音楽ナタリー PowerPush -グループ魂

ぜんぶ録り直し!初セルフカバーベスト

「下北沢にて」はTHEラブ人間が音楽でやってることと同じ

──あと「下北沢にて」をやるにあたって、メンバーが街の人に直接交渉をしてるって話を聞いたんですけど……。

服部ケンジ(Dr)(撮影協力:SAKAEYA)

ツネ 企画書を持って直接お店とか商店街をまとめてる人とかに交渉しに行ってます。でもやっぱり「なんでうちがやらなきゃいけないの?」みたいなことも言われちゃうんですよね。だけど気持ちっていうのは熱意を持って伝えれば必ず相手もわかってくれると信じてるから何度も足を運んで。

金田 今ツネが言った“気持ちで伝えるしかない!”みたいなのって、ずっとTHEラブ人間が音楽でやってることでもあって。俺たちが歌ってることはやっぱり青臭いから、鼻で笑われてもしょうがないと思ってるの。THEラブ人間が結成したばっかりの頃なんかは、「もう伝えるしかねえ!」みたいな気持ちだけでライブをやってたから、お客さんが棒立ちしてるのにステージ上はものすごい熱量で。今でもおんなじことをやり続けてるからファンもついてきてくれて。

──そういうバンドのやり方みたいなものも「下北沢にて」の核になっていると。

金田 今話しててそう思った。

──ハートのつながりをすごく大事にしているTHEラブ人間ならではのイベントということですね。

金田 例えばさ、「街が応援してます!」っていう広告が出てるイベントがあったとするじゃない? で、その街の小さい商店とかに入ってお店のおっちゃんとかに話を聞いてみたら「ああ、なんかやってるみたいだね」みたいに言われちゃうのはいやなんですよ。ただの興行じゃなくて、ちゃんと1つひとつのことに人の気持ちがこもっているものでありたい。根底の部分で音楽だったり、街の人たちと自分たちの関係だったりっていうのを大事にしたくて。

──下北沢の商店街のおじさんとかが「もうすぐ『下北沢にて』だね。今年は何をやるんだろう」みたいに話題にしてくれるような。

金田 そうなったら最高だね。

──行き着く先はそこ?

金田 うん。そうなったら面白いと思う。「今年の『下北沢にて』はタウンホールで盆踊りを踊るらしいよ」とかそんなんでもいいの。音楽であればなんでもいい。でも実際はもう選べるフォーマットが少なくなってきてて。鹿野淳さんがさいたまスーパーアリーナでやってる「VIVA LA ROCK」とかさ、外のフットサルコートも使ったり、会場に宿泊させたりそういうアイデアはすごいなあって思ってる。

──でも下北沢という街にこだわりがあると、たくさんのバンドとお客さんを収容できるような大きい会場はないからサーキット以外はなかなか難しいですよね。

金田 だから最終的には440の前にやぐらを建てるしかないね。

──それが野望ですね。

金田 そうですね。その日は商店街の人たちもみんな「店閉めます!」みたいになってさ、住民も騒音に苦情を言うんじゃなくてやぐらのもとに集ってさ。ゆくゆくはそうなったらいいなあ。

「下北沢にて '14」の見どころ

──今年の「下北沢にて」の見どころを説明してもらえませんか?

谷崎航大(Violin)

ツネ 今年の目玉の1つとしてパレードがあるんですよ。下北沢駅を出発して、南口商店街を抜けて、ピュアロードが終着点。坂本九さんの「上を向いて歩こう」を代沢小学校の子供たちと僕らで歌いながら練り歩くんですけど、それに縁があって坂本九さんのお嬢さんの大島花子さんが参加してくれることになって。今ちょうどそのパレードで使う神輿も製作中です。

金田 パレードはすごくいいものになると思う。フラッグを出したりスタンプラリーを商店街でやったりするのもいいんだけど、やっぱり人が動いてることで「お、なんかやってるぞ?」みたいな感じを出せるかなって。下北沢でなんかイベントをやってて、THEラブ人間っていうバンドが音楽のお祭りをやってるんだなっていうのがそこに住んでる人とか訪れてる人たちにわかりやすく提示できればいいなと。当日券を買ってライブハウスに足を運んでくれっていうところまでの欲はないんだけどね。

ツネ あと新しい試みとしてピュアロードでフリーマーケットをやるんです。多摩美(多摩美術大学)の子たちがいろいろ自分たちで作ったものを売ったりするんですよ。芸術っていうくくりで、音楽以外のものも届けられたら面白いかなって思ってます。

金田 今年は下北沢にはない面白いものも持ってこれたらいいなって思ってますよ。あと今年のradio DTMのトークブースがヤバそうなんですよ。俺がブッキングしてて今決まってるのが鹿野さんとライターの青木優さん。そういう音楽業界の人たちに「今の時代の売れる音楽とは何か?」というテーマについて語ってもらうの。radio DTMは毎回切り口が鋭くてね(笑)。

「下北沢にて」とは?
「下北沢にて」THEラブ人間が2010年より開催している自主企画。初回は東京・下北沢のライブハウスCAVE-BE、Daisy bar、BASEMENT BARの3店舗でサーキット形式で行われた。その後も下北沢を舞台に毎年イベントを開催していたが、2013年は趣向を変えて全国6都市を巡るツアー形式で実施。2014年の第5回「下北沢にて」はNTT docomoをスポンサーに迎え、下北沢を舞台に過去最大規模で開催される。
「下北沢にて」
2014年11月30日(日)東京都
club 251 / BASEMENT BAR / THREE / 下北沢CLUB Que / MOSAiC / 下北沢CAVE-BE / Daisy Bar / Laguna / foodium下北沢前野外ステージ / ドコモショップ下北沢南口店内
本部:下北沢 Studio BAYD
THEラブ人間(ラブニンゲン)
THEラブ人間

金田康平(歌手)、谷崎航大(Violin)、さとうまりな(B)、坂本遥(G)、服部ケンジ(Dr)、ツネ・モリサワ(Key)によるロックバンド。2009年1月、金田を中心に結成され、同年4月に自主制作音源「恋街のすたるじい」を発売。2011年5月にインディーズ1stシングル「砂男・東京」をリリースし、7月15日に650人を動員した東京・渋谷CLUB QUATTROで初のワンマンライブを成功させた。同年8月にビクターエンタテインメントからミニアルバム「これはもう青春じゃないか」でメジャーデビュー。翌2012年5月にメジャー1stアルバム「恋に似ている」、12月にDVD付きシングル「アンカーソング」をリリースした。2013年4月にメジャー2ndアルバム「SONGS」を発表。同年末をもっておかもとえみが卒業した。2014年3月にさとうまりなと坂本遥を迎え6名体制に。彼らのお披露目を兼ねた全国ツアーを経て、9月に新体制初のシングル作品「じゅんあい / 幸せのゴミ箱」を自主レーベル「喫茶恋愛至上主義」よりリリースした。2010年から下北沢を中心に毎年開催している自主企画「THEラブ人間決起集会『下北沢にて』」の第5回を、11月30日に街中の店舗などの協力を経て過去最大規模で行う。