寒い車内で作ったハイテンションな「しゅるる」

──カップリングとして収録されている「しゅるる」は、聴き手のテンションをぶち上げるアッパーな仕上がりですね。

平成のまお　「僕と魚の物語」とは別な方向で、この曲もだいぶ攻めてますよね（笑）。

Takumi　僕はわりと全体的なバランスを細かく取りながら曲を作ることが多かったんですけど、この曲はもう何も考えずにガツンと思い切り激しさを出してみたんですよ。そういう意味でSwimyの中では、かなり極端な位置にある曲だと思います。僕自身はテンションがいきなり上がるようなタイプではないんですけど、人生の中には無理やりにでもテンションを上げなきゃいけない勝負の瞬間っていろいろあるじゃないですか。だからそういうときに聴いてもらえる曲になればなと。

──これだけ高揚感のある曲を作っているときのTakumiさんのテンションはどんな感じだったんでしょうね？

タイキロイド　タシカニソレハキニナリマスヨネ。

Takumi　この曲のデモは一昨年の2月くらいに作ったんですけど、当時はけっこう音漏れするマンションに住んでいたから仮歌を車の中で録ったんですよ。めちゃくちゃ寒い車内でダウンを着込んでマイク片手に「わーお！ わーお！ わー！」って1人で叫ぶっていう（笑）。だから自分のテンション自体は高くなかったんですけど、体が寒さに対しての防衛反応を示して熱を発したんでしょうね。その結果、鬼気迫るような非常に熱い曲に仕上がったんだと思います。

平成のまお　歌詞には「命燃やせ」ってフレーズもあるけど、まさにそういう状況やったんや（笑）。

Takumi　歌詞も寒い車内で書いたからね。もしこの曲のデモを温かい部屋で作ってたとしたら、もっとぬるい仕上がりになったと思いますね（笑）。

──演奏もかなり激しいですよね。

Takumi　今回は音がみんなバッキバキですからね。

タイキロイド　ギターハイチバンオトガヒズムチャンネルヲツカイマシタ。

平成のまお　すごく楽しかったですよ。ここまで攻めた曲って今までなかったから、自分たちのテンションもアゲアゲな状態でレコーディングできました。

タイキロイド　シカモコンカイハ、ハツノソロマワシモアリマスカラ。

平成のまお　ソロ回しは今まで避けてきた道やからな。バンドとしてステージに立ってるのに自分に注目されるのは苦手な人たちの集まりなので（笑）。でも今回はその殻を破ろうと。

Takumi　ライブでのソロ回しって、お客さんのテンションも上がるポイントだと思うんですよ。だからせっかくテンションを上げるような曲にするんやったら、そういう要素も入れるべきじゃないのかなって。ついに解禁しちゃいましたね（笑）。

マグロの解体ショーの横でライブ？

──もう1曲の「天使と悪魔の歌」はインディーズ時代に作られた曲だそうですね。

Takumi　はい。作ったのはかなり前なんですけど、これは男女混声ボーカルという自分たちの強みを意識し出した原点とも言える曲なので非常に大事にしてきたんです。一時期はみっけが加入してトリプルボーカルになりましたけど、今回奇しくも男女ツインに戻ったこともあったので、じゃあ今のタイミングで音源化するのもいいんじゃないかなと思ったんですよね。

平成のまお　男女のボーカルが細かく掛け合いしていくので、歌っていてもすごく楽しいんですよね。

──歌詞はどんなイメージで書かれたものなんですか？

Takumi　僕はタイムループを何度も繰り返す「バタフライ・エフェクト」という映画がすごく好きなんですけど、この曲ではそこから想起された自分なりの物語を曲に落とし込みたいなと思ったんですよね。どこか情緒のある曲にもしたかったので、サビでは自分が今までに好きになった人や片思いした人のことをイメージしていったところ、そのつかみどころのない感じが“ひらひら”“ゆらゆら”みたいな擬音になったっていう。いろんな受け取り方ができる歌詞だと思うので、聴いてくださる方ごとに、自由に楽しんでもらえればうれしいですね。

──本作のリリース後、3月23日には渋谷eggmanでワンマンライブも開催されます。そこへの意気込みと今年の展望に関して最後に聞かせてください。

Takumi　ワンマン自体すごくひさしぶりなので楽しみですね。3人になったことでライブのスタイルもいろいろ融通が利くようにもなっているので、ちょっと身軽になった今の僕らならではのステージをお見せできればなと思っています。

タイキロイド　「ミンナノウタ」ヲキッカケニ、チッチャイコカラオトシヨリマデ、ハバヒロイヒトタチニアソビニキテホシイデス。

平成のまお　ライブに関しては、ライブハウスだけにこだわらず、いろんなところでやっていきたいなっていう気持ちにもなっていて。音楽に関しても、ライブに関しても枠にとらわれない活動をしていきたいと思います。魚市場でライブやってもいいわけですもんね（笑）。

Takumi　「僕は優雅に泳ぐマグロになったー」って歌ってる横でマグロの解体ショーやってるみたいな（笑）。

タイキロイド　ザンシン！

平成のまお　いろんなことにどんどんチャレンジしていって、「Swimyを追いかけてるとワクワクすることがたくさんあるよね」って思ってもらえる存在になっていきたいですね。