音楽ナタリー PowerPush -グループ魂
ぜんぶ録り直し!初セルフカバーベスト
あくまで“自主企画”なんです
──今年の「下北沢にて」もそうそうたる顔ぶれで。今さらこんなことを言うのもおかしな話かもしれませんが、バンド主催でやる規模のサーキットイベントじゃないですよね。
金田康平(歌手) もともとサーキットイベントだと思ってないんですよね。これはあくまで“自主企画”なんですよ。俺とツネがバンドを組む前に「440の前を歩行者天国にして、やぐらを組んでその上でライブをやりたいね」って2人で話してたの。
ツネ・モリサワ(Key) 俺とカネちゃんは昔CAVE-BEで一緒に働いてて、その頃にそんなことを思いついたんですよね。
金田 下北沢って今でこそ「シモキタハロウィン」みたいな若い人が集まるイベントができたけど、当時は盆踊りとか阿波踊りしかなかった。そんな中で漠然と下北沢に音楽の祭典みたいなものがあったら面白いなって考えてたんですよね。
──さっき金田さんが言ったやぐらって、盆踊りのときなんかに和太鼓が乗ってるようなもの?
金田 そうそう。バカデカいやぐらの上でロックバンドが代わる代わるライブをやってるみたいな画を想像してた。そんな構想みたいなものができたあとにツネとバンドを組んで。
ツネ でも「下北沢にて」を立ち上げた頃は、やぐらでライブっていうのをやりたい気持ちはあったけど何から手を付けたらいいのかわからなかったんだよね。
金田 そう。初回の頃は俺らも結成2年目で、まだまだパワーがなかった。「下北沢にて」は昔から仲よくしてもらってるCAVE-BE、Daisy bar、BASEMENT BARの3つを使わせてもらおうというところからスタートしてるだけで、サーキットであることにはこだわってないんですよ。だから去年はちょっと趣向を変えてツアー形式で6都市を巡ったし。ただただ面白いことを自分たちでやりたかった。フェスでもサーキットでもツアーでも形はなんでもよくって。
イベントが始まる前にすでに面白いことが起きてる
──なるほど。今年で5回目、またサーキット形式に戻るわけですが、昔からTHEラブ人間と仲がいいバンドも新鋭組もたくさん名を連ねていて。
金田 サーキット形式のときは前回開催から次回開催までの1年で知り合ったバンドを呼ぶわけなんだけど、去年がツアーだったから今回はすごい数になっちゃって。
ツネ 出したいバンドが多くてね。
──ブッキングは誰が担当してるんですか?
金田 俺らは自主企画のときメンバーそれぞれが呼びたいバンドを1組ずつ呼ぶのね。「下北沢にて」はそれの延長線上にあるものだから、誰か1人がブッキングしてるんじゃなくって、メンバーそれぞれが呼ぶ組数だけ決めて好きなバンドに声をかけていくっていう。だから出てるバンドで俺が知らない奴らもいる。
──別のメンバーがオファーしたから。
金田 そう。お客さんにこんな素敵なバンドがいますよって紹介する前に面白いことが起きてるんですよね、バンド内で。特に去年入った(坂本)遥と(さとう)まりながブッキングしたバンドは俺たちが今まで関わってない奴らばっかり。タイムテーブル組むために全バンドの音楽を聴いていくんですけど、そしたら面白いバンドがザックザク出てくるの。今回だとPENs+がね、すごくいいなと思って。THEラブ人間を聴いてバンドを始めて、解散結成を繰り返して今PENs+をやってるっていうのをあとから聞いて、俺感動しちゃったんだよね。
──バンドとの出会いがバンド内でもあるっていうのは新鮮かもしれない。
金田 うん。そういう感動みたいなものがお客さんまで伝染したらいいなって思ってる。
お祭り気分で遊びに来てほしい
──バンドで音楽をやりながらこれだけの規模のイベントをやるって大変じゃないですか?
金田 音楽を作るのはバンドとして当たり前のこと。だから俺らは倍動いてるんだよね。音楽活動も「下北沢にて」も全力でやってる。時間なんか寝なきゃめっちゃいっぱいある。俺たちはただ単純に楽しいことをやりたいんですよ。それは「下北沢にて」の始まりがTHEラブ人間結成前なのが証明してる。っていうか、そんなに楽しいことなかったのかな、当時の俺ら(笑)。
ツネ (笑)。でも当時あったサーキットイベントって「shimokita round up」くらいじゃないかな。音楽もひっくるめてほかがやってなくて面白いことをやりたいっていう気持ちはずっとあるよね。
金田 うん。で、ロックフェスとかって今でこそフェスデートとかいう言葉が生まれてるけど、そもそも“ロック”というジャンルの中のモノだから一般人は足を踏み入れにくいと思うんですよ。だからこそ「下北沢にて」は街ぐるみでやることで普通の人たちがお祭り気分で遊びに来てくれるイベントになったらいいなって。
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- THEラブ人間が2010年より開催している自主企画。初回は東京・下北沢のライブハウスCAVE-BE、Daisy bar、BASEMENT BARの3店舗でサーキット形式で行われた。その後も下北沢を舞台に毎年イベントを開催していたが、2013年は趣向を変えて全国6都市を巡るツアー形式で実施。2014年の第5回「下北沢にて」はNTT docomoをスポンサーに迎え、下北沢を舞台に過去最大規模で開催される。
- 2014年11月30日(日)東京都
club 251 / BASEMENT BAR / THREE / 下北沢CLUB Que / MOSAiC / 下北沢CAVE-BE / Daisy Bar / Laguna / foodium下北沢前野外ステージ / ドコモショップ下北沢南口店内
本部:下北沢 Studio BAYD
THEラブ人間(ラブニンゲン)
金田康平(歌手)、谷崎航大(Violin)、さとうまりな(B)、坂本遥(G)、服部ケンジ(Dr)、ツネ・モリサワ(Key)によるロックバンド。2009年1月、金田を中心に結成され、同年4月に自主制作音源「恋街のすたるじい」を発売。2011年5月にインディーズ1stシングル「砂男・東京」をリリースし、7月15日に650人を動員した東京・渋谷CLUB QUATTROで初のワンマンライブを成功させた。同年8月にビクターエンタテインメントからミニアルバム「これはもう青春じゃないか」でメジャーデビュー。翌2012年5月にメジャー1stアルバム「恋に似ている」、12月にDVD付きシングル「アンカーソング」をリリースした。2013年4月にメジャー2ndアルバム「SONGS」を発表。同年末をもっておかもとえみが卒業した。2014年3月にさとうまりなと坂本遥を迎え6名体制に。彼らのお披露目を兼ねた全国ツアーを経て、9月に新体制初のシングル作品「じゅんあい / 幸せのゴミ箱」を自主レーベル「喫茶恋愛至上主義」よりリリースした。2010年から下北沢を中心に毎年開催している自主企画「THEラブ人間決起集会『下北沢にて』」の第5回を、11月30日に街中の店舗などの協力を経て過去最大規模で行う。