音楽ナタリー Power Push - シシド・カフカ×KenKen
個性派リズム隊が生み出したグルーヴ
シシド・カフカのセッションミニアルバム「K5(Kの累乗)」がリリースされた。本作には4月に先行リリースされた「Don't be love feat.斉藤和義」に加え、甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)、YO-KING(真心ブラザーズ)などさまざまなアーティストとのコラボレーションナンバーが収録される。
本作のリリースにあわせて音楽ナタリーではアルバム収録曲のインスト曲「Trans fatty acid」で共演したシシドとKenKen(LIFE IS GROOVE)の対談を企画。ドラマーとベーシストというリズム隊の2人が主役となって制作した同曲の話や、同世代アーティストとして抱く思いを話してもらった。
また最終ページではシシド・カフカ本人による楽曲解説も掲載。彼女がコラボレーションを通じてそれぞれ得たものはなんだったのか、自らの言葉で語っている。
取材・文 / 鵜飼亮次 撮影 / 北村勇祐
すごくキャッチーな人が出てきたな
KenKen (アルバムの実物を見ながら)改めて思うけどこれすげえメンツだなあ、フェスみたいだ。こんなそうそうたるメンツの中にオレの名前を並べていただいて(笑)。こないだ、(甲本)ヒロトさんに会ってこのアルバムの話したんだよ。「なんかいいよね」って言ってた。
シシド・カフカ ああ、よかった(笑)。
──2人が出会ったきっかけは?
KenKen ムッシュかまやつさんとごはんを食べたときにご一緒させてもらって。そのときは、ブルーノートでTower Of Powerのライブを観たんだよね?
シシド そうです。ブルーノートで。
KenKen オレはそのときベースがロッコ(・プレスティア)じゃなくて全然よくなかったから「オレに弾かせてくれ! プリーズチェンジ!」ってイライラしてたんだけど(笑)。
シシド ずっと横で「やっぱダメだな、ダメだ!」って言ってましたね(笑)。
──初めてお会いした印象は?
シシド まさにKenKen!っていうか。イメージ通りでしたね。
KenKen みんながイメージするまんまでしょ?(笑) オレもカフカちゃんのことは会う前から一方的に知っていて、「すごくキャッチーな人が出てきたな」って思ってた。女性ドラマーで、見た目も超キレイで超カッコいいってもう完璧だよね! それに「COUNTDOWN JAPAN 14/15」のステージ横でライブも初めて観て改めて「すげーな!」と思った。マジで歌ってるし、しっかり叩いてる。もう「CGなんじゃないかってくらい完璧人間やー!」って思ったね(笑)。
シシド ははは(笑)。褒めすぎです。最初からハードルを上げてきますね。
花火のような初共演
──初共演は「COUNTDOWN JAPAN 14/15」のシシドさんのライブにKenKenさんがゲスト参加したときですね。
KenKen うん。カフカちゃんに呼んでもらって、ツインベースで演奏したんだよ。そのときのオレはなんていうか、特効の花火みたいな役割だったなあ。「ワーッ!」って出てすぐ「サヨナラーッ!」って感じの一瞬のパフォーマンスですごく楽しかった(笑)。お客さんを「なんだ今の!?」って驚かせるビックリ箱みたいな存在で。
シシド ははは(笑)。
KenKen あのときライブの前にリハをやろうって3時間くらいスタジオを予約してもらってたんだけど、音を合わせてみたら15分くらいで終わっちゃったんだよね。「このへんでもういいよね?」って話して。これ以上やりすぎると決まりきった感じになるって思ってね。
シシド そうでしたね。
KenKen あのライブは速いビートでワーッて演奏する、いわゆる「みんなが思うKenKen」であって「みんなが思うカフカ&KenKen」の感じだったからリハもあれぐらいの短さでいいと思って。
リズム隊同士で何か面白いことを
──そして数カ月後、今度はレコーディングという形で再会します。
シシド KenKenとは「COUNTDOWN JAPAN」の共演が楽しかったっていうことと、あと同い年っていう部分もあったのでお誘いしたんです。
KenKen そうそう。ホンット1985年生まれのミュージシャンっていないんだよね。カフカちゃんと会うまでオレずっと孤独だったもん。
シシド ふふふ(笑)。その共通点と、あとはドラマーとベーシストっていう、いわゆるリズム隊同士で何か面白いことができたらって思ったのも声をかけた理由ですね。それにKenKenは音楽性の幅広さや豊かさがズバ抜けているので、コラボレーションすることでその感性に触れられればって。
KenKen わあ、その言葉で5年くらい余分に生きていけそうだな(笑)。
──共演曲「Trans fatty acid」はアルバムの中でも異彩を放ってますよね。ブレイクビーツのトラックみたいなインストナンバーという。
