ナタリー PowerPush - SPYAIR

新境地のドラマ主題歌とENZEL☆脱退への思い

前に進む間には出会いも別れもある

──このシングルのリリースの約1カ月後、12月18日に初の日本武道館公演がありますが、その前にENZEL☆さんのことを聞かせてください。10月のラジオで武道館を最後に脱退することを発表しましたが、いやあ、驚きました。

ENZEL☆ お騒がせしました(笑)。

──脱退についてはいつ頃から考えていたんですか?

インタビュー写真

ENZEL☆ 以前からいろいろ考えるところがあって、決断してメンバーに伝えたのは「Naked」の制作中でした。理由としては、毎日すごく楽しくて、みんなに支えられて活動しているなって思っていたんですけど、自分で自立して動いている感じがあまりないんじゃないかって考えてて。そんな状況を変えたいというのが一番大きかったです。脱退することを発表して、たくさんの人に声をかけていただいたときに「自分がやってきたことは間違ってなかったし、すごく愛されているんだな」って、逆に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

──ほかの皆さんはENZEL☆さんから脱退の話を聞いたとき、どう思いましたか?

IKE すごく楽しそうに活動してきましたけど、彼自身がよく考えて出てきたのが“脱退”という決断の言葉だったので、俺らとしてはそれを受け止めるべきだと思いました。

──相談と決断は違いますからね。

KENTA うん。既に腹をくくってたわけですから。

MOMIKEN その決意を受け止めようって。

UZ バンドというものは同じ目標や夢を持って集まっている仲間で作るものだから、その夢が違ってきたとしたら、無理に引き止めるまで一緒にやっていくことではないと思うんです。これはENZEL☆に限った話じゃなくて。今回はENZEL☆が別の夢を目指すということなので、オレが止める必要はないなって。もちろん、ずっと一緒にやってきた仲間ですから何も感じないわけじゃないけど、「仕方ない」と言うと後ろ向きに聞こえてしまうんですが、自然の流れだと思っています。

IKE SPYAIRもバンドとして前に進んでいこうとすれば、その中に出会いも別れもあると思うんです。その別れの部分を惜しんで「行かないで」って言ってしまったら前に進めないんじゃないかなって。そういう意味で、自然の流れだと思って、オレらが正しいと思った方向に進んでいくべきだと考えました。

UZ ここ最近の話なんですけど、デビュー前からお世話になっていた人がいて、その方と「お互い、別々の道を進みましょう」とお別れしたんです。そのときは悲しくてどうしようもなかったんですけど、この「WENDY ~It's You~」という作品を作る上でも、新しい一歩を踏み出すためにも、その別れは間違いではなかったという実感があります。人と人とのつながりってタイミングもあると思うので、それに逆らわずにやっていくほうが結果的に自分たちの夢に近づけるんじゃないかと。

KENTA ENZEL☆と一生会えないっていう別れじゃないですから。

IKE ただ、ENZEL☆は武道館後にサッと抜けたいって言ってたんです。

KENTA そうそう。「おい、待て待て!」って感じですよね(笑)。

IKE ENZEL☆も体感しているように、いろんな人から声をかけていただいたり、応援してもらったりしているので、みんなで送り出してあげたいなと思って、最高の場所、日本武道館を用意しました。

ENZEL☆ アザーっす!!!

──いろいろ考えると、10月の段階で発表しておいて良かったのかもしれないですね。ファンの人たちも武道館公演に向けて気持ちが高まってきてますから、武道館で「今日を最後に脱退します」って発表したらショックが大きいと思いますから。

IKE 発表するタイミングが一番悩みました。

KENTA 武道館が成功して「武道館、すごく良かったね」って盛り上がってるところに「ENZEL☆、脱退します!」っていうのは超裏切られた気持ちになるじゃないですか。それはダメでしょう! 泣いてほしくないですし。

UZ いや、泣くよ!

KENTA 結果的に泣くんだろうし、それはしょうがないことだけどさあ、しっかりとお祭りとして最後にみんなで「いってらっしゃい」って言えるようなライブにしたいな。

ニューシングル「WENDY ~It's You~」/ 2012年11月21日発売 / Sony Music Associated Records

CD収録曲
  1. WENDY ~It's You~
  2. Blowing
初回限定盤DVD収録内容
  1. WENDY ~It's You~(Music Video)
LIVE INFORMATION

SPYAIR LIVE at 武道館 2012 2012年12月18日(火)東京都 日本武道館
OPEN 18:00 / START 19:00
追加席チケット一般発売中

SPYAIR(すぱいえあー)

IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)、ENZEL☆(DJ)の5人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。そのライブパフォーマンスには定評があり、メジャーデビュー前に「SUMMER SONIC 2010」に出演しているほか、2011年7月には韓国最大のロックフェス「JISAN VALLEY ROCK FESTIVAL 2011」に出演した。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行し、チケットは全席完売した。2012年11月、ニューシングル「WENDY ~It's You~」をリリース。12月18日には初の日本武道館ワンマンライブを行い、このライブをもってENZEL☆が脱退することが決定している。