SKE48「Tick tack zack」インタビュー|中毒性抜群の新曲と12年ぶりのチーム再編を語る (2/2)

SKE48の「新陳代謝」「世代交代」について

──ここ数年、SKE48からは知名度の高いメンバーが次々に卒業していきました。グループ内の「新陳代謝」「世代交代」ということについて、皆さんはどのように捉えていますか?

伊藤 私は今回のシングル「Tick tack zack」で初めて選抜に入れたんです。前作まで18人体制だった選抜メンバーも12人となりましたし、先ほどから話に出ているチーム替えのこともあって、一気にSKE48が変わっているなと感じます。グループが生まれ変わるタイミングでの初選抜だからこそ、やっぱり私も責任感を持って活動していきたいですね。具体的に言うと、自分の得意なスポーツを通じて、今までSKE48のファンじゃなかった人にもアピールしていきたいなと思っています。ちなみに去年は「SASUKE」に出演させていただいたり、東京マラソンで走ったりもしたんです。

左から伊藤実希、大村杏、佐藤佳穂、井上瑠夏。

左から伊藤実希、大村杏、佐藤佳穂、井上瑠夏。

──この4人の中で一番年上の佐藤さんは、グループの変化について感じることはありますか?

佐藤 若い子たちが入ってくると、単純に世の中の若い世代にSKE48の存在が届きやすくなると思うんです。新チーム体制になってグループが大きく変わる中、今までSKE48がしてこなかったことにもどんどんチャレンジしていけるんじゃないかと思います。もちろんこれまで先輩たちが築いてきた歴史や伝統も大事です。だけど理想としては、今までたどってこなかった道を自分たちの力で切り拓いていきたいと思っています。

──メンバーも現状打破の精神を持っているということですか。

佐藤 じゃないと、進化とか成長はないですから。思えば私たち8期生が入った頃って、先輩たちが今よりもっと厳しく注意してくれたんですよ。だけど、いざ自分たちが先輩の立場になってみると、後輩に厳しく注意するのは簡単じゃない。そこで気付いたんですよね、先輩たちも神経を擦り減らしながら私たちに注意していたんだなって。私がSKE48にいる意味として大きいのは、そういった先輩たちから受け取った思いを後輩に授けていくこと。ただし、同時に新しい風も入れないと絶対ダメだと思います。

──4人の中で最年少である大村さんは、どのように感じていますか?

大村 今回、選抜12人の中に私たち11期生と、その下の12期生が合わせて4人入っているんです。そして近いうちに13期生もお披露目となるはず。実際にスタッフさんからも言われるんですよ、「もう大村たちの世代が引っ張っていくんだよ」って。その自覚を持ちながらがんばっていきたいです。

──もう新人気分でいられないということですね。

大村 やっぱり私は、昔テレビで観ていたSKE48に対していまだに憧れの気持ちを持っているんです。だから先輩たちが立ってきた大きなステージで自分たちもパフォーマンスしたい。バンテリンドーム ナゴヤに立ちたいし、もっと言っちゃえば先輩たちを超えていきたい。そのためにはもっと幅広い世代の方にSKE48を知ってもらう必要があるし、アイドルファンの方以外にも広める必要があると思っていて。最近、私はいろんな雑誌でグラビアをやらせていただいているので、それがSKE48を知ってもらうきっかけになればいいなと思っています。

大村杏

大村杏

──この取材メンバー以外では、新しいSKE48を象徴する存在と言うと誰になりますか?

大村 今回のシングルで初選抜となった16歳の伊藤虹々美ちゃん! 長野県出身のメンバーはSKE48で初なんですけど、本人が言うには実家がすごく田舎にあるらしいんですね。それゆえかもしれませんが、ものすごくシャイで人見知りなんです。だけどそんな子がステージに立つと自信をもってパフォーマンスしているから、自然と応援したくなるんです。

──成長を見守りたくなるタイプ?

大村 まさにそうです! 最初のうちは「ステージで下を向かない!」ってスタッフさんからよく注意されていたんですよ。ポジションも後ろの目立たないところでしたし。だけど去年から行っている「制服の芽」公演では、堂々と松井玲奈さんのポジションを務めていました。私も一緒に出演するときは、私が松井珠理奈さん、虹々美ちゃんが玲奈さんポジをやるんです。

新曲「Tick tack zack」の特徴は中毒性

──続いて、34thシングルの表題曲「Tick tack zack」の聴きどころや注目ポイントを教えてください。

伊藤 一番の特徴は、一度聴いたら耳から離れない中毒性だと私は思っています。タイトルにもある「Tick tack zack」というフレーズが何回もリフレインされるんですよ。

伊藤実希

伊藤実希

井上 時計の針が進む音を「チクタク……」と表現しますよね。この言葉の響きがすごく耳に残ります。

──となると、「ザック」はなんですかね?

井上 それは……わからない(笑)。だけど「ザック」が入ることで、より響きのインパクトが増しているんじゃないかと個人的には考えています!

伊藤 ミュージックビデオでは、選抜メンバー12人それぞれの個性がピックアップされています。例えば私はスポーツが得意なので、“アスリート系女子”って感じで映っています。

──ほかのメンバーは、どんなキャラになっているんですか?

