SKE48「Karma」インタビュー|ヘビーな恋愛ソングとSNS戦略で新境地を切り開く (2/2)

中坂美祐、初選抜の心境は?

──中坂さんは今回のシングルが初選抜となります。現在の心境は?

中坂 SKE48の選抜メンバーに入ることは、ずっと目標でした。20歳の誕生日を迎えた2週間後くらいにこのお話をいただいたんですけど、節目の年に夢が1つ叶ったので、改めてもっとがんばっていこうという気持ちが芽生えました。ですから現在の心境としては、すごく燃えています(笑)。うれしいのはもちろんですが、ここがゴールではないので。選抜に入れたということで、ここからお仕事も広がっていくでしょうし、どんどんいろんなことに挑戦したいです。

中坂美祐

中坂美祐

坂本 美祐ちゃんを見ていてすごいなと感じるのは、好きなものを仕事につなげられること、バイタリティの高さですね。一例を挙げると、鯱もなかがバズっているのをご存知ですか?

──鯱もなか?

中坂 将棋の藤井聡太七冠が“勝負おやつ”にしているということで話題になっている名古屋の銘菓なんですけど、私も前から大好きで。それで縁あって去年から「SKE48中坂美祐の元祖鯱もなかさかラジオ」(CBCラジオ)という番組をやらせていただいているんですよ。

坂本 あとは、これまた名古屋で有名な「歌志軒」という油そばのお店がありまして。その歌志軒さんとコラボできることになったので、名古屋市内にある全店舗を美祐ちゃんが回ってSNSに載せたんです。

中坂 あれはすごく反響が大きかったです!

新チームそれぞれの特徴

──さて、SKE48は今年4月に12年ぶりとなるチーム替えを実施。メンバーを大胆に入れ替えたうえで、新チーム体制でツアーを実施しました。

中坂 私はTeam Eなんですけど、チーム替えの段階で「マジでダンスうまい人しかいないじゃん!」と焦りました。リーダーの赤堀君江ちゃんを筆頭に、ダンスメンばかりそろっているんです。Team Eとして最初のレッスンが「Tick tack zack」の振り入れだったんですけど、いきなり難易度が高い曲で、もう私なんてついていくので必死。だけど、ほかのみんなは振りを簡単に覚えているから、「これは真剣にマズいぞ……」って青くなっちゃいました。

──結局、どうしたんですか?

中坂 「SKE48 SUMMER Tour 2025」が始まる前に「これはみんなと一緒に練習しているだけじゃダメだな」と反省しました。そこからは周りに置いていかれないように、家でも練習を繰り返すようになりました。

──河村さんもTeam Eですよね。

河村 サマーツアーは最高でしたね。パフォーマンス力に磨きをかけているチームなので、単純に自分がその一員になれたことがうれしかったです。ただ、リハーサルの回数がどのチームよりも少なくて、そのことに対する不安も正直ありました。いざ始まってしまえば、最初から最後まで楽しかったですけど(笑)。Team Eのサマーツアーは「和」をテーマにした内容だったので、サウンドも和のテイストでしたし、メンバーも提灯を持ったり法被を着たりしながらパフォーマンスしました。私にとってもTeam Eにとっても新しい挑戦だったので、自信も付いたし、手応えもありました。

河村優愛

河村優愛

──坂本さんのTeam Sは?

坂本 Team Sの特徴は、華のあるメンバーがそろっていることです。王道アイドル系の子が多くて、ほかのアイドルさんやアーティストさんの楽曲をお借りしてサマーツアーで披露させていただきました。例えばですが、YOASOBIさんの「アイドル」とかもダンス入りでやったんですよ。

──YOASOBIの「アイドル」は、もともと振付はないですよね?

坂本 そうなんです。だから、そこは新しく振りを付けました。最初はSKE48以外の楽曲をファンの方に受け入れてもらえるか不安だったんです。でもお客さんのリアクションが想像以上にすごくて、「アイドル」の曲中に出てくる「オイ! オイ!」というコールもバッチリ。一体感や迫力が生まれて感動しましたね。

坂本真凛

坂本真凛

──Team EとSの話が出たので、せっかくだからTeam KⅡの特徴や強みについても教えていただけますか?