KenKen うん。2人で何かを作ろうってなったときに付け焼き刃的なものを用意するんじゃなくて、制作する意味を感じさせるような意義のある曲、一生聴けるようなものを作りたかったんだよ。
──その結果、アルバムの中でもっともオルタナティブなナンバーに仕上がったと。
KenKen 単純に「カフカちゃんがこういうことやんの超シブくね?」みたいなことを引き出したくて。結果こうなったんだけど、それってすごく重要なことだと思ってる。オレが思うカフカちゃんの一番カッコいい見せ方を出すなら今回はこの方向性かなって考えてたし。
次のページ » 「Trans fatty acid」の成り立ち
- シシド・カフカ ミニアルバム「K5(Kの累乗)」 / 2015年6月17日発売 / avex trax
- CD+DVD 3024円 / AVCD-93151/B
- CD 1944円 / AVCD-93152
CD収録曲
- theme - performed by シシド・カフカ
- バネのうた - feat.甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)
- Don't be love - feat.斉藤和義
- Trans fatty acid - feat.KenKen(LIFE IS GROOVE)
- くだらない世の中で - feat.常磐道ズ(渡辺俊美[TOKYO No.1 SOUL SET]、Guest:TOSHI-LOW[BRAHMAN、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND])
- あの夏、君が見てたモノ - feat.YO-KING(真心ブラザーズ)
- Don't be love(Piano Ver.) - arranged by 大橋トリオ ※CD盤のみ収録
CD+DVD盤 DVD収録内容
- Don't be love - feat.斉藤和義(Video Clip)
- バネのうた - feat.甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)(Video Clip)
シシド・カフカ
メキシコ生まれ。中学生時代にアルゼンチンでドラムを叩き始め、数々のバンドに在籍したのちにドラムボーカルのスタイルで2012年5月に配信曲「デイドリームライダー」でデビュー。9月に1stシングル「愛する覚悟」でCDデビューした。以後もドラムを叩いて歌うスタイルで注目を集め、2013年9月には1stフルアルバム「カフカナイズ」をリリース。一方でモデルとしての活動や女優としてドラマ「ファーストクラス」出演、さらに「新堂本兄弟」にレギュラー参加など多彩な活動を展開する。2014年9月にはエイベックスへの移籍を発表し、4月には配信シングル「Don't be love feat. 斉藤和義」をリリース。そして6月には「Trans fatty acid feat.KenKen(from LIFE IS GROOVE)」など多様なコラボレーションナンバーを収録したセッションミニアルバム「K5(Kの累乗)」を発売した。
- シシド・カフカ | Official Website THE DRUM'N'GIRL SHISHIDO KAVKA
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KenKen(ケンケン)
1985年東京都生まれ。LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash、WAGDUG FUTURISTIC UNITY、the day、獄門島一家といった数々のロックバンドに参加し、そのカリスマ的な存在感と抜群のベースプレイは、音楽シーンの中で一目置かれている。そのほかベース教則アプリ「KenKenが教えるベースギター #1」をリリースし、資生堂unoやNTT docomoのCM音楽も担当。ライブ以外での音楽活動も多く、ゲーマーとして「週刊 ファミ通」で連載コラムページを6年間にわたって務めるなど、音楽業界のみならず多彩なセンスで幅広く活躍している。また2014年1月から放送のアニメ「スペース☆ダンディ」のサウンドトラックに参加し、3月からはムッシュかまやつと山岸竜之介とのバンド・LIFE IS GROOVEも始動。2015年にはさくら学院のDVDシングル「仰げば尊し ~from さくら学院 2014~」、や五五七二三二〇「半世紀優等生」でサウンドプロデュースや楽曲提供を行う。6月にシシド・カフカのセッションミニアルバム「K5(Kの累乗)」にゲスト参加し、シシドとアルバム収録曲「Trans fatty acid」で共演した。