佐藤 私の場合は、コスメドレッサーに向かっている姿が映っています。去年、日本化粧品検定の2級試験を受けまして、なんとか合格することができたんですよ。理系の大学に進んだのも、化粧品関連の仕事をしたいという気持ちがあったからで。SKE48での活動は9年目になりますが、自分が追いかけてきたものをピックアップしてもらえたうれしさがあります。たぶん、私のことを応援してくださっているファンの方もこのMVを観たらエモい気持ちになるんじゃないかな。

──大村さんと井上さんはいかがでしょう?

大村 今回、スタッフさんから「いつもとは違う杏が見たい」と言われたんですよ。普段は私服でもピンクとかフリフリ系の洋服を着ることが多いんですけど、水色のドレスを用意していただいて。はかないというか、ちょっと大人っぽくなった19歳の私を見てもらえるんじゃないかと思います。

井上 私は逆に、いかにも“王道アイドル”という感じかも。大好きなピンクと風船に囲まれて、めちゃくちゃかわいい世界観を打ち出せたんじゃないかなと。マカロンとかかわいいお菓子があふれる中、自撮り棒で自由に撮りました。

目指しているのはバンテリンドーム ナゴヤ

──そのほか、「Tick tack zack」の注目ポイントはありますか?

佐藤 歌詞です! 恋の駆け引きがテーマになっているんですよ。正直、私としては「こんな恋愛はしたくないな」と思いながら歌っています(笑)。自分がこの曲の主人公の立場になったら、気持ち的にしんどくなりそうで……。

──確かに、かなり大人の恋愛観が歌詞のベースになっていますね。19歳の大村さんは感情を込めるのが大変だったのでは?

大村 そうですね。レコーディングではスタッフさんから「とにかく大人っぽく歌って」と言われました。自分が担当する歌割りに「Chaseする甘い夜」というフレーズがあって、これを歌うのが私と16歳の伊藤虹々美ちゃんの2人。言葉の意味がわからないから、とりあえず調べたりして……。でも完成したものを聴いたら、ちゃんと“Chase”されていたので安心しました。

佐藤 それはよかった! ちゃんとChaseされたんだね(笑)。

佐藤佳穂

佐藤佳穂

──10代の2人は、この難解な歌詞をどう解釈したんですか?

大村 まず「Chase」というのは「追いかける」という意味ですよね。その言葉が、「甘い夜」にどうかかっているのか理解するのにかなり頭を悩ませました。雰囲気的には、もどかしい気持ちを表しているのかなと思ったんですけど、ダンスは逆にすごく力強いんです。だから、苦しみながらも激しくもがいているような気持ちなのかなと勝手に解釈して、MVでもそういう表情を見せるようにしました。

井上 すごいねー! 「Tick tack zack」に関して、私はダンスに注目していただきたいです。“ティックタックダンス”で時計の秒針を表現しているんですけど、MVではそれを水の上で踊りました。水の上でダンスするなんて前例もあまりないはずだし、もしかしたらCGなんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、本当に水が張られたセットの上で水を飛ばしながら踊っているんですよ。

井上瑠夏

井上瑠夏

──「Tick tack zack」のセンターを務める熊崎晴香さんに対しては、どのような思いがありますか?

佐藤 前作「告白心拍数」に続いてのセンターですね。今回、くまさんも前作以上に強い気持ちでパフォーマンスに臨んでいると思うんです。でも、すべてをくまさん任せにするのではなく、12人メンバー全員で手を取り合いながら全力で走っていきたいです。くまさんは私と同い年ですけど、昔からすごく勢いがあるんですよね。それはパフォーマンス面もしかりで。残りの11人も彼女の勢いに負けないくらいのパワーで活動に臨みたいです!

──最後に、今のSKE48が目指していることを教えていただけますか?

佐藤 バンテリンドーム ナゴヤに立ちたいという気持ちは一貫してありますが、そのためにはどうすればいいのか? 新体制になることが大きな見どころだと思いますし、それ以外にもSKE48に振り向いていただくための引き出しをいっぱい持っていたいです。

井上 例えば「また地上波の番組に呼んでいただきたいです」って口で言うのは簡単ですけど、そのためにも自分たちで積極的に発信していくつもりです。今は何がバズるか誰もわからない時代ですから。

左から伊藤実希、大村杏、佐藤佳穂、井上瑠夏。

左から伊藤実希、大村杏、佐藤佳穂、井上瑠夏。

プロフィール

SKE48(エスケーイーフォーティエイト)

AKB48の全国進出第1弾として、名古屋・栄に誕生したアイドルグループ。名称の由来は、活動拠点の栄(SaKaE)の頭文字。秋元康の総合プロデュースにより、2008年7月より活動をスタートさせた。AKB48同様「会いにいけるアイドル」をコンセプトに、栄にあるSUNSHINE SAKAE 2階のSKE48劇場にてTeam S、Team KⅡ、Team E、および研究生が公演を行っている。2009年8月にシングル「強き者よ」でメジャーデビュー。2011年5月にエイベックスへのレーベル移籍を発表し、7月に移籍第1弾シングル「パレオはエメラルド」をリリースした。2012年に初めて単独で「NHK紅白歌合戦」に出場。2014年2月には愛知・ナゴヤドームで、2015年8月には愛知・豊田スタジアムで単独コンサートを開催した。最新作は2025年3月リリースの34枚目のシングル「Tick tack zack」。