SPYAIR「RE-BIRTH」インタビュー|新体制始動からの3年間を凝縮、ニューアルバムで見せた4人のあるべき姿 (2/2)

テーマがなければここまで強い言葉にしなかった

──では、アルバムの新曲について聞かせてください。シングルリリースもされた、テレビアニメ「勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録」主題歌の「Kill the Noise」はまさにヘヴィロック直系のナンバーです。

UZ 作品にしっかり寄り添ってますね。わかりやすいメロディではあるんだけど、爽快感よりもズシンと来る感じというか。ここまで重たいサウンドはあまりやったことがないんじゃないかな。

UZ(G)

UZ(G)

KENTA そうかも。

UZ それもアニメの世界観があったからこそ挑戦できたんですよね。ある程度テーマがあったので。そこは曲を作るうえで楽しい部分でもあるし、曲の広がりという意味でもありがたいなと思ってます。

MOMIKEN もともとヘビーな音楽をやってたバンドだし、こういう曲が嫌いなわけがなく。個人的にも威圧感がある曲が好きだし。ライブでも騒ぎまくるというより、ズーンと来るような感覚があるんじゃないかな。弦も入ってて、さらに重さが増しているので。

KENTA ライブで演奏するのは難しさもあるんですけど、「食らえ!」みたいな感情になれるのがいいんですよね。すごく楽しいです(笑)。

──ライブで初披露したときの手応えはどうでした?

YOSUKE 最初にやったのはZepp Haneda(今年1月20日に開催された「SPYAIR TOUR 2025 -BUDDY-」ファイナル公演)だったんですけど、ライブハウスツアー(今年2月にスタートした「SPYAIR TOUR 2026 -KILL THE NOISE-」)の前に披露できてよかったなと。そこまで気負わなかったというか、会場の様子を見ながらしっかり曲を伝えられたんじゃないかと思います。

──さすが、肝が据わってますね。「Kill the Noise」というタイトルもインパクトがあって。

MOMIKEN それもアニメの世界観があったからこそですね。テーマがあることで使えるワードもあったし、それがなければここまで強い言葉にはしなかったと思うので。この曲に限らず、SPYAIRとしては死生観だったり罪と罰だったり、そういうテーマで歌詞は書かないですからね。

MOMIKEN(B)

MOMIKEN(B)

このバンドにはシンガロングもすごく大事

──新録曲の「Darling」はYOSUKEさんが作詞を担当しています。

MOMIKEN UZから曲が送られてきて、西海岸パンクみたいなさわやかさがあるなと思ったんです。で、アルバム全体を見渡したときに「ラブソングが欲しいな」という気持ちもあったので、この曲は合うんじゃないかなと。最初は自分で歌詞を書いてたんですけど「ちょっと待てよ。YOSUKEがこの曲を歌うときに、ラブソングとしてどういう温度感がいいんだろう?」という疑問が湧いてきたんですよ。

──ちなみにMOMIKENさんが書いたのはどんな歌詞だったんですか?

MOMIKEN ライブ会場をプロムみたいな場所に見立てて、自分たちがお客さんに対して「君たちに恋してる」と伝えるような歌詞で。ちょっときれいにハマりすぎてる気がしたんですよね、それが。

UZ 作詞家のテクニックが出てる(笑)。

MOMIKEN (笑)。ラブソングだし、YOSUKEが歌うということを考えたとき「この感じはちょっと違うかな、YOSUKEが書いたほうがいいだろう」と考えたという流れですね。

YOSUKE 自分がインディーズでバンドをやっていた頃もラブソングは書いてたので、全然抵抗はなくて。

──「君の横で、唄っていたいんだ」というフレーズもあって。ロマンチックですね。

YOSUKE ロマンチックでありたいというか。がんばってロマンチックにしようとしてるんだけどそうなれない、みたいな感じですね(笑)。

MOMIKEN 歌詞の主人公をそういうキャラクターにするというのは聞いてたので「いいね」って。そこからいろいろディスカッションしながら進めていきました。

──さわやかさを引き立てる歌詞ですよね。UZさんもさわやかさを意識して制作していたんでしょうか?

UZ そうですね。アルバムとしてまとめることになって、シングルを並べたときに「ちょっと違うラインの曲が欲しい」と思って。楽しい空気になれるような曲というか。5曲目(「Kill the Noise」)と6曲目(「Darling」)でガラッと雰囲気が変わるのもいいですよね。みんなで歌ったときに楽しめるものを作りたかったんですよね。シンガロングもすごく大事なんですよ、このバンドには。

KENTA うん。気持ちよく歌ってほしいです。

YOSUKE 皆さんが歌ってくれてると、楽しんでもらえてるんだなという実感があります。

YOSUKE(Vo)

YOSUKE(Vo)