中坂 Team KⅡはメンバーそれぞれが強みを持っているんですよ。

河村 個性派ぞろいの集団!

中坂 私の同期はTeam KⅡのメンバーが多くて、例えば荒野姫楓ちゃんはロードバイクを本格的にやっていてJ SPORTSさんで番組に出ていたり、池田楓ちゃんは地元が長崎の佐世保市ということで、佐世保観光大使をやっています。あとは9月末に卒業しちゃうんですけど、藤本冬香ちゃんは熱狂的な広島カープファンなので、「それ行けカープ」という、著名人の方が出演している毎試合スタジアムで流れる映像にも出ています。

──そこは中日ドラゴンズじゃなくていいんですか?

中坂 冬香ちゃんは広島出身なので、大目に見てあげてください(笑)。

今年に入って万バズ連発のSKE48メンバー

──今回のシングルは、7期生の相川暖花さんがキャリア11年目で初選抜入りしたことも大きなトピックです。相川さんのことはネットニュースやSNSで最近よく見かけます。

坂本 私もいるTeam Sのリーダーなんですけど、近くで見ていて本当にすごいなって驚くことが多いです。リーダーがTikTokでバズりまくっているから、みんなもその波に乗ろうという気持ちになっていて。暖花さんは王道アイドル路線というよりはわりと面白い内容の動画をTikTokに投稿することが多いので、私たちも触発されて中国ダンス(ナルトダンスとも呼ばれるSNS発のダンスミーム)やソーラン節を踊ったりしています。

@aikawa_honoka

相川、選抜メンバーに入りました‼️✨ 11年目で初選抜!みんなのお陰で諦めかけていた夢が叶いました!応援してくれてありがとう!沢山「相川選抜入って欲しい」って言ってくれてありがとう!😭ここまで続けてきて本当に良かったです!でもここがゴールじゃなくてスタートだと思って、もっと皆に恩返しできるように相川頑張ります!!本当にありがとうございます!相川は幸せです!!😭💖#ske48 #Idol @SKE48official

♬ nhạc nền - 🎈就一眼✨ - HQ COS

──周囲にも大きな影響を与えているんですね。

坂本 そうなんです! Team Sは今年になって万バズしたメンバーが3人もいるんですよ。暖花さん以外だと、野村実代ちゃんは「スタイルがよすぎる」ということで「アイカツ体型」と呼ばれて人気者に。山村さくらちゃんも「高校の卒業式写真がめちゃくちゃかわいい」と注目されて有名になりました。バズリ方としては最高の形!

中坂 本当にネットの拡散力ってすごいですからね。アイドルファン以外の人たちも大勢見てくれますし。

坂本 あっ、そうそう! サマーツアーで札幌に行ったときも、みんなで街を歩いていたら「相川さんですか?」って話しかけられることが3、4回ありました! それに対して暖花さんが「明日は当日券もあるし、よかったら遊びに来てください」なんて応えていてさすがでした。

河村 本当にすごい。完全に全国区じゃないですか。

中坂 暖花さんに関しては、ようやく面白さが世の中に伝わったという気持ちもあります。前からSKE48の中で抜群のMC力だったし、コミュニケーション能力もレベルが違いました。周りのみんなを笑顔にする存在だから、こうやってバズリ散らかしていることがすごくうれしい!

──現在はSKE48全体としても、SNSに力を入れているとうかがっています。

河村 それは本当にその通りです。細かいことを言うと、例えば以前はTikTokの個人アカウントを持っているメンバーと持っていないメンバーがいたんですよ。でも今は希望すれば誰でもアカウントが作れて、自分で発信できるようになりまして。私自身も個人アカウントを作ったんですけど、やっぱりTikTokで大事なのは続けることなんです。毎日投稿することで盛り上がっていく。だから、そのあたりの意識はだいぶ変わりました。

坂本 実際にやってみると、頭を悩ませることも出てくるんです。例えば私も個人としてTikTokのアカウントを持っていますけど、それとは別にTeam Sのアカウントもあるし、SKE48としてのアカウントもあるわけで。当然、同じ内容の投稿をするわけにはいかないじゃないですか。その使い分けは考えるようになりました。

