「人間讃歌」はすごい“スルメ曲”
──アルバム「Lov U」に先駆け、8月21日にデジタルシングル「人間讃歌」がリリースされました。移籍後最初の曲としてこの曲を選んだのはどうしてですか?
渋谷 いろんな曲があるんですけど、「人間讃歌」や「君らしくね」(9月18日リリース)はわかりやすく自分らしい雰囲気をまとった曲なのかなと。「人間讃歌」はmiccaさんに提供していただいたんですが、僕のことをたくさん調べて、深く感じながら作ってくれた曲だと思うんですよ。自分自身に深く入ってくる曲なんですけど、レコーディングで歌うときは感情的になりすぎないように抑えていたというか。自然とエモーショナルな感じになるんですけど、あまり行きすぎると感情が大爆発しそうになるんですよ。何も考えずに歌うと泣きそうになるんで、そのバランスを取るのはちょっと大変でしたね。
丸井 「人間讃歌」、すごい“スルメ曲”じゃないですか? 聴けば聴くほど味が出てくるし、落ち着くというか、すごくやさしい曲だなって。家でもよく歌ってます。
渋谷 そうなんですか(笑)。
──丸井さんが手がけた「人間讃歌」のジャケットは、青が渦巻いているデザインです。
丸井 はい。いろいろやってみたんですけど、最終的には「青空にどんな心を / 映しながら人は歩いていく」という歌詞をイメージして。この歌詞が一番心に残ったんです。
渋谷 このデザインを見たとき、「うわー! すげえ!」って思いました。歌詞にもつながってるし、揺れ動く心とか、いろんな想像ができて。
──「君らしくね」については?
丸井 ジャケットはまだできていないんですけど、「人間讃歌」と「君らしくね」は真逆のことを歌っている印象があるんですよ。「人間讃歌」では「僕はまだ僕が誰なのかわからなくて」と歌っているんだけど、「君らしくね」には「君は君のままで / 僕は僕のままで / 君は君らしくね」という歌詞があって。けっこう対照的だなと思うし、そこをどうデザインに昇華していこうかなと考えてます。そこがキーポイントな気がするんですけど……どうですか?
渋谷 どうでしょうか(笑)。
丸井 (笑)。どっちの気持ちもあるじゃないですか、その日によって。
──確かに。渋谷さんも、ご自身が思う“自分らしさ”とパブリックイメージのギャップに惑わされたりしないですか?
渋谷 それはないですけど、いろんなイメージを持たれたり、いろんなことを言ってもらえるのはいいことだと思ってますね。いい言葉もそうじゃない言葉も、どっちも大事だから。
丸井 なるほど。
渋谷 すげえ文句言ってるやつがいたとしても、「俺のことめっちゃ好きやん」って思うんですよ(笑)。自分としても「めっちゃ好かれたいし、めっちゃ嫌われたい」という感じがあって。次は何をやるか全然わからないですから、自分も(笑)。それくらいじゃないと面白くないし。
いろんな人との出会いで、最高にいいものになった
──ニューアルバム「Lov U」のジャケットのデザインはどうなりそうですか?
丸井 イメージは少しずつ固まってますね。タイトルもストレートなので、デザインも直球でいこうかなと。今のすばるさんがシンプルなことをやれば、逆にヒネリを感じることもあるのかなって。
渋谷 めちゃくちゃいい感じになると思います。提案してもらったときも「これは……!」ってびっくりしたし、振り切ってるのがすごくいいなと。これだけストレートなことって、今までの活動の中でもやったことがない気がする。
丸井 よかった(笑)。今回のアルバムのデザインは、ほかのアーティストの方には提案できないかもしれないですね。すばるさんだからこそ説得力を持たせられるんだと思います。
──アルバムのタイトルもストレートですからね。
渋谷 なんだかんだ言って、ベタなものが好きなんだと思います。それを表現するのは難しいと思うんですけど、いろんな人との出会いの中で、楽曲もアートワークも最高にいいものになって。
──今回のコラボレーションを通して、気付いたこと、得られたことはなんでしょうか?
丸井 渋谷さん、全然スレてないじゃないですか。それはすごいことだなって思いましたね。ずっと少年のような目をされていて、このまま年を重ねていくんだろうなと。すごく素敵だと思います。
渋谷 自分ではよくわからないです(笑)。今回丸井さんとご一緒して、「やっぱり気持ちが大事なんやな」と思いましたね。人と人がやることなので、愛情や熱意を伝えたい。ずっとそのことを大事にしていたつもりですけど、こうやって新しい出会いをいただいて、作品ができていく中で改めて実感したというか。「今までやってきたことは間違ってなかったな」とも思ったし、これからも変わらずにやっていきたいですね。
──アートディレクターという立場も、対象者に対する愛情は不可欠ですよね。
丸井 愛情もそうだし、今回は憑依するくらいの気持ちでしたね。「すばるさんはどう思うだろう?」とずっと想像したんですよ。キャリアのある方なので、すばるさんのこと全部をわかっているわけではないですが、お会いしてからは「どういうふうに考えて生きてらしゃるのかな」とイメージしながらビジュアルを作っていたので。あと「ファンの皆さんはどういうすばるさんを見たいか?」ということも、周りのすばるさんを昔から知っている友人などにヒントをもらったりしながら考えていました。さっきも言いましたけど、直感で「好き」と思ってもらえる写真を撮りたかったし、それが達成できたことでちょっと安心して。本当にいい写真がいっぱいあるから、CDのブックレットもすぐに埋まっちゃうと思います。
──ファンの皆さんの反応が楽しみですね。
渋谷 きっと喜んでもらえると思います。ファンの人たちが楽しんでくれるのが一番ですけど、そのためには現場にいる人たちのテンションが上がるようなことをやれてないとダメだと思ってて。
丸井 そうなんですよね。
渋谷 まずは一緒にいる人らを「お!」って言わさないと。今回の現場はすごくいい感じやったから、絶対大丈夫やないかなって。
丸井 「Lov U」というアルバムなのに、撮影現場が殺伐としてたらイヤじゃないですか(笑)。特に楽しい作品に関わるときは、楽しみながら作ったほうがいいので。すばるさん、「それはイヤです」みたいなことがまったくなくて、すべてに応じてくれたんですよ。「なんでもお願いしてみよう」と思わせてくれる雰囲気を持った方だし、だからこそ、いい表情の写真が撮れたんだと思います。
ライブ情報
渋谷すばる LIVE TOUR 2024「Lov U」
- 2024年11月3日(日・祝)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
- 2024年11月24日(日)兵庫県 神戸国際会館
- 2024年12月24日(火)埼玉県 三郷市文化会館
- 2024年12月25日(水)埼玉県 三郷市文化会館
プロフィール
渋谷すばる(シブタニスバル)
1981年生まれ、大阪府出身。2019年よりソロアーティストとしての活動を開始し、同年10月に1stアルバム「二歳」をリリースした。これまで3枚のアルバムを発表し、全国ツアーをはじめとしたライブも精力的に開催。2022年には「SUMER SONIC 2022」、2023年には「JOIN ALIVE 2023」といった夏フェスにも出演した。2024年8月21日に「人間讃歌」、9月18日に「君らしくね」と新曲2曲を先行配信し、10月16日にアルバム「Lov U」をリリースする。
渋谷すばる (@subaru.shibutani.official) | Instagram
渋谷すばるSTAFF (@subaru_staff) | Instagram
渋谷すばるSTAFF (@subaru_staff) | X