STU48が7月31日に3rdシングル「大好きな人」をリリースした。
STU48にとって3枚目のシングルとなる本作の表題曲は、背中を押しながら“大好きな人”を見送る力強いメッセージソング。4月に待望のオープンを迎えた船上劇場「STU48号」で撮影されたミュージックビデオでは、メンバーが切ない表情と共に瀬戸内の波をイメージしたダンスを披露している。
音楽ナタリーでは石田千穂、今村美月、瀧野由美子、福田朱里の4人のメンバーにインタビューを行い、シングルや船上劇場に対する思いを聞いた。また特集の後半には、カップリング曲を歌っている5つの“課外活動ユニット”の代表メンバーによるメッセージを掲載する。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 佐々木康太
やっとスタートを切れた
──平成30年7月豪雨の被害状況などを受け、昨年夏よりオープンが延期されていた船上劇場「STU48号」が今年4月についに就航しました(参照:STU48、ついに船上劇場オープン!待望の初日公演迎え「本当の意味でスタートラインに」)。その心境を改めて聞かせてください。
福田朱里 延期されていた間は瀬戸内7県のライブ会場で陸上公演をやっていたんですけど、その期間でダンスやMCを上達させることができて。何もわからない状態で劇場デビューするよりは、ある程度成長した段階で船上劇場の初日を迎えることができて、結果的によかったんじゃないかなと思っています。
瀧野由美子 ずっと待っていてくださってたファンの方も、初日を迎えられたことをとても喜んでくれました。公演を観て涙を流している方もいて、やっとスタートを切れたという実感がありました。
今村美月 オープンしてすぐの頃はなんだか新しい匂いがあったというか、自分たちの劇場という実感があまりなかったんですけど、瀬戸内を回って公演をやっていくうちに私たちのホームであるという思いが沸いてきました。
──2ndシングル「風を待つ」のカップリング曲「出航」のミュージックビデオではまだ完成していない改造工事中の船で撮影が行われましたが、実際に完成した「STU48号」に乗ってみて、想像と違ったところや驚いたところはありましたか?
石田千穂 完成前は船の中にステージがあるということが全然想像できなくて。「出航」のMV撮影のときも劇場になる予定のスペースが水浸しになっていたので、「一体どうなるんだろう?」と不思議に思ってたんですけど、完成したらちゃんとステージも椅子もあって安心しました(笑)。
福田 「STU48号」はフェリーを改造した船なんですよ。「出航」のMV撮影のときはフェリーの塗装のままだったんですけど、今は青と白のSTU48らしいカラーで、船体に「STU48号」という文字が書かれていて、今村美月ちゃんが言ったように「本当に私たちの船上劇場なんだな」という実感があります。
──これから船上劇場に行ってみようと思っている人に対して、何かオススメのポイントはありますか?
今村 船内にカフェがあるんですけど、売っているもののバリエーションが多くて、訪れる県によってメニューが違うんですよ。例えば、香川で公演をやるときはうどんを売っていて。どの県で公演を観ても楽しんでいただけると思うし、瀬戸内のおいしい食べものを知って瀬戸内のことをもっと好きになってもらえるんじゃないかな。
瀧野 あと、「出航」や今回のシングル曲「大好きな人」のMVでダンスシーンを撮影した車両甲板や屋上デッキに出ることができるんです。そこから見える景色も県によって違うので、公演前もいろいろと楽しめると思います。
STU48のギャップを感じられる劇場公演
──現在、船上劇場でやっている公演「GO!GO! little SEABIRDS!!」は、陸上公演とは全然違う内容になっていますね。
瀧野 はい、全部が違います。今回の公演は今村ねずみさんに演出していただいたんですけど、今までのAKB48グループの劇場公演とも構成が違っていて、AKB48グループ以外の曲も歌ったり踊ったりするんです。劇場公演らしいところもありつつ、ねずみさんは舞台を多く手がけている方なので、どこか舞台のような雰囲気もあるのかなと思います。
──公演の中に流れやストーリーがあるような?
瀧野 そうですね。曲と曲の区切りがあまりなくて、レッスンでも流れを意識するように指導していただきました。公演全体で1つの演目になっている感じです。
──STU48のイメージにはない激しいダンスパートもありますよね。
瀧野 私はダンスが苦手なのでみんなに必死に付いていってるんですけど、今村美月ちゃんや門脇実優菜ちゃんといったAKB48のダンス選抜(読売テレビ「ベストヒット歌謡祭2018」番組企画内のオーディション)に選ばれるようなメンバーもいて、そういう子たちがすごく輝いていると思います。
今村 カッコいいブロックもあったり、バラードで魅せるブロックもあったり、いろんな私たちを見せられる公演になっています。「STU48、こんなに歌って踊れるんだ」というギャップを感じてくださっているお客さんもいると思うので、グループの可能性が広がったと思います。
──瀧野さんのサックスをはじめ、メンバーが楽器を演奏するブロックもありますね。
瀧野 普段サックスを演奏させていただく機会があまりないので、劇場公演でたくさん演奏できるのはうれしいですし、今までずっとやってきたサックスを新しい形で披露させていただけるのはありがたいですね。
──ちなみに、公演中のSTU48号は停泊していると思いますが、船の揺れを感じることはないんですか?
石田 揺れますねー。公演中もスッと立つ場面では体が揺れちゃうんですけど、逆にそこが面白いのかなと。あと停泊する場所によって揺れ方が違うので、みんなどんどん波について詳しくなってます(笑)。広島は波が強くて、香川は穏やかでした。
──そうなんですね。船酔いするメンバーはいないんですか?
福田 私は乗り物に弱くて、STU48のオーディションに応募する段階で、船で公演をやると知って身構えていました。実際に公演が始まってからも最初の頃は本当にダメで、酔い止めを飲んだり、休憩時間は寝転がったりして耐えてました。お客さんも心配な方は酔い止めを持ってきたほうがいいかもしれません。でも、いざとなったら全席にエチケット袋が付いているので大丈夫ですし(笑)、公演中は楽しくてそんなことは気にならないと思います!
次のページ »
卒業していくメンバーへの思いと重なる