清水翔太|深い模索の先に見た希望 3年ぶりアルバムが告げる“第3章”の幕開け

Takaとこのタイミングでやりたい

──Takaさんとは去年[re:]プロジェクトを立ち上げ、6月に「もう一度」というコラボソングを公開しました。今回のアルバムに収録されている「Curtain Call feat. Taka」はどのような流れで作ることになったんですか?

「もう一度」の前から「一緒にやろう」とTakaがずっと言ってくれてて。「もう一度」を出したあとも、普通にTakaと遊んでると、つつかれるんですよ。「お前だけは音楽の話を俺にしてこないよな」って。けど、どうやって、何をやればいいんだろう?みたいな。

──どんな方向性のものかっていうこともあるし。

そう。どっちが作る?とか、いろいろ気を遣っちゃうから具体的な話をしてなかったんだけど、「恋唄」ができて、今度はアルバムを作っていこうという中で、せっかくこれだけ仲よくなったんだし、Takaとこのタイミングでやりたいなと思って。それでTakaに「マジでやんない?」と声をかけたら「もちろん!」って感じで返事があって。「じゃあ、俺が作るわ」とトラックを作って聴いてもらったんです。

──今回はTakaさんと共作をしていません。その理由は?

正直、共作ってすごく難しくて。そもそも全部自分でやりたいからアレンジも始めたような人間なんで、人と作るっていうのがマジで苦手なんです。自分の中で鳴っている確固たる音があるから、それと少しでもズレると「違うんだよな」ってなるし、それを説明するのも面倒くさいし(笑)。それに、Takaも共作はあまり望んでいなくて。僕が1ヴァース目を作ったあとに「2番を作ってみて」と一度言ってみたんです。でも無理だって。「翔太が作った世界観があるから、俺がそれに対して書いても嘘くさくなる」と。やってみたけど無理だから、翔太が全部やりなという感じだったんです。

清水翔太

もがきながら光に向かっていくような曲

──「Curtain Call feat. Taka」の歌詞にはどんな思いを込めたんですか?

僕の実体験というか、僕が感じてきたことを書きました。今いる場所とか今いるステージに対して、自分はもっとこうなんだよなとか、自分を生かしきれてないなとか、そう思う場面ってあるんです。それってこういう仕事じゃなくても、ほかにいっぱいあるんだろうなと思って。

──「この職場は私に合ってるかな?」とか、「この仕事は俺に向いてるかな?」とか。

そう。もともとTakaとは「(一緒に作るのは)ラブソングじゃないよな」という話はしていて。希望に向かって行けるような曲がいいなと思ってたんだけど、明るすぎないというか、苦しみの中でもがきながら光に向かっていくような曲がいいなというイメージがあって。僕らはステージに立つ人間なんで、ステージという場所をテーマに置きながら、そういう気持ちを表現できないかなと思って書きました。

──「迷う日もある 落ちる日もある それでもいつか輝く日まで」と歌われています。

日本人って、基本的に気を遣うから。それが日本人のよさでもあり、自分を苦しめる部分でもあると思っていて。思ったことをあまり口に出さないし、そのせいで自分が言いたいこと、したいこと、行きたい場所を選べない状況になることがすごく多い。僕もそういうタイプだから、デビューしてからすごく苦しんできた。でも、どんなに苦しんでも、ステージに立ってお客さんから拍手をもらった瞬間に救われたりとか、がんばってきてよかったなと思えるんです。普通に仕事をしている人たちは、そうやって拍手喝采を受ける場面はそれほど多くないと思うけど、そういう人たちにはこの曲を自分に置き換えて聴いてもらえればうれしいなと思ってます。

うれしい誤算

──「Lazy feat. ASOBOiSM, Kouichi Arakawa」では、客演に参加したい人をプロアマ問わずSNSで呼びかけました。これにはどんな反応がありましたか?

いちばんうれしかったのは水準が高かったことですね。クオリティがどれも高かった。

──結果、ASOBOiSMとKouichi Arakawaさんがフィーチャリングされましたが、2人を選んだ決め手は?

清水翔太

アルバムのほかの曲とのバランスもあるので、いくらカッコよくてもこのアルバムの中に入るとこのリリックはミスマッチかな……とか、そういう作品もあって。逆に、めっちゃ歌がうまいけどメロディがちょっとハマってないかなとか。そういういろんなバランスを考えて選びました。

──2人にはどんな魅力を感じていますか?

アソボちゃんみたいなラップ、好きなんですよね。女の子らしいラップというか、クールさがまったくないわけじゃないんだけど、基本的にはキュートでキャッチーっていうラップが好きなんです。そのどっちもできないとダメで。僕もそういうタイプだから、どっちもできる強さというか、何か両面性を持ってるアーティストが好きなんです。1つしかできなくて、その1つが飛び抜けてるアーティストもカッコいいんだけど、器用な人って好きですね。

──Kouichi Arakawaさんに対しては?

最初にパッと聴いたときに歌声とメロディが好きでした。単純にもう、それだけ。

──彼のヴァースを聴いたときに、翔太フォロワーな印象を受けました。わりと自分に似てるなという感覚はありましたか?

僕は全然そう感じなかったですね。「僕に興味なさそー」って思ってたから。

──なんでこの企画に応募してきたんだ!?みたいな(笑)。

そう。でも、実際スタジオで会ったら「昔から聴いてました」みたいに言われて「本当かよ!?」と思って。「別に興味ないけど、自分のために企画に参加しました」ぐらいだろうなと思って選んだんですけど、そんなことなかったです。うれしい誤算でした(笑)。