朝、夕方、夜をSixTONESとともに。多様な生活に寄り添う2ndアルバム「CITY」を全曲レビュー

SixTONESの2ndアルバム「CITY」が1月5日にリリースされた。

昨年1月に発売された初のフルアルバム「1ST」で「Billboard JAPAN HOT Albums」における2021年の総合アルバムチャートで上半期1位、年間3位を獲得したSixTONES。輝かしい記録を打ち立てたグループにとって1年ぶりのアルバム「CITY」は、街を起点に、日常のさまざまなストーリーを描いたコンセプチュアルな作品となっている。

音楽ナタリーでは「CITY」に収録されている「[Interlude]」を除く全楽曲をレビュー。SixTONESのこれまでの活動に触れながら、6人が紡ぐ物語の全貌を明らかにする。

文 / 寺島咲菜

SixTONESは2020年1月にYOSHIKI(X JAPAN)提供の「Imitation Rain」で華々しいデビューを飾ったが、ほどなくして新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、ハイタッチ会やライブの中止を余儀なくされた。コロナ禍でエンタテインメント業界が苦境に立たされながらもSixTONESは音楽への情熱を絶やさず、現在に至るまでにシングルを5枚、アルバムを2枚、ライブDVD / Blu-rayを2本発表した。6人のアーティスト活動を支えたのが、ほかでもないファンの存在。「多くの人々の応援が原動力になった」とメンバーは奢ることなく語る。どんな状況下でも音楽を届けられる、デビュー後に感じた確かな手応えは彼らの自信へとつながり、アーティスト人生における財産となったことだろう。

そしてSixTONESはニューアルバム「CITY」リリース直後の1月22日よりデビュー3年目に突入する。「CITY」は「歌(主人公)の数だけ物語があり、それが交錯する場所を“街(CITY)”と呼ぶ」というコンセプトに沿って、1日の時間の経過が感じられるように曲順が組まれており、初回限定盤Aは“朝”、初回限定盤Bは“夕方”、通常盤は“夜”をイメージした楽曲でスタートする。シチュエーションが切り替わるタイミングには時間帯を表現する「[Interlude]」が差し込まれており、多様なリスナーの生活リズムに寄り添うべく趣向を凝らした構成となっている。

今回の特集では通常盤の収録曲順にレビューするほか、初回限定盤Aのボーナストラックである「Papercut」「Takes Two」、初回限定盤Bのみ収められているユニット曲「LOUDER(Jesse×Shintaro Morimoto)」「真っ赤な嘘(Hokuto Matsumura×Yugo Kochi)」「With The Flow(Taiga Kyomoto×Juri Tanaka)」も紹介する。

「CITY」全曲レビュー PART 1

「マスカラ」

昨年8月にリリースされた5thシングルの表題曲で、常田大希(millennium parade、King Gnu、PERIMETRON)が作詞・作曲・編曲し、ギターで参加したことでも話題を呼んだほろ苦い大人のラブソング。行き場のない感情をぶつけるようなエアギターの振り付けは、多くの人々の脳裏に深く刻まれた(参照:SixTONES「マスカラ」レビュー|5thシングルで常田大希&くじらが磨き上げる、替えのきかない6人の個性)。

「Rosy」

映画「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」日本語吹替版の主題歌。ボカロテイストの「うやむや」(「1ST」通常盤の収録曲)と同じくKOUDAI IWATSUBOが提供した1曲で、振り付けはBTS「Butter」にも参加したダンスグループ・GANMIが手がけている。矢継ぎ早に畳みかけられる言葉や、目まぐるしくフォーメーションが変わるダンスには“スパイダーマン”を彷彿とさせる要素も多数。曲中で平均身長177cmのSixTONESが繰り出すハイキックからは目が離せない。

「フィギュア」

「マスカラ」のカップリング曲で、yamaの代表曲「春を告げる」を生んだボカロP・くじらが書き下ろしたエールソング。流れるようなピアノの調べに乗せ、あるがままに生きることを肯定するメッセージが歌われている。ミュージックビデオでは香港を拠点に活動するマンガ家 / イラストレーターのリトルサンダーがイラストを、「うやむや」のMVにも携わったえむめろがアニメーションを担当した。

「Odds」

4thシングル「僕が僕じゃないみたいだ」(2021年2月発売)のカップリング曲「Strawberry Breakfast」以来となるディスコチューン。SixTONESがリスナーを日常から解放し、瀟洒なダンスフロアへと誘う。歌詞は英語をメインに構成され、意中の女性を狙う一夜の模様が躍動感あふれるメロディに乗せて表現されている。

「WHIP THAT」

SixTONESのにぎやかな空気感を閉じ込めたようなトランスナンバー。リフレインする「WHIP THAT」のフレーズは、曲が進むにつれ熱を帯び、聴き手の脳内に激しく響く。「Mr.ズドン」(Mr.ズドンが作詞作曲したジャニーズJr.時代の楽曲)と同様に、メンバーとファンをつなぐキラーチューンとなることだろう。

「Everlasting」

「CITY」のリリース情報が発表される前、ニッポン放送「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」で音源が突如公開され話題を呼んだバラードソング。「Lifetime」(「1ST」収録曲)に続いて、6人が一切出演しない出光興産のCMソングとしてオンエアされている。明日への希望を信じる思いが真摯な歌声に乗せて響く1曲だ。

「8am」

メンバーの中でもっとも規則正しい生活を送る髙地優吾がオススメする全編英歌詞の新曲。ベースやハンドクラップが織り成すシンプルなアレンジに、メンバーの心地よいハミングや優しいファルセットが重なる。そんなSixTONESの歌声に包まれながら穏やかな朝を迎えよう。

「僕が僕じゃないみたいだ」

「僕僕」の愛称で親しまれる2021年2月発売の4thシングルの表題曲で、松村北斗が森七菜とダブル主演を務めたラブコメ映画「ライアー×ライアー」の主題歌。3rdシングルまではワイルドな魅力を打ち出してきたSixTONESがそのイメージを覆した王道のアイドルソングだ。歌詞には素直になれない男の恋心がつづられている。

「Ordinary Hero」

すべての人が誰かにとってのヒーローである。そんなメッセージが込められた応援ソング。街のざわめきを表した環境音で始まり、「誰だって shine so bright」「泥臭くても君は光ってる」「it's ok to cry」など心が解けるようなフレーズが随所にちりばめられている。各メンバーの魅力的な歌声もさることながら、髙地の抜けるようなハイトーンは多くの人々の琴線に触れるだろう。

「Your Best Day」

シンセサウンドを基調としたポップチューン。「Ordinary Hero」からの流れを汲むように、SixTONESが「ありのままに 気ままに いれば Sun goes up」「良いこと起こりそう」とポジティブなメッセージを畳みかけ、幸運のまじないをかける。

「Fast Lane」

松村イチオシの英語詞を中心としたエッジィなナンバー。歌詞で臨場感たっぷりに描かれるドライブシーンには、不透明な未来へとひた走る主人公の生き様が示されているようだ。サウンドは80'sテイストで、ストイックに刻まれる重低音がリスナーを刺激する。

「Good Times」

6人が軽快に歌いつなぐパートと、ユニゾンが美しく溶け合うサビで構成されるゴスペル調の新曲。繰り返される「Don't worry we'll be alright」「Everything's gonna be alright」のフレーズや弾けるようなクラップが、先の見えない未来を明るく照らす。