SUPER BEAVER|人と出会い、つながってきた軌跡

“今”をパッケージした「東京流星群」

──カップリングには「東京流星群」の再録音源が収録されています。2013年発売のミニアルバム「世界が目を覚ますのなら」に収録されているこの曲をもう一度レコーディングしたのはどうしてなんですか?

柳沢 単純に“東京”つながりもあるんですが、もともとは3月にリリースしたミュージックビデオ集(「SUPER BEAVER 15th Anniversary 音楽映像作品集 ~ビバコレ!!~」)がきっかけだったんです。これまでのMVを入れるだけではなくて、新たに撮り下ろしたMVも収録しようということになって、候補に挙がったのが「東京流星群」だった。8年前の楽曲だし、オケを録り直そうかと話してたら、渋谷が「歌も全部レコーディングしたい」と言い出して。レコーディングしてみたらめちゃくちゃよかったので、今回のシングルにも入れることになりました。

──アレンジはほとんど変えてないですよね?

柳沢 全然変えてないですね(笑)。

渋谷 ただ、どの曲もそうなんですけど、初めてステージで歌ったときとはまったく感覚が違いますからね。何回もライブでやっているし、この曲を歌ってるときのフロアの様子を見続けるなかで、曲が持つ意味合いも変わってきて。構成やアレンジはほとんど同じですけど、内容はまったく違うというのかな。それがバンドを続けることの面白さだし、醍醐味でもあると思うんです。でも、こういう場合、正直「オリジナルのほうがいい」と言われることも多いじゃないですか(笑)。「やるからには原曲を超えたい」というプレッシャーもあったんですけど、当時の音源よりは絶対によくなってると自分たちでは思ってます。

上杉研太(B)

上杉 再構築するというより、ステージでやり続けたことも踏まえて、“今”をパッケージしたという感じですね。アレンジは変わってないけど、使ってる楽器や音は違うし、演奏する人間の年齢も上がっていて。いろんな経験を経たからこそ生まれる変化を感じてもらえたらなと思うし、「東京流星群」という生き物が年を取ったという感覚もあります。それも17年続けてきたからこそ経験できることなのかなと。

藤原 まさかこのタイミングでもう一度レコーディングするとは思ってなかったですけどね(笑)。ライブで演奏し続ける中で、ちょっとしたプレイのニュアンスや音色も染みついていて。ドラムでいうと「ここは少しテンポを上げる」「ここは下げる」みたいな正解が自分の中にあって、それをそのままやれば、いいものになるだろうなと思っていました。8年前は技術的にできなかったこともあるんですよ。前回はクリック(一定のテンポを保つためのガイド音)を聴かず、「せーの」で合わせるという極端なレコーディングのやり方だったんです。今回はクリックを聴いて、楽器を1つずつ録ったんですが、抑揚も勢いもしっかり出てるんですよね。楽曲と向き合って、練習して、ステージでやり続けた成果かなと。

──クリックなしでレコーディングしたからといって、ライブ感が出るわけではないんですね。

渋谷 それも1つの方法なんですけどね。クリックを使って、オンテンポできちんと演奏しても、滲み出るものがあるというか。

柳沢 テンポ自体はほとんど同じなのに、原曲のほうが遅く感じるんですよ。今回のテイクのほうが前に転がってる感じが出てるし、自分たちでも面白いなと思います。

──同じアレンジだからこそバンドの変化や成長が実感できる、と。この曲が最初に世に出た2013年はSUPER BEAVERにとって、どんな時期だったんですか? 自主レーベルを立ち上げて、かなり大変だったとは思いますが。

柳沢 体力的にはきつかったけど、精神的には……。

上杉 楽しかったですね。やっとみんなで楽しく音楽をやれる、というか。バイトに時間を取られることが霞むくらいポジティブだったし、向上心もありましたね。

柳沢 2009年、2010年あたりのほうがきつかったと思います。

──メジャーレーベルに所属していた頃ですね。

柳沢 はい。2012年、13年頃は“貧乏暇なし”でしたけど(笑)、バンドをやるのが楽しくて。一方で嫉妬や「どうして俺たちはこんなところで……」という焦りもありつつ、それは健全な悔しがり方だったのかなと。

──健全な悔しがり方、いいですね。それが前に進む原動力になるだろうし。

柳沢 そうですね。今もそうですけど、環境によっては、理不尽な悔しさが増えることもあると思うので。

自分たちで決めて、責任を取れる場所

──7月からはライブハウスツアーの追加公演、そして10月からはアリーナツアーが開催されます。アリーナツアーはSUPER BEAVER史上最大キャパシティですし、バンドにとっては大きなチャレンジなのでは?

