチャイムから」、続いて8月に第2弾シングル「永遠のひとつ」をリリース。10月には千葉・幕張メッセ国際展示場1~3ホールでの2DAYSイベント「ゆかりっく Fes '18 in Japan」に参加する。