真っ白なキャンバス「ぼっち」インタビュー|白キャン史上最も力強い歌声、7人全員が感情あらわに叫ぶロックナンバー

真っ白なキャンバスがニューシングル「ぼっち」をリリースした。

透明感あるビジュアル、人間の内面を描いた楽曲、ファン参加型の企画を重視した活動方針など、王道のグループでありつつもアイドルシーンの中で独自の道を歩んでいる白キャン。昨年デビュー5周年を迎え、グループとして1つ上のステージへ上がろうとしている彼女たちが約3年ぶりのCDシングルとしてリリースしたのが、劣等感や葛藤と向き合うことをテーマにした新曲「ぼっち」だ。

音楽ナタリーではこのシングルの発売に合わせてメンバー7人にインタビュー。河口湖ステラシアターやTOKYO DOME CITY HALL公演など、この半年間のワンマンライブを振り返ってもらいつつ、「ぼっち」の聴きどころについて聞いた。

取材・文 / 土屋恵介撮影 / 佐々木康太

観客の声に泣いた河口湖ライブ

──昨年夏からのライブについて振り返りながら話をお聞きしていきたいと思います。まずは、7月に河口湖ステラシアターで行われた「真っ白なキャンバス フリーライブ2022 夏」の感想を聞かせてください。

西野千明 河口湖ステラシアター公演は白キャン初の野外ワンマンで、2年4カ月ぶりの声出しOKのライブだったんです。

橋本美桜 ライブ前からファンの方たちがBGMに合わせて声を上げていて、あずちゃん(小野寺梓)、それを聞いて泣いてたよね。

三浦菜々子 ライブ直前の影アナのときもお客さんの「わー!」って声が聞こえたよね。

小野寺梓 そう。影アナで「みんなー!」って言ったら、すごい歓声が返ってきたんです。お客さんから声のレスポンスが返ってくること自体がひさびさで、うれしくて泣いちゃいました。

真っ白なキャンバス

真っ白なキャンバス

麦田ひかる ゆりなは初めてお客さんの歓声を聞いたんだよね。

浜辺ゆりな うん。私はコロナ禍になってから白キャンに加入したので。すごかったですね。お客さんのコールが入っているライブ映像をYouTubeでよく観ていたので、それを実際に経験できてうれしかったです。

鈴木えま 自分とひかるは一昨年グループに再加入したんですけど、やっとみんなの声を聞けて、「これぞライブだな」って気持ちになりました。

西野 でも、河口湖はめちゃめちゃ暑かったー。私、野外ライブで水を使った演出をやりたいってずっと言ってたんです。河口湖ではお客さんに水鉄砲で水をかけて、夢が叶ってよかったです(笑)。

小野寺 あと河口湖は、初めて白キャンのライブに来てくださる方がけっこう多かったんですよ。河口湖に向けてビラ配りをした成果だと思います。

橋本 1万枚のビラ配りチャレンジをしたんです。福岡、仙台、大阪と、いろんな県に行ったよね。

西野 基本は渋谷で配ったんですけど、それだけだとほかの地域の方に知ってもらえないと思って、ビラ配りするためだけのツアーをさせてもらいました。

小野寺 最近も「夏にビラをもらって、やっと来れました」と言ってライブに来てくださる方がいるんです。夏に撒いた種の芽が出たみたいな(笑)。河口湖に向けてがんばったことが、今にもつながってるなと実感します。

鈴木えま

鈴木えま

小野寺梓

小野寺梓

魂が引っ張られたTDCホールワンマン

──11月にはTOKYO DOME CITY HALLで結成5周年記念ライブ「希望、挫折、驚嘆、絶望、感謝 それが、私。」が開催されました(参照:「めっちゃ幸せでした!」真っ白なキャンバスがTDCホールでデビュー5周年ワンマン)。このライブも皆さんにとって大きな活動の節目だったと思います。

西野 TDCホールを白キャンの力だけで埋めることができるのか不安で、めちゃくちゃプレッシャーがありました。開催に向けてチケットを手売りしたりビラを配ったりして、このときもそれきっかけでライブに初めて来てくれた方がいてうれしかったです。ライブ当日は初めて花道を使って歌ったり、ダンストラックに合わせたパフォーマンスを披露したり、新しいことをたくさん経験できて楽しかったです。

鈴木 ライブのオープニングではいきなりセンターステージに登場したんですけど、ステージ下にみんなで待機していたときはめちゃ緊張しました。あとこのワンマン用の新衣装が2着あって、早着替えしなきゃいけなくて焦りました(笑)。でも、ライブ自体は楽しかったです。緊張もありましたけど、お客さんがいっぱいいてうれしかった。

浜辺 私は、「憧れてたアイドルのライブができた!」って感慨深かったです。ダンサーさんがいたりと演出が盛りだくさんで、「今までお客さん側で観てきたアイドルに近付けた!」って。でも、最初にTDCホールでワンマンをやると聞いたときは、私も楽しみな気持ちより「みんな来てくれるかな?」という不安のほうが大きかったです。ライブに向けてチケットの手売りや合宿をメンバーみんなでがんばっていくうちに、だんだんと不安がなくなっていった感じですね。

西野千明

西野千明

浜辺ゆりな

浜辺ゆりな

──合宿ではどんなことをしたんですか?