渋谷 いや、それはあまり意識してないですね。

──ステージでやることは同じだと?

渋谷 そうですね。ただ、「やることが同じ」というのは一番のプレッシャーでもあるんですよ。もっといいライブを見せたいし、来てくれる人たちにもっと楽しんでもらえるにはどうしたらいいかを考え続けているので。アリーナだからといって、ギアを入れ直すみたいなことはないです。普段やってることの地続きというか。

上杉 普段の活動の先にアリーナがあるという感じですね。ホールツアー、ライブハウスツアー、夏フェスがあって、スッとアリーナツアーに入っていけたら最高だなと。すべての公演を無事に開催できることを願いながら、なんとか達成したいと思ってます。

藤原 1本1本の繰り返しだし、よりよい表現を追求する過程の中にアリーナツアーがあるという感じになったら、一番いいですよね。

柳沢亮太(G)

──皆さんめちゃくちゃ地に足が着いてますね。

渋谷 そうですね(笑)。

柳沢 スケジュールを見ていて思ったんですけど、7月から11月まで、自主公演が毎月あるのはすごくいいことだなと。すべてやれるかどうかは別にして、自分たちで決めて、責任を取れる場所があるというのは、バンドマンとしてすごく健全だし、筋は通せていると思います。ここからライブを重ねることで気付くこともあるだろうし、なおさら曲を作らないといけないですね。そこで生まれた新しい表現を持って、また全国各地を回って……結局、やることは一緒なんですよね。

渋谷 まだ手探りだし、この状況において自分たちの動き方が正しいかどうか、現時点ではわからない。でも、やらないとわからなかった感動を味わえているのも確かで。自信を持って進んでいきたいですね、これからも。

ツアー情報

SUPER BEAVER 都会のラクダSP 行脚 ~ラクダフロムライブハウス~ 追加公演
  • 2021年7月14日(水)高知県 CARAVAN SARY
  • 2021年7月15日(木)愛媛県 WStudioRED
  • 2021年7月21日(水)秋田県 Club SWINDLE
  • 2021年7月22日(木・祝)青森県 青森Quarter
  • 2021年7月30日(金)富山県 MAIRO
  • 2021年8月1日(日)岐阜県 岐阜club-G
  • 2021年8月24日(火)佐賀県 SAGA GEILS
  • 2021年9月3日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2021年9月8日(水)東京都 LIQUIDROOM
  • 2021年9月10日(金)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
  • 2021年9月22日(水)山口県 周南RISING HALL
  • 2021年9月23日(木・祝)京都府 KYOTO MUSE
  • 2021年11月17日(水)北海道 PLANT
  • 2021年11月18日(木)北海道 Zepp Sapporo
  • 2021年11月24日(水)東京都 Zepp Tokyo
  • 2021年11月29日(月)新潟県 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2021年11月30日(火)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2021年12月6日(月)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2021年12月7日(火)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2022年1月10日(月・祝)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2022年1月11日(火)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2022年1月14日(金)香川県 高松festhalle
  • 2022年1月15日(土)香川県 高松festhalle
SUPER BEAVER 都会のラクダSP ~愛の大砲、二夜連続~
  • 2021年10月9日(土)愛知県 日本ガイシホール
  • 2021年10月10日(日)愛知県 日本ガイシホール
  • 2021年10月20日(水)大阪府 大阪城ホール
  • 2021年10月21日(木)大阪府 大阪城ホール
  • 2021年11月6日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2021年11月7日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
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