SUPER★DRAGON「INFINITY TAPE」インタビュー|“8周年記念作”にあふれるミクスチャーユニットのプライド (3/4)

引き算することなく持ち味をちゃんと出せている

──ライブで披露された曲順に新ユニット曲のことを伺えたらと思うのですが、まずは彪馬さんと和哉さんによる「Do it」。2人で歌い踊るという形に挑戦してみていかがでしたか?

和哉 めっちゃ疲れるっすね……。

彪馬 間違いない(笑)。

和哉 それは半分冗談ですけど(笑)、振付も僕と彪馬とコレオグラファーの方、3人で考えたんです。1から100まで、僕と彪馬のエッセンスが詰め込まれた曲になったかなと思います。

彪馬 音周りに関しては僕が担当してリファレンス出しやアイデア提案をさせてもらって、歌詞のテーマや細かい内容は和哉が詰めてくれました。この2人でユニットをやると決まった段階から、ゴリゴリに踊るし煽るし盛り上がる曲をやろうということは決めていたので。そういった意味でお互いのビジョンがほとんどズレることなく、スムーズに制作が進んだと思います。なんか、お互い自分らしさを引き算することなく持ち味をちゃんと出せているんですよね。昔の“子供の自分”じゃ表現できなかった自分らしさが、今ちゃんと胸を張って出せている感覚と言いますか。

和哉 歌詞に関して言うと、めっちゃラップする曲だったので、僕の好きなヒップホップのボースティング的な要素を入れつつ……力強いメッセージを入れ込みたいなと思っていたんです。なので「言い訳してないでとっととやれ、ごちゃごちゃ言ってんじゃねえぞ」という感じに歌っていますね。

池田彪馬と松村和哉。

池田彪馬と松村和哉。

──実際、ステージで披露してみたときの感覚は?

和哉 あまり決め事を作らずとも、いい感じに息が合った感じがしましたね。

彪馬 そうだね。

──2人のパフォーマンスを見たメンバー的には?

玲於 横から見ていたんですが「楽しそうー!」って(笑)。めちゃくちゃ生き生きしてました。普段から「こういう感じのダンスをやりたい」と2人が話していたものが存分に出てたんで。やりたいことを思い切りやれるスパドラって、やっぱめっちゃいいなあと思いながら。

ジャン マジで楽しそうだったよね。僕は出番が2人の次だったんで、ステージの上手の階段でスタンバイしてるんですけど、和哉が曲中にその階段を降りていくんですよ。毎回目が合ってニヤッとするから、楽しんでんなあって。

和哉 「この人、いつもいるなあ」と思いながらね(笑)。

ジャン お互いのバランスを考えて制御するとかじゃなく、100で出し切ってる同士がぶつかって、200%のパワーが生まれるみたいな。そんな素晴らしいものだったと思います。

彪馬 おおー、うれしい。ありがとうございます。

池田彪馬と松村和哉。

池田彪馬と松村和哉。

この3人だから生まれる表現があるはず

──「Do it」に続いて披露されたのが毅さん、ジャンさん、洸希さんによる「maybe it's you」でした。

 実は、この組み合わせに落ち着くまでけっこういろんな案が出たんです。俺と和哉でやるのはどうかとか……いろんな意見が出たんですけど、ジャンと洸希と俺でストレートなバラードを届ける形に面白さがあるんじゃないかと。普段、彪馬と俺で歌っているときの空気感とはちょっと違うものが完成したらいいなと思って、組み合わせが決まってからは3人の好きなR&Bやローファイヒップホップの要素を取り入れた王道バラードを作りたいです、と提案させてもらいました。曲選びも相当悩みましたね。

“エア洸希”の肩に手を置く古川毅とジャン海渡。

“エア洸希”の肩に手を置く古川毅とジャン海渡。

──歌詞のこだわりについては?