河村 SKE48全体のときは、“TikTokを撮影する日”を特別に設けています。その日はスタッフさんにカメラを回してもらって、集中してTikTokの撮影をするんですよ。

──たまに取材現場などでアイドルがTikTokを撮影しているところに居合わせることがありますが、普通はスキマ時間にパパッと撮るようなケースが多いですよね。

中坂 それだけ真剣にTikTokに取り組んでいるんだと受け取っていただければ。やっぱり暖花さんみたいな成功例があると、「これがチャンスにつながるんだ」という発想に変わってくるんですよ。

──具体的なコンテンツ内容はどうしているんですか? グループやチームはともかくとして、個人アカウントは自分で決めなきゃいけないですよね?

坂本 それぞれ自分の趣味や個性を生かすことが多いです。例えば私の場合、ごはんを食べることが大好きなので、お出かけして食事する風景をVlog風にまとめたり。

中坂 私はサッカー関連の動画しか上げないと決めています! サッカー観戦に行ったときにVlogを撮ったり、オススメの応援グッズやスタジアムグルメを紹介したり。

河村 私は昔からダンスが特技なので、内容はダンスに特化しています。TikTokに載せるためだけにダンスを覚えることもあるんですよ。そのために何回も練習するから、おかげでダンスが少し上達したかも(笑)。

──見事にバラバラなんですね。

中坂 それによってSKE48をいろんな人に知ってもらえているのは確かだと思います。例えば私はサッカーについて発信することで、スタジアムで「TikTok観ました」と声をかけていただくことが増えました。サッカー系で有名なインフルエンサーの方からリアクションしてもらったこともありますし、影響は少なからずあるんじゃないかな。

──素晴らしいですね。SNSで幅広い層にアピールしつつ、「Karma」で新境地を切り開いたSKE48ですが、最後に今後の活動に対する意気込みをお願いします。

中坂 私の今年の目標は「全力SKE48」。せっかくここで選抜メンバーに入れたのだから、SKE48と全力で向き合ってグループを盛り上げていきたいと思います!

坂本 SKE48は今年10月に劇場デビュー17周年を迎えます。今回のシングル「Karma」は長い歴史の中でも新しい一面を見せられる楽曲に仕上がっていますし、MVはSKE48劇場があるSUNSHINE SAKAEをバックにした映像になっています。ぜひ、これを機にSKE48劇場へ遊びに来ていただけるとうれしいです!

河村 私は前作に引き続き連続で選抜に入れていただいたんですけど、今回の「Karma」は選抜メンバーに若手が多いなと感じたんです。「これからのSKE48は若手に任せてください!」と言い切れるくらいの気持ちでグループを引っ張っていきたいです。それに、今のSKE48は本当に個性豊かなメンバーがそろっているので、いろんな方に刺さると思うんですね。SKE48が再びバンテリンドーム ナゴヤに立てるように、全員一丸となって精進していきます!

左から坂本真凛、河村優愛、中坂美祐。

左から坂本真凛、河村優愛、中坂美祐。

プロフィール

SKE48(エスケーイーフォーティエイト)

AKB48の全国進出第1弾として、名古屋・栄に誕生したアイドルグループ。名称の由来は、活動拠点の栄(SaKaE)の頭文字。秋元康の総合プロデュースにより、2008年7月より活動をスタートさせた。AKB48同様「会いにいけるアイドル」をコンセプトに、栄にあるSUNSHINE SAKAE 2階のSKE48劇場にてTeam S、Team KII、Team E、および研究生が公演を行っている。2009年8月にシングル「強き者よ」でメジャーデビュー。2011年5月にエイベックスへのレーベル移籍を発表し、7月に移籍第1弾シングル「パレオはエメラルド」をリリースした。2012年に初めて単独で「NHK紅白歌合戦」に出場。2014年2月には愛知・ナゴヤドームで、2015年8月には愛知・豊田スタジアムで単独コンサートを開催した。最新作は2025年9月リリースの35枚目のシングル「Karma」。