ノリを重視したレコーディング

──楽曲の話に戻りますが、演奏面ではどういう部分にこだわりましたか？

KENTA　今回初めての試みなんですけど、ドラムとギターとベースを一緒に録ったんです。これまでは僕が録って、MOMIKENがベースを入れて、UZのギター、IKEのボーカルを重ねていくというやり方だったのを変えてみました。

UZ　前から試してみたいと思っていて、今回の曲調だったらこのやり方が合うんじゃないかと思ってやってみたんですよ。

KENTA　疾走感のある曲だし、ノリが重要な曲なので、ライブのときのようにみんなで一緒に音を出すというのがすごく効果的なんじゃないかなって。

MOMIKEN　緊張感が違いましたね（笑）。でも、その分、より集中して演奏できたと思います。

──その一体感というか、バンド感みたいなものがちゃんと音に表れていると思います。

KENTA　カップリング曲の「Blowing」も同じやり方で録ったんです。「WENDY ～It's You～」に続いて「Blowing」を録ったんですが、「WENDY ～It's You～」のときは「どうなるのかな？」って探り探りやってたところもあったんですけど、「Blowing」はテイク数も少なかったしスムーズでした。

──「WENDY ～It's You～」の経験がすぐに活かせたわけですね。

UZ　はい、そうですね。

実験的に音楽を楽しめるのがカップリング

──「Blowing」はどういうテーマで作った曲なんですか？

UZ　カップリング曲ということを前提にアレンジをまとめていきました。コード進行やメロディはアルバム（「Just Do It」）を作り終わる頃にできてて、すごく雰囲気のあるメロディが個人的に気に入ってたから、どこかのタイミングで形にしようと思ってストックしておいたんです。今回、「WENDY ～It's You～」がシングルになることが決まって、カップリングはどうしようか？というときに、この曲をラテン風味のアレンジでまとめてみようって思い立ちました。

──ラテン風味のアレンジというのはこれまでになかったタイプだと思うんですが。

UZ　これまで8枚のシングルをリリースしてきた経験から思ったのは、カップリング曲ってかわいそうだなってことなんです。正直、オレとしてはシングル曲もカップリング曲もアルバム曲も愛情を注ぐ量は変わらないんですけど、聴く人が圧倒的に少ないわけですよ。その現実は受け止めつつ、カップリング曲で何ができるかを考えたら、“遊べる”という魅力があるんじゃないかと。実験的に音楽を楽しめるのがカップリングだと思うんです。なので、これまで全く手を出してこなかった音楽的要素を取り入れてみようってことで、ラテンのリズムになりました。

IKE　ラテン風味のアレンジということで、パーカッションが入ってるんですけど、KENTAとドラムテックの方と、そのアシスタントの方の3人で演奏して。すごく人間らしさを感じさせる騒がしいグルーヴに仕上がりました。

UZ　基本的に、オレはキッチリと音楽を作りたいと思っているんです、性格的に。でも「Blowing」に関しては、いろんな人がパーカッションを叩いてくれたことで、いい意味で音楽的に“ユルさ”を出すことができたし、結果的に楽しいサウンドになったと思っています。曲によってはこういうのもアリだなって。

KENTA　とにかくレコーディングは楽しかったですね。この曲のためにパーカッションを買いに行ったりもしましたし。

──思い立ったらすぐに行動を。

KENTA　そうなんです。さっきUZが言ったように、カップリングでは実験ができるから、今後のシングルでのカップリング曲は演奏する人の数がどんどん増えていくかもしれません（笑）。

──あんまり行き過ぎるとUZさんにストップかけられますよ。

UZ　いやいや、そのときのノリなので、それはわかんないっすよ（笑）。

──歌詞の内容は「WENDY ～It's You～」と共通する、応援ソング的なところがあるように感じましたが。

MOMIKEN　「WENDY ～It's You～」が女性に向けての応援メッセージだとしたら、こっちは20代男性に向けての応援メッセージという解釈で書きました。

IKE　MOMIKENが意図している「WENDY ～It's You～」との対比もありますから、この2曲が並ぶと色合いが揃っていて、シングルとしてのバランスがいいと思うんです。続けて聴いてもすごく聴きやすいんじゃないかなって。