浜辺 ライブの10日くらい前に、3泊4日で田舎のほうに行って。

橋本 「自分と向き合う」というテーマで1万字の作文を書きました。

西野 ダンスレッスンもしたけど、ほぼ作文の合宿だったよね。

小野寺 修行みたいでした(笑)。

浜辺 合宿の合間にもチケットを手売りしたんです。「白キャン応援チケット700枚完売チャレンジ」と題して、目標達成のためにみんなでとにかくがんばりました。

三浦 合宿の様子はずっと配信されてたんですよ。

西野 朝から夜までずっと。

橋本 どの時間でもファンの人たちが観てくれていて、応援してもらえることのありがたさを感じました。

橋本美桜

橋本美桜

──大一番に挑む皆さんの気持ちがファンの方に伝わったんですね。

小野寺 私もTDCホールワンマンが決まったときは不安が大きくて、ファンの方の前でも不安を吐露しちゃってたんです。でも、ファンの方が白キャンのことを周りに広めてくれたり、ライブに友達を誘ってくださったりしてすごくありがたかったです。本番が始まって客席を見たらたくさんの人がいてホントにうれしかったですし、白キャンが5周年を迎えられたことに感動しました。グループが結成されたとき、5年も続くなんて想像できなかったんですよ。「希望、挫折、驚嘆、絶望、感謝 それが、私。」というライブタイトルでしたが、私の中ではとにかくファンの皆さんへの感謝の思いが大きかったですね。

──このライブタイトルは、どんな意味を込めて付けたものなんでしょう?

小野寺 白キャンの活動を1年ずつで区切って、それを漢字2文字で表しました。1年目は希望、2年目は挫折って。

西野 セットリストも、そのライブタイトルに合わせて組まれたんです。

──小野寺さんは、最後のMCで涙を流していたそうで。

小野寺 私、いつも泣いてますね(笑)。ステージに立つと、アドレナリンが出てるのか感情がバグっちゃって。

浜辺 あずさちゃんは唯一、白キャンに5年間いるメンバーだからね。

小野寺 うん。エモくなっちゃいました。

橋本 私は開催が発表されたとき、自分がTDCホールのステージに立ってる姿が想像できなかったし、どんなライブになるのか全然イメージできなくて。でもチケットを手売りしていたらファンの方に「白キャンなら絶対いいライブができるよ!」と声をかけられたんですよ。白キャンに期待をしてもらえていることを感じられましたし、本番の3日くらい前には「ヤバい! 私、TDCホールに立つんだ!」って急に実感が湧いてきました(笑)。あと、ライブに向けてメンバー1人りひとりのイヤモニを作ってもらったんです。それが「大きなステージでライブをやるのはこれ1回きりじゃないんだよ」「もっと大きいステージに立とう」というプロデューサーさんからのメッセージのように思えて、もっともっとがんばらなきゃって気合いが入りました。

三浦 私は、本番当日までがホントにつらくて。特に1万字の作文がしんど過ぎて、合宿の期間内に書き終えられなかったんですよ。毎日、夜な夜な泣きながら考えては消してを繰り返してがんばりました。でも、それを乗り越えた先のライブはすごく楽しかったし、「やっぱり私はライブが好きだな」と実感できました。私はよくライブ中に変に冷静になって自分をセーブしちゃうことがあるんですけど、TDCホールではテンションが上がってセーブが効かなかったですね。そしたら、ライブ後の特典会中にどんどん魂が上から引っ張られていくような感覚になって、終わったあとに楽屋の床でベタって気絶しちゃいました(笑)。そのあと数カ月くらい燃え尽き症候群みたいになって、何をやるときもボケーッとしてました(笑)。ワンマンでそこまでなったのは初めてで、それくらい楽しくてどうにかなっちゃうようなライブでした。

三浦菜々子

三浦菜々子

麦田ひかる

麦田ひかる

麦田 私も5周年ライブが終わったあとボケーッとした感じになっちゃいました。今までで一番自分を出せたライブができた気がして。ダンサーさんと一緒に踊ったりと過去最高に緊張したんですけど、あのライブをもう1回やりたいです。おかわりしたい(笑)。