 歌詞に関しては「失恋」をテーマの1つとして据えました。今回はリリックも作家さんにお任せしたので、いろんな表現をじっくりと見て僕たちの思いに一番フィットするもの、聴く人の心により届くものを選んでいった感じですね。

──最近の楽曲ではジャンさんがラップではなくメロパートを担う機会が増えていて、これまでのスパドラの表現になかったアクセントを加えているのが印象的ですよね。

 そうなんですよね。洸希もそうだけど、ジャンもメロを歌うことが僕らの中で珍しいことではなくなってきて。だからこそ、こういうストレートに届けるバラードも、なんの違和感もなくできたんだろうなと。この3人だから生まれる表現があるはずだという、自分の中の確信はずっとありましたね。

ジャン ミディアムバラードをしっかり歌い上げる、という経験が今までになかったので。実際ステージで披露したときは、ピンスポットが当たるような演出の中に自分がいること自体が新鮮でしたね。普段ラップをするときとは真逆の空気感なんですよ。なので、表情や立ち方の雰囲気作りも今までとは違うアプローチを取ることを意識していました。

古川毅とジャン海渡。

古川毅とジャン海渡。

「どう浅くしていくか」を深く考える

──そして、これはついにと言いますか。ツアーではダンサー組の初のユニット曲「SAWAGE!!!!」が披露されて。

ジャン 来ました。

 大本命です。

ジャン この曲は彪馬、毅、和哉、ジャンの4人で何回もグループ通話で会議をして、イチから練り上げていった曲ですね。もちろんダンサー陣とも話し合いつつ「かわいいコンセプトで攻めるか?」とかいろんな可能性を探ったんですけど、最終的に盛り上げ曲にしようと。ダンサー陣だけでガツンと、熱狂のギアを上げる曲にしようと決めて。

 そこからは、ジャンと和哉がガッツリ、イチから曲を作り上げてくれました。

和哉 ジャンくんの家で作りましたね。締切2日前とかに「やべ、俺たち歌詞1行も書いてなくね?」となって(笑)、そこから一気に歌詞を書き上げました。

ジャン 意外とすぐできたよね。仕上がりは早かった。僕のオススメのラーメン屋に行ったんですけど、ラーメン食べてる時間のほうが長かったです。

玲於 いやいやいや!

玲於 待て待て。え、そうなの?(笑)

ジャン それは流石に冗談だけど、でも悪い意味じゃなくてさ。なんというか、内容をコンセプチュアルにしよう、深くしていこうという曲ではないじゃない?

和哉 むしろ、どう浅くしていくか?っていう……。

ジャン そうそう(笑)。「どう浅くしていくか」を深く考えるっていうね。

 でもホント、それは言い得てるかも。

愛されてるなって思いました。イジり方が秀逸なんですよ

玲於 2人が曲を作るとき、前もってダンサー陣にアンケートを取ってくれたんですよ。

壮吾 「歌詞にどんな言葉を入れてほしい?」と。

和哉 壮吾にLINEして「入れてほしい歌詞ある?」と聞いたんです。彼、「そうとくん」っていうオリジナルキャラクターを持っているんですけど、ひと言だけ「そうとくん」って返信が来てて、「ナメとんのか? コイツ」と……。

一同 あはははは!

左から飯島颯、伊藤壮吾、柴崎楽、志村玲於。

左から飯島颯、伊藤壮吾、柴崎楽、志村玲於。

和哉 そう思ったんですけど、しょうがねえからやってやるよと。

 その「そうとくん」でめっちゃ韻踏んでますからね(笑)。

ジャン 普通リリックを書くときって、意味合いも重ねたうえで韻を踏むじゃないですか。今回、意味はどーでもいいからどんどん踏んでいこう!と(笑)。

玲於 いやでも、愛されてるなって思いました。イジり方が秀逸なんですよ。俺のことイジり倒してるやんけ!って、もらった歌詞を読んですぐにわかったので……。

 「半生、反省」はヤバいよね(笑)。

玲於 でも自分のことをよく表してるなと思うし、BLUEが見たときに絶対ひと笑い起きるだろうなと思って、ワクワクしました。

 自分のヴァースに関しては、もともと僕に対する“貴族イジり”みたいなものがメンバー間でありまして……。

 イジりではなく、事実なんだけどね。

和哉 ガチの貴族なので。

 僕のパートはジャンが書いてくれたんですけど、これはジャンにしか書けないよなって。僕が結成当初から自己紹介のときに使ってる「つまみ出すぞ!」というワードもちゃんと入れてくれたり。

 僕は、制作段階でジャンくんから電話をもらいました。急に「得意料理は何?」って聞かれて、「えっと……オムライス」と答えたら、その瞬間切られたんですよ。

一同 あはははは!

 曲を作ってることも教えてくれないんです。ただ得意料理を聞かれて、答えたら切られた。のちのちこの曲をもらったときに「なるほど、そういうことか」となりましたね(笑)。でも4人それぞれのよさがちゃんと描かれているから、歌っていて楽しいです。