YOSUKEの幼少期を反映した「STILL ON FIRE」

──アルバムの最後を飾る曲「STILL ON FIRE」の作詞はMOMIKENさんとYOSUKEさん、作曲はUZさんとYOSUKEさんというクレジットです。

UZ まず俺がトラックとサビメロを作って、AメロとBメロはYOSUKEに作ってもらいました。1曲目の「RE-BIRTH」がそういうやり方だったから、アルバムの最後の曲も同じ方法で作るのは面白いんじゃないかなと。

YOSUKE こういうオールドロックな感じはもともと好きだし、何かをインプットせずともメロディが出てくるというか。

──そこはメンバー共通のルーツなのかも。

YOSUKE むしろ俺のほうがちょっと古いかもしれないですね。70年代のバンドが好きなので。

KENTA Kiss好きですから。

MOMIKEN そのあたりのバンド、俺はあんまり聴いてなかったんですよね。

UZ 一番のルーツとしては90年代、00年代のミクスチャーやメロコアなので。70年代のバンドは後追いなんですよ。

YOSUKE 僕は「STILL ON FIRE」みたいなサウンドが一番テンションが上がるんですよ。70年代のバンドを聴いたときの衝動を持ちながら、この時代にマッチしたバンドをずっとやりたいと思っていたので。もちろんオールドすぎてもよくないので、90年代以降のロックもインプットしながらやってきたんですけど、この曲ではハードロックの表現を出せるなと。歌詞に関しては、自分の幼少期を反映した主人公を立てているんです。70年代のロックが大好きで、それを周りの友達には理解してもらえず、部屋の中で1人でギターを弾いてる。「認めてもらいたい」とか「大きい会場でライブをやって、すごいと言われたい」という気持ちがどこかにあったんですよね。

──なるほど。

YOSUKE 「STILL ON FIRE」の歌詞は、最初にMOMIKENがサビの部分を書いていて。それを読んだときに「自分の子供の頃の気持ちにつなげられるな」と。

MOMIKEN この曲調に合うタイトルはなんだろう?と考えたら“STILL ON FIRE”だなと。このフレーズがあれば、どんな音が鳴ってるか想像できるんじゃないかなと思ったんです。

KENTA うん。野外ライブでも映えそうだし、気持ちよくやれると思います。

KENTA(Dr)

KENTA(Dr)

今の時代のバンドマンはマジメじゃないと

──アルバムリリース後は、ホールツアー「SPYAIR TOUR 2026 - RE-BIRTH -」がスタートします。新体制最初のアルバム、そしてツアーのあとはどんな予定ですか?

UZ ツアーのあともいろいろと決まっていることがあって。海外でもライブしたいし、これまで通り着実にやれたらいいなと思ってます。その時々でいろんなチャレンジをしながら進んでいけたらいいなと。

──YOSUKEさんはどうですか? SPYAIRのボーカルとして「こうなりたい」という理想像はあるんでしょうか?

YOSUKE こうなりたい、はないですね。自分は自分でしかないし、何かを変えるのではなく、自分らしく前に進めたらと思ってます。まずはアルバムを1枚作れたので、また次のアルバムを出せるように1つひとつやっていきたいです。

──本当に芯がブレないですね、YOSUKEさん。

YOSUKE そうですか?(笑)

KENTA マジメなんですよ、本当に。

──皆さんマジメだと思いますけどね、SPYAIRは。

UZ そうかも。今の時代のバンドマンはマジメじゃないと……マジメにバンドやってます(笑)。

SPYAIR

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公演情報

SPYAIR TOUR 2026 – RE-BIRTH -

  • 2026年3月20日(金・祝)千葉県 森のホール21 大ホール
  • 2026年3月29日(日)大阪府 オリックス劇場
  • 2026年4月5日(日)福岡県 福岡市民ホール 大ホール
  • 2026年4月12日(日)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2026年4月29日(水・祝)北海道 札幌教育文化会館
  • 2026年5月14日(木)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

プロフィール

SPYAIR(スパイエアー)

2005年に愛知県で結成されたロックバンド。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、2010年8月にシングル「LIAR」でメジャーデビュー。数多くのアニメとのタイアップ曲を発表し、2012年12月には初の日本武道館ワンマンを成功のうちに収めた。2015年からは山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストにて夏の恒例野外ワンマンライブ「JUST LIKE THIS」を行っている。2022年3月、IKE(Vo)が持病の再発を受け脱退。UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)によって同年11月から行われたオーディションを経て、2023年4月に新ボーカリスト・YOSUKEの加入を発表。同年8月の野外ライブ「JUST LIKE THIS」より新体制での活動を本格化させた。2024年2月に発表した新曲「オレンジ」は映画「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」の主題歌として大ヒットし、ストリーミング累計再生回数は2億回を突破した。2026年3月に新体制初のアルバム「RE-BIRTH」をリリース。同月よりアルバムを携えたホールツアーを行う。