9人の意識統一ができたコレオ
──振付に関しても聞かせてください。「Concealer」のコレオの制作はどのように?
志村 今回、コレオのオーダーを出したのもジャンなんですよ。
ジャン 基本、曲のコンセプションを担当する人がコレオのオーダーもしているからね。コレオをオーダーする際に僕からお願いしたのは女性っぽい色気や誘惑の要素を入れてもらうことだったんですが、あからさまな色気というよりも、醸し出されるような色気を見せたいということを振付師さんにお伝えしました。あとはフォーメーションが次々と変化していくように、といったことをお願いしたんですけど、実際完成してみてダンサーのみんながどう思ったのか、僕は気になりますね!
伊藤 あはははは!
松村 どういうキャッチボール?(笑)
──それはぜひ聞かせていただきたいです(笑)。
ジャン ぜひ! お願いします!
志村 仮面を外してまた着ける、みたいな動きがあったりして、そういう細かい振りに「歌詞の世界観を膨らませて作ってくださったんだな」と感じました。1つ嘘をつくと、もう1つ嘘を重ねなきゃいけない。そこからまた嘘を塗り重ねて……みたいな情景がダンスでも表現できているのが、自分的に「めちゃくちゃいいな」と思っているポイントです。今回振付してくれたのがRyusei haradaくんなんですけど、RyuseiくんはポップとかR&Bを得意とされてる方で。「Concealer」ではR&Bの要素を前面に押し出してくれて、かつポップの要素も組み込まれているのが楽曲の世界観にマッチしているんですよ。
柴崎 曲の入りがカノンで、バーッと流れるように始まったと思ったら急に動きがストップしたり。すごく緩急がありますし、サビに関しては振り数がすごく多いわけじゃなく、体を丁寧に使って1つひとつの音をたっぷりと取るコレオになっています。振り入れの段階でRyuseiくんが「そうやって丁寧に踊るのがこの曲の見せ方」とアドバイスをくれたので、パフォーマンスに対する9人の意識統一がちゃんとできていると思います。だから全体の見栄え的には統一感があると思うんですけど、細かなニュアンスはメンバーそれぞれに違うから、1人ひとりの動きと9人の一体感、どちらにも注目して観てもらえたらうれしいです。
本当にグループ名変えなくてよかった
──すでに公開されているMVでは、木村太一監督とタッグを組まれています。木村監督と仕事をするのは初かと思いますが、これはどのような経緯で?
ジャン 楽曲制作を進める中で、MVはリップシンクを多用したりめちゃくちゃ踊ったりするものじゃなく、シネマティックにしたいなという気持ちが漠然とあったんです。あと、ありきたりでどこか見覚えのあるようなボーイズグループのMVとは一線を画すものにしたかった。そうやって考える中で、木村さんがボーイズグループのMVを撮ってるイメージってないよな、と。楽曲もMVも、ほかとは被らない世界観のままで行き切りたい……正直ダメ元くらいの勢いでお願いしたんです。そうしたら木村さんは「やりましょう」と受けてくださって。結果、映像の世界観を含め僕が求めていたものになったので、もう最高だなと。
──撮影はいかがでしたか?
古川 全編スタジオでの撮影だったんですが、セットがめちゃくちゃにカッコよくて。テンション上がりましたね。
飯島 基本、大きな円卓を囲んでの撮影で、ダンサー陣はテーブルの上に立って、メンバーにすごい見られながらソロダンスを踊るという場面もあって。それはすごく新鮮でしたね(笑)。見上げれば作品の世界観を象徴したような地球のオブジェがあるのも印象的でした。モノトーンの色調含め、撮りながら完成が楽しみになるような、すごくいい撮影だったよね。
伊藤 テーブルの上で踊るのは不思議な感覚でしたね。メンバーに全方位囲まれるのもなかなかない環境ですから(笑)、すごく新鮮でした。
──ダイナミックなズームイン / ズームアウトのカメラワークも印象的でした。
松村 カメラ、めっちゃ怖かったっす。僕の真横を原付くらいの速さで通っていくんですよ。
池田 原付(笑)。
志村 そんな速いか!?
柴崎 クレーンを水平にして動かしてる感じで。
古川 ちなみに、撮影当日に木村さんに「なんで引き受けてくださったんですか?」と聞いてみたんですよ。そうしたら木村さん「普段、ボーイズグループの仕事ってホントやらなくて。けどSUPER★DRAGONっていうグループ名を見て『SUPER★DRAGONと仕事した』って言いたいから受けた」と。もう、それ聞いて最高じゃん!って。本当にグループ名を変えなくてよかったと思いましたね。
ジャン 木村さん、「★」込みで気に入ってくれたんですよ。マジで何も変えなくてよかった。
一同 あはははは!
