ナタリー PowerPush - 感傷ベクトル
注目メディアミックスユニットに迫る濃厚1万字インタビュー
「シアロア」はリリースしてようやく完成
──ちょっと意地の悪い質問なんですけど、アルバム「シアロア」の楽曲は既にネットで買えるし、マンガ版に至ってはネットでタダで読めるじゃないですか。それでもCDとコミックをリリースする意味はどこにあると思います?
田口 むしろ、今回の企画ってCDとコミックがなきゃ意味がないんですよ。WEBでやってきたことはまさに連載的。雑誌連載と同じで、リアルタイムにその都度1話、1曲を楽しんでもらいたかった。あと、誰でもネットという誰でも見られる媒体を使うことで感傷ベクトルを広く人に知ってもらう告知的な意味もありました。でも、連作である以上、やっぱり全部の作品を続けて楽しんでももらいたい。マンガが雑誌に載ったときと単行本になったときとでは、その読み口や、自分と作品との距離感が変わることは皆さん知っていることだろうし、楽曲もCDで続けて聴いたときの感じ方って配信で1曲ずつ聴いていたときとは絶対違うはずですから。実際CDで連続して聴くために配信のときとはまた違ったマスタリングにしたり、曽我さんや比田井さんのプレイもそうなんですけど、レコーディングスタッフさんにも「本当の意味でクオリティが高いものってこういうものだよな」というこだわり方はしていただいています。それに、マンガ版の後日談を描いてみたりと、パッケージやブックレットの内容、デザインにも相当こだわっていますから。CDとコミックをリリースしてようやく完成する作品、価値が生まれる作品なんだと思っています。
感傷ベクトル/「ストロボライツ」ビデオクリップ
感傷ベクトル/『シアロア』オープニングムービー[CD&COMIC 同時発売]
感傷ベクトル『シアロア』クロスフェードムービー
感傷ベクトル 特集インデックス
感傷ベクトル ニューアルバム「シアロア」 / 2012年8月3日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
感傷ベクトル(かんしょうべくとる)
ボーカル、ギター、ピアノ、作詞、作曲、作画を担当する田口囁一と、ベースと脚本を担当する春川三咲によるユニット。ネットや同人シーンを中心に活躍し、音楽とマンガの両方の分野で作品を発表している。2012年8月にネット上で発表していたメディアミックス作品「シアロア」を、アルバムとコミックで同時リリース。また2人は「ジャンプSQ.19」で連載されていたマンガ「僕は友達が少ない+」の作画および脚本を担当した。