ナタリー PowerPush - SPECIAL OTHERS

話題沸騰のコラボ作品集「SPECIAL OTHERS」裏話

インストジャムバンドという、日本では聞きなれないジャンルでありながら、音楽そのものの魅力で支持を広げてきたSPECIAL OTHERS。2011年はコラボイヤーと銘打ち、キヨサク(MONGOL800)やKj(Dragon Ash)とのコラボ曲を発表し、リスナーに驚きを与えてきた彼らが、その成果を集めた作品集「SPECIAL OTHERS」を発表する。

シングルとしてリリースされた楽曲に加え、本作に新たに収録されるのは、オオキノブオ(ACIDMAN)とホリエアツシ(ストレイテナー)との「あの国まで」や、アイヌの伝統的な歌の再生と伝承をテーマに活動しているマレウレウ、同郷の後輩サイプレス上野とロベルト吉野、そしてASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文とのコラボナンバー。そもそもコラボの意図は? そして人選の理由は? 話を聞くうちにSPECIAL OTHERSならではの音楽観が見えてきた。

取材・文 / 石角友香 インタビュー撮影 / 平沼久奈

打ち上げとかで話してて、面白いっていうのは結構重要でした(笑)

──まずはコラボイヤーの発案の経緯を訊かせてください。

SPECIAL OTHERS

宮原良太(Dr) アイデアは昔からあったんですけど、メジャーデビューしてある程度年月も経った今なら「SPECIAL OTHERSとはどういうバンドか?」っていうのがある程度浸透してるかなとも思うし、このタイミングかなって。人脈も広がってきたし、いろんなアーティストとコラボしたいなっていう空気がメンバー間でも出てきたので、もう「コラボイヤー」っていうことにしちゃおうと。

芹澤優真(Key, Vo) ビッグネームのアーティストと一緒にやるとそっちの名前ばかりが先行しちゃうだろうから、僕らが埋もれないようにとか考えたりもして。やっぱり、SPECIAL OTHERSというバンドの存在がちゃんと浸透するまで待ったほうがいいのかなとは思ってましたね。

──人選の基準は?

宮原 打ち上げとかで話してて面白いっていうのは、結構重要でした(笑)。

芹澤 「打ち上げでハモった人たち」って言うと「そんな簡単な理由?」って思われるかもしれないけど、気が合う人を探すのってすごく難しいと思うんですよ。単純な理由かもしれないけど大事なことだし、単純な動機や思いつきの行動がのちのちすごい重要なことにつながるって俺ら実感してて。

柳下武史(G) 音楽に人格が出るんですよね。お互い惹かれる部分があるからコミュニケーションをとろうと思うし。

──丸々1枚コラボ作品にしたのは、徹底しないと意味がないと思ったから?

宮原 そうですね。自分たちの作品にコラボ曲が入ってるのはあんまりイメージできなくて。コラボ作品と自分たちのオリジナルは別にしたかったんです。

芹澤 例えばアルバムにコラボ曲が入ってると、自分たちの作品を聴かせるためにコラボが入ってるみたいな雰囲気になっちゃうし。

柳下 それに、はっきりとコラボ作品集と銘打って出したほうがお祭り感が出るしね。

「あ、この曲はキヨサクくんを待ってたんだ!」

──では曲が制作された順にコラボ曲のことを訊かせてください。まずキヨサクさんとの「空っぽ」から。

宮原 実はこれ10年前ぐらいに作った曲なんですよ。

柳下 元々歌モノで、デビュー前に自分たちのライブでもやってた曲で。いつかは出したいなと思ってたんです。でも自分たちで歌って出すっていうのも、しっくりきてなくて。で、この機会に誰かに歌ってもらいたいという思いが生まれたんです。

宮原良太(Dr)

宮原 っていうか、キヨサクくんのThe NO PROBLEM'sでのライブを観たときに、「あ、この曲はキヨサクくんを待ってたんだ!」って思ったんですよね。

──なるほど。キヨサクさんは最初からこの歌詞を書いてきたんですか?

宮原 いや、最初はちょっと変わった歌詞だったんですよ。でも、曲を聴いて気持ちが変化したみたいで。俺たちが「これを10年間あたためてきた」みたいな話をしたら、変えてきたんですよね。

──なかなかの大作ですが、印象は素朴で。

芹澤 やっぱ人柄が出てるというか。一緒にいても、すごいラクなんですよね。初めてちゃんと喋ったときに、俺はキヨサクくんのことをずっと“スギサクくん”って呼んでて(笑)。それなのに怒りもせず、そのまま話を聞いててくれたんです。

宮原 そういう大らかさというか、なんでもOKっていう感じが面白いですよね、キヨサクくんは。

芹澤 それでいて、たくさん人がいたりしても、ちゃんと一人ひとりを見て話すっていうような気配りがあったり。

──そういう人がちょっと情けない部分もさらけ出したような「空っぽ」は心に響きますよね。

柳下 ええ。彼のあたたかさがにじみ出た曲ですね。

コラボ作品集「SPECIAL OTHERS」 / 2011年11月30日発売 / SPEEDSTAR RECORDS

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 3675円(税込)Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 2100円(税込) / VICL-63795 / Amazon.co.jpへ
収録曲
  1. Sailin' / SPECIAL OTHERS&Kj(from Dragon Ash)
  2. あの国まで/ SPECIAL OTHERS&オオキノブオ(from ACIDMAN)、ホリエアツシ(from STRAIGHTENER)
  3. 空っぽ / SPECIAL OTHERS&キヨサク(from MONGOL800)
  4. イヨマンテ ウポポ / SPECIAL OTHERS&マレウレウ
  5. DANCE IN TSURUMI / SPECIAL OTHERS&後藤正文(from ASIAN KUNG-FU GENERATION)
  6. DOOR / SPECIAL OTHERS&サイプレス上野とロベルト吉野
初回限定盤DVD収録内容
  1. Uncle John
  2. IDOL
  3. AIMS
  4. Good morning
  5. Surdo
  6. STAR
  7. Laurentech
  8. PB
  9. Wait for The Sun
  10. 空っぽ / SPECIAL OTHERS & キヨサク(from MONGOL800)
  11. Sailin' / SPECIAL OTHERS & Kj(from Dragon Ash)
  12. あの国まで / SPECIAL OTHERS & オオキノブオ(from ACIDMAN), ホリエアツシ(from STRAIGHTENER)
SPECIAL OTHERS(すぺしゃるあざーず)

1995年、高校の同級生だった宮原良太(Dr)、又吉優也(B)、柳下武史(G)、芹澤優真(Key, Vo)の4人で結成。2000年から本格的な活動を開始する。2003年に制作した自主音源「INDY-ANN」がCRJ-Tokyoで7週連続チャートイン。2004年8月には1stミニアルバム「BEN」をリリースし、外資系CDショップで好セールスを記録する。続く2005年6月の2ndミニアルバム「UNCLE JOHN」発表後には「FUJI ROCK FESTIVAL '05」に出演し、大きな注目を集める。2006年6月にミニアルバム「IDOL」でメジャーデビュー。人懐っこくリラックスした音楽性は、「FUJI ROCK FESTIVAL」「朝霧JAM」をはじめとする数々の野外フェスやイベントで人気を博している。2009年にリリースしたアルバム「PB」、2010年にリリースした「THE GUIDE」は2作連続でオリコンウィークリーチャート初登場10位を記録した。そして 2011年は「コラボイヤー」と銘打ち、さまざまなアーティストとコラボレーションを展開中。