悪ガキっぽさを前面に
──シングルの2曲目「Jungle Gym Kings」はジャンさん、彪馬さんがコンセプト設定から制作に携わった楽曲です。
池田 カップリング曲をどうするかという話の中で「アッパーで強いサウンドの曲が欲しいね」という話になって。今回作曲とアレンジに入ってもらったMONJOE(DATS)さんは前々からご一緒したいと思っていた方で、この機会にオファーさせてもらったところ、引き受けてくださいました。攻撃力があって、サウンドに癖があって、最初のセッションの段階で「これはめっちゃいい感じになる」という手応えがあったよね。
ジャン 3人でアイデアを出しながら、イメージしていた世界観にマッチするものができた感覚がありますね。いい意味で無難に、いろんなシチュエーションでパフォーマンスしやすい楽曲になったかなと。
池田 そこからはジャンくんと、ジャンくんの友達でもあるCyprusくんがメロディを付けてくれて。
ジャン 今回の曲に関してはトップライナーを僕だけじゃなく、ほかの誰かにもやってもらいたいなと思って。そう考えたとき、商業的なマインドで曲作りをする人よりも、好きに音楽を楽しんでいたり、自分なりの世界観に浸っている人が僕のイメージする楽曲にマッチするなと考えたんです。さっき彪馬がジャンくんの友達と言ってくれましたけど、Cyprusがまさにそういう人なんですよ。商業的な見せ方に関してまったく考えないわけじゃないけど、それは作品を作る過程でアイデアの1つとして出てくるくらいが僕的にはベストで。最初からマスのウケを狙うこと前提で曲を作ることは、僕らにとっては必要ないなと思っているんです。そういった要素を含め、Cyprusがすごくいいエッセンス、いいメロディを提案してくれたので、制作がしやすかったです。
池田 僕は最初に楽曲の大きなテーマとして「子供」とか「悪ガキ」みたいなイメージを持っていて。それをジャンくんが細分化して詰めていってくれました。結果、僕らの普段の姿や楽屋での過ごし方、いつまでも子供っぽくギャーギャーはしゃいでいるような姿とすごくマッチした曲になったと思うし、そういう悪ガキっぽさが前面に表れたと思います。
ジャン 彪馬からそういうテーマをもらったから、自分の幼少期を思い返してみたんですよ。校庭で遊んでいるときに一番“King”なのってどんなやつだっただろう?と考えたとき……ジャングルジムのてっぺんに立ち、みんなを見下ろし「お前ら、遊ぶぞ!」と言ってる、大将みたいな子供の姿が思い浮かんだんですよね。「Jungle Gym Kings」というワードもキャッチーなので、この言葉を曲のタイトルに据えて歌詞を作っていきました。
──そこに和哉さんがラップ詞を加えていったと。
松村 僕のもとにはラップパートだけ穴あきの状態の歌詞が届くんですけど、その段階でジャンくんの世界観がすでに固まってることが多いんで、自分はそこにスパドラらしさを足していくような感覚でした。自分が思う「スパドラらしさ」って、ポップスでフィクションだけど写実的な部分がある、みたいなことで。自分のラップにはそういうアティチュードを……メタファーとして書くんじゃなく、まっすぐにアティチュードを書くことが必要かなと思って、詞を付け足していった感覚ですね。
スパドラのJungle Gym King
飯島 「Jungle Gym Kings」は、まずタイトルを聞いたときからアガりました。「ジャングルジムじゃん!」と思って。
ジャン そんなにジャングルジム好きだったっけ?(笑)
飯島 昔、僕は“Jungle Gym King”だったんで。
志村 カッコよ!
飯島 結成から10年が経っても変わらない僕らの子供っぽさ。いい意味で、それはスパドラっぽさでもあると思うんですけど、そういうところが楽曲のテーマとして取り上げられているのがいいなと思いました。なおかつサウンドはゴリゴリで、ライブで踊ったらアドレナリンが大変なことになりそう。ライブのアクセントになる曲だと思うので、振付を想像しながら今後の楽しみが広がりましたね。
──ちなみに、颯さん以外でJungle Gym Kingだったよという方はいますか?
松村 彪馬でしょ。
古川 彪馬と和哉だな。
松村 壮吾もね。
伊藤 俺? 一番ないでしょ(笑)。
──彪馬さん、名前が挙がりましたが……。
池田 いや~、僕は全然。坊主に金髪で頭にライン入ってたくらいです。
一同 あはははは!
伊藤 ヤバいヤバい。
飯島 “大Jungle Gym King”じゃん!(笑)
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